二話 幻想郷 ~マヨヒガ②~
紫さんが話を聞いてくれるということで、客間らしき所に連れて来られた。
「さぁ、話してもらいましょうか」
紫さん、藍さんは俺と机を挟んで対面に腰を下ろした。
「えーと。最初に一つだけいいですか?」
「あたしがやったんじゃないわよ」
「俺がここに来たのって紫さんがやったn・・・えっ?」
「だから、私じゃないわよ」
・・・この人は心読めるのか?いや、でも幻想郷に古くからいる妖怪だし
このくらいの事は出来て当たり前なのだろうか。まぁ、なんにせよ流石バb ゲフンゲフン。
「・・・今、失礼な事考えなかったかしら」
「っ!?いえ、決してそんなことはないです!!」
慌てたら逆に怪しいんではないか、と内心思いつつも、態度には正直に出てしまった。
とりあえず本題に入ろう
「えっと、とりあえず自分の事は【サク】って読んで下さい。
で、今俺がなんでここにいるかは自分でもよく分からないんですが
俺が望んだから?ここにいるみたいです」
「サクが望んだから?」
紫さんの隣にいた藍さんが首を傾げた。
「はい。俺が『二次元の世界に行けたらなぁ』って言ったら、誰かの声が聞こえて
気が付いたらこの世界に・・・」
藍さんがいる手前、ここに来る前に橙の耳をモフモフした事は黙っておくことにした。
「2次元?謎の声?」
紫さんが問いかけてくる。
「えー、ここは俺がいた世界からすると、ゲームの世界、いわゆる2次元の世界で
謎の声は・・・すいません全く分かりません」
「そう、ゲームの世界ねぇ・・・」
「それで、紫さんの能力で俺の事を元の世界に送るとか出来ませんかね?」
2次元の世界に来れてめっさ嬉しい。だけど、この世界で正直、生きていける気がしないので
名残惜しいけど、ここは元の世界に帰るのが一番だろうと考えた。
そして、帰る手段でいうなら紫さんの能力はうってつけだろうと。だけど・・・
「おそらく無理ね。似たような世界には送れるかもしれないけど、貴方の元いた世界自体には
送り届けることは出来ないと思うわ」
紫さんが言ったのは俺が期待していた言葉とは正反対の言葉もの。
「な、なんでですか!?」
「さぁ、私にも良く分からないけど、なんか不思議な力が働いてるみたいね」
不思議な力って・・・どこの中二設定ですか?
「貴方のポケットにも同じ力が働いてる物があるけど、それは何?」
紫さんが聞いてくるが、ポケットに物など入れた記憶がないのだけれども・・・
一応、ズボンのポケットを探ってみる。
・・・あった。4つに折りたたまれた紙が出てきたよ。
「えーと・・・なになに?」
紙に書かれていたのは以下の内容
そなたの願いは叶えた
もし、元の世界に戻りたければ
七色に光るものを見つけよ
それに触れれば戻れるだろう
・・・なんのこっちゃ。
七色の物・・・虹とかだろうか?でも、虹って触れねぇよなぁ。
「七色のものねぇ・・・」
ま後ろから声がした。
「うわぁ!!」
いつの間にやら紫さんがスキマから顔を出して
俺の背後から紙をのぞいていた。
「はぁ・・・脅かさないで下さいよぉ」
「良かったわね、帰る方法が分かったじゃない」
「でも七色に光るものって何なんでしょうか?」
「それは、分からないわね」
うーん。七色に光るものねぇ・・・
「藍様ー!藍様ー!!」
藍さんを呼ぶ声と一緒に廊下からトタトタと足音が聞こえてくる。
襖がサッと開いて、どこに行っていたのか橙が部屋に入ってきた。
「こら、橙。今、紫さまが客人と話をしている最中だぞ。静かにしないか」
藍さんが橙に注意をすると、橙の勢いよくピンとたっていた2本の尻尾は
元気がなくなったようにプランと下に垂れた。
「えーと、藍さん。大丈夫ですから」
俺はそう言って、橙の方を向き、話してどうぞとアイコンタクトをする。
「あのね、これ!七色に光るビー玉見つけたの!!」
橙は自慢げに手のひらを広げて藍さんにそれを見せる。
「ほぅ。すごいなぁ橙は」
と、藍さんは橙の頭を撫でる。
七色のビー玉かぁ。珍しいなぁ・・・七色?
「七色!!?」
「にゃ!!?」
俺のいきなりの大声に橙は持っていたビーズを落としていた。
ビー玉はコロコロと転がると俺の足元でゆっくりと止まった。
「紫さん、これ」
「えぇ、七色ね。それにさっきの紙と同じ力を感じるわ」
「じゃあ、このビー玉に触れれば元の世界に戻れるんでしょうか?」
「おそらくはね・・・」
紫さんと会話している間に、橙は俺の足元に転がったビー玉を拾っていた。
「橙ちゃん、そのビー玉は俺が元の世界に帰るために必要なものみたいなんだ。
だから、本当に申し訳ないんだけど・・・そのビー玉貰えるかな?」
橙は少し悩んだ後
「わかりました!」
と笑顔でビー玉を俺に渡してくれた。
・・・なんてえぇ子なんや
このままぎゅって抱きしめていいですか!?
と、考えたのを見透かされたのか、藍さんに睨まれた。
「これで、元の世界に戻れるのか?・・・うおっ」
手のひらのビー玉を見つめてると、
ビー玉が光り出して、俺の体も一緒に光り出した。
そして、最初にここに落ちた時と同じ不思議な浮遊感がゆっくりとやってきた。
俺は紫さん、藍さん、そして橙の方を向き
「えーと、なんか短い間でしたけど、お世話になりました!!」
と頭を下げてお礼を言った。
「ふふ、良かったじゃない」
紫さんは笑って言った。そして
「気をつけて・・・」
と
「へっ?」
その瞬間、あの時と同じ、落ちていく感覚がした。
こんなに早く帰れるならもうちょっと幻想郷を見て回りたかったなぁ。
つーか、これ夢なんじゃないだろうか・・・
あぁ、意識が・・・うすれて・・・
二話 幻想郷 ~マヨヒガ②~ 終わり
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ようこそ、二次へ ニ話です。
幻想郷から元の世界に戻る方法は・・・?