No.1078874

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第141話

2021-12-05 23:32:22 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1584   閲覧ユーザー数:1316

~カレイジャス・ブリッジ~

 

「なるほど、そういう事ですか~。他ならぬ”メイド同志”であるシャロンさんの頼みでしたら、応じてさしあげたい所なのですが……」

「ズルズル……戦闘が主になる”出張”の”資格”はシャロンを含めた貴方達にはないから……モグモグ……その場での戦闘の手助けはともかく……ズルズル……長期的に行動を共にすることはできない……モグモグ……」

シャロンから事情を聞いたエウシュリーちゃんは困った表情を浮かべ、ブラックエウシュリーちゃんは片手に持つ謎の入れ物に入っている麺らしきものを食べながら淡々と答えた。

「”出張の資格”だと?」

「その”資格”というのは一体どういうものなんですか?」

ブラックエウシュリーちゃんが口にした言葉が気になったユーシスは眉を顰め、エリオットは不思議そうな表情で訊ねた。

「えっと……簡単に説明すれば、私達の世界――――――ディル=リフィーナでの物が――――――あっと、この言い方は止めた方がいいですね。コホン、私達が”出張”する”資格”がある方――――――”ご主人様”とは、”私達の世界であるディル=リフィーナでの”伝説”を作る主な中心人物”であり、私達メイド天使の役目はその”ご主人様”をあらゆる方面で支える事が役目なんです~。――――――あ、でも”あらゆる方面”とはいってもエッチな事に関しては固くお断りさせて頂いていますけどね~。」

二人の疑問に対して答えたエウシュリーちゃんの答えを聞いたその場にいる全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「異世界――――――”ディル=リフィーナでの伝説を作る主な中心人物”を支える事が貴女達の”出張”ですか……」

「そういえば、以前には他にも二人いたけど、今回はいないけどもしかして、その”出張”とやらでいないの?」

我に返ったエマは真剣な表情で呟き、フィーはエウシュリーちゃんとブラックエウシュリーちゃんを見つめてある事に気づき、疑問を口にした。

 

「はい~。アナスタシアさんは”天結いラビリンスマイスター”に、エウクレイアさんは”天冥のコンキスタ”という名前のそれぞれの”伝説”への”出張”の為にしばらく留守にしています~。」

「ズルズル……ちなみに私もこの後すぐに”封緘のグラセスタ”に”出張”する事になっていて……モグモグ……私もしばらく留守にすることになるから。」

「そうなると、現状手が空いているのはエウシュリーさんだけですか……」

二人の話を聞いたマキアスは残念そうな表情を浮かべて答え

「フフ、マキアス様?エウシュリーちゃんの名前は”エウシュリー”ではなく、”エウシュリーちゃん”ですわ。」

「はい~、そこの所は皆さんも間違えないように注意してくださいね?」

マキアスのエウシュリーちゃんへの呼び方をシャロンは微笑みながら指摘し、エウシュリーちゃんもシャロンに続くように指摘し、二人の指摘を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「いや、それ以前に何で名前に”ちゃん”がついているのよ……」

「フム……”ディル=リフィーナでの伝説を作る中心人物”か………これは興味本位で聞くことなんだが、君達の言う”ご主人様”の中にはもしかしてセリカさんやリウイ陛下も含まれているのかい?」

「確かにあの二人は”生ける伝説”と言ってもおかしくない存在だから、彼女達の”出張の資格”があってもおかしくないな……」

我に返ったアリサはジト目で指摘し、オリヴァルト皇子のエウシュリーちゃん達への質問を聞いたミュラーは考え込んだ。

 

「あら、よくご存じですね~。ちなみにブラックエウシュリーちゃんがこの後向かう出張先である”封緘のグラセスタ”の中心人物は”ジェダル・シュヴァルカ”という方ですよ~。」

「”ジェダル・シュヴァルカ”ですって……!?」

「確かその名前はハイデル叔父上の暗殺依頼を請け負い、叔父上を暗殺した魔神の仲間である異世界の”傭兵”でしたよね?」

「ええ…………」

「……なるほどね。そういえば、あの男の周りにもリィンのように”天使”に”魔神”、それに”女神”がいるからあの男もまたその天使のメイド達が言ったように異世界で何らかの”伝説”を作る中心人物――――――つまり”時代が望む英雄”なんでしょうね。」

「”人を惹きつける力もまた、時代が望む英雄に備わった力”か……」

「つー事は、テメェはバレスタイン達がルーレでやり合ったとかいう傭兵の所に向かうから、あの傭兵の仲間になるって事かよ。」

エウシュリーちゃんが口にしたある名前を聞いたその場にいる全員が血相を変えている中シェラザードは厳しい表情で声を上げ、真剣な表情を浮かべたアンゼリカの確認にサラは頷き、セリーヌは目を細め、ガイウスはかつてヴァイスから聞いた言葉を思い返し、アッシュは厳しい表情でブラックエウシュリーちゃんを睨んだ。

 

「ズルズル……何か勘違いしているようだけど……モグモグ……”私の出張先のご主人様であるジェダル・シュヴァルカは貴方達が知っているジェダル・シュヴァルカ”ではないし……ズルズル……さっきその人が挙げた以前にも私達が支えた”ご主人様”――――――”戦女神”という名の”伝説”の中心人物である”神殺しセリカ・シルフィル”と”幻燐の姫将軍”という名の”伝説”の中心人物である”半魔人の王リウイ・マーシルン”も”貴方達が知っている二人ではないわよ。”」

「え……それってどういう事なんですか?」

「”名前だけが同じの別の人物”という訳でもなさそうだな。俺達にとっても聞き覚えのある言葉もあったからな。」

「は、はい……”幻燐”は恐らくリウイ陛下達が経験した戦争――――――”幻燐戦争”の事で、”姫将軍”はエクリアさんの事を指していると思いますし……」

「そもそも”神殺し”にしても、”半魔人の王”にしても、幾ら異世界がゼムリア大陸よりも広いとはいってもあの二人以外にもあの二人と同じ名前でそんなとんでもない存在に当てはまる野郎なんていねぇだろう。」

ブラックエウシュリーちゃんが口にしたある言葉が気になったセドリックは困惑し、真剣な表情で呟いたジンの言葉にティータは不安そうな表情で頷き、アガットは呆れた表情で呟いた。

 

「”私達が知っている人物達は貴女達の出張先の人物達ではない”……――――――まさか……!?」

「多分だけど、そのメイド天使達が言った”英雄王”達は”並行世界の英雄王達”の事を指し示しているのじゃないかしら?」

一方ある事に気づいたエマは血相を変え、セリーヌは目を細めて推測した。

「へ、”並行世界”とは非常識な……」

「フン、そもそもこの世界にしても、その”並行世界の零の御子”とやらに因果操作をされて今の状況になっているのだから、”今更”だろう。」

「ねえねえ~、ちなみにボク達の世界――――――”ゼムリア大陸の並行世界”の事とかも知っているの~?」

セリーヌの推測を聞いて疲れた表情で呟いたマキアスにユーシスは呆れた表情で指摘し、ミリアムは興味ありげな表情で訊ねた。

「う~ん、申し訳ないのですが、”私達の担当はディル=リフィーナ”ですから、その”ディル=リフィーナ”と繋がった事である程度知る事になったとはいえ”ゼムリア大陸”の事についてはあまり詳しくないのですが………――――――あら?貴女は……」

「?私に何か?」

ミリアムの疑問を聞いて困った表情を浮かべたエウシュリーちゃんに視線を向けられて首を傾げられたエレインは不思議そうな表情で訊ねた。

 

「貴女がシャロンさん達と行動を共にされ――――――いえ、”貴女は本来の今のゼムリア大陸の伝説の後に発生する新たなる伝説に出てくる人物の一人”ですから、ちょっと驚きまして……」

「私が…………?」

「ちょっと待って……その言い方だと、もしかしてあんた達もユーゲント陛下が”黒の史書”で知ったように、何らかの形で”ゼムリア大陸の未来”まで知っているの……!?」

「言われてみればそういう風に聞こえるね……」

「うん……多分、”今のゼムリア大陸の伝説”は”巨イナル一黄昏”に関する事で、エウシュリーさ――――――ううんエウシュリーちゃんが今言った”今のゼムリア大陸の伝説の後に発生する新たなる伝説”は”巨イナル黄昏”を何らかの形で終わった後に発生する”ゼムリア大陸の伝説”――――――つまり、”未来”の事なんだろうね……」

エウシュリーちゃんが言った言葉を聞いたエレインが眉を顰めて考え込んでいる中、ある事に気づいたサラは真剣な表情で声を上げ、真剣な表情で呟いたアンゼリカの言葉に頷いたトワは真剣な表情で推測した。

 

「ズルズル……正解……彼女が登場する”本来の伝説”は”黎の軌跡”で、時系列で言えば今から約4年後くらいになる”伝説”……モグモグ……」

「約4年後に、私がその”黎の軌跡”という名の”伝説”に出てくる人物……」

「おいおい……という事は、約4年後にはメンフィル・クロスベル連合によって占領された共和国で何らかの”大事件”――――――それこそ、”リベールの異変”や今回の”巨イナル黄昏”のような”大事件”が起きるって事じゃないか。」

「な、何気にとんでもない話ですよね……?」

「ああ……ちなみにその”黎の軌跡という名の伝説の中心人物”は何ていう名前なんだ?」

ブラックエウシュリーちゃんが口にした驚愕の言葉にその場にいる全員が血相を変えている中エレインは呆け、ジンは疲れた表情で呟き、不安そうな表情で呟いたアネラスの言葉に頷いたアガットは真剣な表情で訊ねた。

「ズルズル……それは”禁則事項”だから、教えられない……モグモグ……」

「き、”禁則事項”って……」

「フム……ちなみにその”黎の軌跡”の”黎”とは一体何を示しているのかも教えてもらえる事はできないのか?」

「せめてヒントとかくれないの~?」

ブラックエウシュリーちゃんの答えを聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいている中アリサはジト目で呟き、ラウラは真剣な表情で訊ね、ミリアムは興味ありげな表情で訊ねた。

 

「すみませんが、それも”禁則事項”なんです~。そもそも、”ヒントを言った時点でエレインさんならすぐに気づく可能性が高い”ですから、”ヒント”にもならないんですよ~。」

「エレインさんが……」

「エレイン、何か心当たりはないのか?」

「いえ……今の話だけでは何とも……(”ヒントを言った時点で私ならすぐに気づく可能性が高い”……”黎”……――――――!まさかね……)」

エウシュリーちゃんの話を聞いたアネラスが呆けている中、ジンに問いかけられたエレインは困惑した表情で答えた後考え込み、ふとある人物――――――エレインが探している突如エレインの前から姿を消した幼馴染――――――ヴァン・アークライドを思い浮かべて複雑そうな表情を浮かべた。

「色々と気になる話が出てきた事で話が逸れた為、”本題”に戻るが……せめて、まだ”出張”が決まっていない其方だけでも我らに協力してくれないだろうか?」

「エウシュリーちゃんも先程仰ったように、協力してくださるのはわたくしが呼んだタイミング――――――つまり、”強敵との戦闘のみ”だけでも、構いませんからどうか今回の件――――――”巨イナル黄昏”の件を終えるまで、わたくし達に力を貸して頂けないのでしょうか?」

”本題”を戻すように促してエウシュリーちゃんに自分達に協力してくれないかどうかを聞くアルゼイド子爵に続くようにシャロンも懇願する表情を浮かべてエウシュリーちゃんに問いかけた。

 

「う~ん…………どうしましょう……」

「ゴクゴク……ゴクン。別にそのくらいはいいんじゃないの?”今の伝説は終盤に入った所だから”、エウシュリーちゃんが”次の伝説”に呼ばれるまでの時間は十分にあると思うし。」

シャロンの頼みを聞いて困った表情を浮かべて考え込んでいるエウシュリーちゃんに謎の入れ物に入っていた汁を飲み終えたブラックエウシュリーちゃんがアリサ達がそれぞれ血相を変える指摘をした。

「ちょっと待って……あんた達のその口ぶりだと、もしかしてあんた達は”今の伝説”――――――つまり、あたし達やリィン達、それにオズボーン宰相達が”どんな結末を迎える事も知っているの”……!?」

「言われてみれば、そういう風に聞こえるな……」

「フム……よく考えてみたら彼女達は今より4年後に始まる”伝説”も知っているのだから、”今の伝説”――――――つまり、私達の未来を知っていてもおかしくないだろうね。」

「その……このままだとエレボニアは一体どうなるんでしょうか?」

真剣な表情で声を上げたサラの言葉を聞いたガイウスは考え込み、オリヴァルト皇子は真剣な表情で呟き、セドリックは不安そうな表情で訊ねた。

 

「申し訳ないのですが、”伝説を作る当事者達にその伝説の内容を教える事”も”禁則事項”なので教えられないんです~。」

「また”禁則事項”とやらかよ……」

「まあ、当然と言えば当然でしょうね。現代に生きる者達が”未来”を識(し)る事は”歴史改変”という”禁忌”を犯す事になりかねないでしょうからね。」

エウシュリーちゃんの答えを聞いたその場にいる全員が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中呆れた表情で呟いたアッシュにセリーヌは静かな表情で指摘し

「でも、それを言ったら”過去”の時代から来ている空の女神達はどうなるの?――――――というか、そもそも空の女神達はどうやって自分達にとっての”未来”である”今”に来たのかっていう謎があるよね。」

「しかもその謎に関してはオリヴァルト皇子もそうだけど、リベールから来ている人達も知っているっぽいんだけどね~。」

「えとえと……その件に関しては本当に申し訳ないのですが、よほど”特別な事情”がない限り絶対に誰にも話してはいけない事なんです……」

「その……話してはいけない”理由”に関してはさっきセリーヌちゃんが言ったから大体察する事ができるよね?」

ジト目で呟いたフィーに続くように意味ありげな表情を浮かべたミリアムに視線を向けられたティータは不安そうな表情を浮かべた後申し訳なさそうな表情で答え、アネラスは複雑そうな表情で指摘した。

 

「そ、それって……」

「僕達に僕達だけの考えだけで”今の歴史を改変させない為”か……」

アネラスの指摘を聞いたエリオットは不安そうな表情を浮かべ、マキアスは複雑そうな表情で呟き

「そういう事。――――――例えば、今回の件――――――連合とエレボニアの戦争の件で祖国や自分達の先行きが不安定になっているオリビエ達皇族もそうだけど、今回の戦争の件で一番割を食っている貴方達のクラスメイトの一人も過去を変える事ができれば変えたいと思っているのじゃないかしら?」

「シェラ君、それは………」

「……………そうだな…………もし過去を変えられる事ができるのならば、今回の戦争勃発の元凶の一人である父上が猟兵達にユミルの襲撃を指示する前に父上を公爵家当主の座から失脚させ――――――いや、”斬る”だろうな………」

「ユーシス………」

シェラザードの指摘にオリヴァルト皇子が複雑そうな表情を浮かべている中、辛そうな表情で呟いたユーシスをラウラは心配そうな表情で見つめた。

 

「空気が重くなっている所申し訳ないですが、私達はそろそろ失礼させてもらいますね~。――――――あ、”今回の伝説”に関しては先程シャロンさんが仰った条件――――――ボス戦……ではなくて”強敵との戦闘のみという条件”で、”今回の伝説が終わるまで私は協力させて頂きますね~。”」

「それじゃあね。この後すぐに”出張”に行く私もそうだけど既に”出張”に行っているアナスタシアやエウクレイアさんに関しては”今回の伝説で貴方達と会う事はもう2度とない”でしょうけど……”この世界での今後の伝説”の当事者として貴方達が出てくるなら、また会うかもしれないわね。」

「フフ、ありがとうございます、エウシュリーちゃん。ブラックエウシュリーちゃんも”出張”を無事に終える事を陰ながらお祈りしておりますわ。」

そしてエウシュリーちゃんは異空間の扉を開いてブラックエウシュリーちゃんと共にその場から去る事を告げ、マイペースな二人の様子にその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中シャロンは微笑みながら二人に声をかけ

「あの……!せめて、”今回の伝説”の”名前”だけでも教えて頂く事はできませんか……!?」

2人が去ろうとしている所を呼び止めたエマは真剣な表情で問いかけた。

「…………ま、そのくらいはいいでしょう。――――――”灰の騎士の成り上がり”。それが”今回の伝説の名前よ。”」

エマの問いかけに少しの間考え込んだブラックエウシュリーちゃんはエマの問いかけに答え、ブラックエウシュリーちゃんの答えにその場にいる全員が血相を変えている中エウシュリーちゃんとブラックエウシュリーちゃんは異空間へと戻って異空間を閉じた。

「”灰の騎士の成り上がり”……か。ったく、”中心人物”も丸わかりの何の捻りもないそのまんまの名前の”伝説”じゃねぇか。」

「ああ……まさに今の”彼”自身を顕している”伝説”――――――いや、”物語”のタイトルと言っても過言ではないね。」

「うん…………」

(リィン………)

2人が去った後重々しい様子を纏って呟いたクロウとアンゼリカの言葉にトワは複雑そうな表情で頷き、アリサは心配そうな表情を浮かべてリィンを思い浮かべていた。

 

そして3日後。リベール王国領、メンフィル帝国領、エレボニア帝国領の国境が交わる平原――――――”ハーケン平原”にてメンフィル・クロスベル連合とエレボニア帝国の戦争の勝敗を決定付ける事になる”大戦”――――――後世に”ハーケン会戦”と呼ばれる”大戦”が幕を開けようとしていた――――――

 

 

 

という訳で世界観が崩壊またはメタな発言ばかりしたエウシュリーのマスコット達でした(冷や汗)ちなみにふと気がつきましたけど、次のエウシュリー新作に登場するマスコットは順番考えたらエウシュリーちゃんなのでしょうかね?グラセスタは黒エウ、コンキスタはエウクレイアさん、天結いラビリンスはアナスタシアでしたし。なお、この物語の第三部のクライマックスとなる”大戦”の話に突入する次回の更新はいつもより遅めで24か25日の予定です。


 
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