真が建業から戻って数日、主な武将全員が城門の前に召集されていた。華琳による街の視察があるからだ。真は一足先に集合場所に到着して皆が揃うのを待っていた。
春蘭「なんだ真。ずいぶんと早いな」
真「春蘭に桂花か。華琳と秋蘭、それに明雪はどうした? まだ昼食でも取っているのか?」
時間をきちんと守る3人が遅れているのは珍しいことだった。
春蘭「うむ、食事はすんだのだがな・・・・・・髪のまとまりが悪いとかでな。明雪様と秋蘭が今整えている最中だ」
真「なるほどな」
華琳の髪型はセットするのもかなり難しそうだと真は思った。
桂花「以外ね。あんたが化粧や髪型に理解があるなんて」
真「天の国ではよく陛下の髪型を整えるのを手伝っていたからな。それがどれほど苦労するかはよくわかるつもりだ。それに上に立つ者が身だしなみを整えることは兵や民に威厳を示すうえで重要なことだしな。州牧ともなればなおさらそうだろう」
つい先日、全ての引き継ぎ作業を終え正式に州牧となった華琳。政務も落ち着いたため今回の視察と相成ったわけだ。
春蘭「華琳様には陳留刺史としての十分な実績があったからな。州牧など当然の評価・・・・いや、むしろ低いくらいだ」
桂花「それに中央に何人か知り合いはいたしね」
真「やはり桂花が裏で手を回していたか」
そのことに真は驚かなかった。むしろ当然のことだと思っていた。いくら刺史としての実績があったとはいえそうやすやすと州牧になれるわけがない。ましてや利権を求め裏取引が至極当然のように行われている昨今では根回しは当然だった。
桂花「袁紹のところって、扱いは悪かったけど、中央とのつながりだけはたくさん作れたのよね」
真「華琳は気に入らないだろうがな」
華琳「別に気にしないわ」
声のしたほうを振り向くと華琳が明雪と秋蘭を引き連れてやってきていた。
華琳「今はなりふり構っていられる力も余裕も私たちにはないわ。使えるものなら天の御遣いの知識でも部下の繋がりでも、遠慮なく使わせてもらうわ」
髪はいつも通りのくるくるにビシッとセットされている。
真「うまくまとまったようだな」
華琳「何故かいつもと違うようにしかまとまらなかったのよね。雨でも降るのかしら? 真、あなたから見てどう? 変じゃないかしら?」
真「ああ。いつも通りのりりしい覇王様だよ」
真は笑ってそう答える。華琳たちは真の表情に思わず見入ってしまった。
真「ん? どうかしたか?」
真の言葉に一斉に顔をそらす一同。真は小首をかしげながらあることに気がついた。いつも人一倍元気な自分を兄と呼ぶ少女がいない。
真「季衣がまだ来ていないが、どうかしたのか?」
秋蘭「今朝、山賊のアジトが分かったという報告が入ってな。討伐は私か姉者が出るから街を見に行けと言ったんだが、聞かなくてな」
真「季衣らしいな」
春蘭「ああ。自分の村と同じ目に遭っている村を見捨てられないとはりきって出かけて行ったぞ」
明雪「ならお土産をしっかり買って帰らなくちゃね」
真「皆考えることは同じようだな」
笑いあう4人に桂花が釘をさす。
桂花「あなたたち、観光に行くわけじゃないのよ?」
真「わかっている。それを行った上で土産を買う分には問題ないだろう? なあ、華琳?」
華琳「ちゃんと仕事をするなら問題ないわ」
春蘭「はい!」
桂花「返事だけじゃなければいいけど」
とたんにいがみ合いだす春蘭と桂花。華琳がそれを一括して収め、桂花を留守番として城に残し、残りの5人は街に向かった。
華琳たちが集合したのとほぼ同時刻、街の入り口の前に3人の少女がやってきていた。
??「あれが陳留か・・・・」
??「やっと着いたぁ~。凪ちゃーん、もう疲れたの~」
3人のうちの1人が愚痴をこぼす。茶色い髪にそばかすに丸眼鏡、おっとりとした口調が特徴的だ。
凪「いや、沙和・・・・これからが本番なんだが」
凪と呼ばれた少女は愚痴をもらす沙和という少女に呆れながら告げる。りりしい顔立ちで銀髪をお下げにしている。鍛えられた体は引き締まっていてスタイルも良く、かなりの戦いをしてきたのか体中のいたるところに傷跡が残っていた。
沙和「もう竹カゴ売るのめんどくさーい。真桜ちゃんもめんどいよねぇ~」
真桜「そうは言うてもなぁ・・・・全部売れへんかったら、せっかく編んでくれた村のみんなに合わす顔がないやろ?」
凪「そうだぞ。せっかくこんな遠くの街まで来たんだからみんなで協力してだな・・・・」
沙和「うっうー・・・・。わかったよぉ」
2人に怒られ渋々うなずく沙和。真桜と呼ばれた少女は紫の髪の明るい少女で、関西弁の苦境が特徴。3人の中で最も大きな胸はビキニのような服を着ているのみで、その豊満なバストは惜しげもなくさらされている。
真桜「最近はなんや、立派な州牧様が来たとかで治安もようなっとるらしいからな。いろんなとこから人も集まっとるみたいやし、張り切って売らんと」
凪「噂に聞く天の御遣いと呼ばれる人物もこの陳留にいるらしい」
真桜「例の噂の御遣い様がここにおるんかいな。一騎当千、万夫不当、指先一つで街を塵に変え、その剣の一振りは数万の敵を薙ぎ払い、殺した敵の大将の心臓を食らうと噂のあの天の御遣い様が」
凪「いや、それはさすがにありえないと思うが・・・・・なんにせよ、かなりの武将であることは間違いないだろう」
真桜「まあ、そないな方がおる街や。安心して商売はできそうやな」
沙和「そうだ。人が多い街なら、みんなで手分けして売ったほうがよくないかな?」
凪「・・・・・なるほど。それも一利あるな」
真桜「それじゃ、3人で別れて一番売った奴が勝ちって事でええか? 負けた奴は晩飯オゴリやで!」
凪「こら真桜、貴重な路銀を・・・・」
沙和「分かったの」
凪「沙和まで・・・・」
真桜「よっし。二対一で可決ってことで! 凪もそれでええやろ」
凪「はぁ・・・・やれやれ。仕方ないな」
凪は2人に押し切られる形で了承した。
真桜「ほな、決まりやな」
沙和「おーなのっ!」
凪「・・・・なら、夕方には門のところに集合だぞ。解散!」
3人は一斉に街へ散って行った。
一方、真たち5人は城下の入り口までやってきていた。街道は多くの人々で賑わい、旅芸人らしき少女の3人組が歌を披露していた。話からどうやら彼女たちは姉妹らしい。
秋蘭「ほぅ。旅芸人も来ているのか」
真「さして珍しいものではないと思うが?」
秋蘭「彼女たちが歌っているのは南方の歌だ。旅芸人自体は珍しくないが、南方から来ることはなかったからな」
真「確かにそうだな。これも華琳たちの働きの成果か」
商人たちとは違い芸人というものは街道が安全でなければ寄りついてこない。なぜなら商人たちは商品を運ばなければ生計が立てられないため護衛を雇ってでも街と街を行き来するが、芸人はよほどのことがない限り護衛を雇ってまで旅をしようとはしない。安全が確保されている地域で稼いだほうが確実で安全だからだ。それが来たということはここまでの道中の安全が確保されているという証しだった。
華琳「特に彼女たちは女だけのようだしね。相当に武術の腕に自信があるか、安全な道がなければこんな所まで来ないでしょう」
元気に歌う少女たちを見ながら華琳はそう言った。真にはその表情がどこか満足げに見えた。
真「こう言ってはなんだが、あまりうまくはないな。気持はしっかりとこもっているのだろうが技量がそれについてきていない。発声練習をもっとつむべきだ」
明雪「そんなことまでわかるの・・・・・?」
真「雷皇のころの部下に歌にやたらと詳しい奴がいてな。話を聞かされている間に分かるようになっていた」
明雪「・・・・・・どこまで万能なのよ、あなた」
もはや呆れるしかない明雪だった。
華琳「狭い街でもないし、時間もないわ。手分けして見ていきましょうか・・・・・」
真「なら俺は街の右側を回るとしよう」
華琳「何か用事でもあるの?」
真「ああ。鍛冶屋に頼みごとをしていてな。それの進み具合を確認しておきたい。それにその鍛冶屋に日本で使われている製鉄用の設備を増設したんだが、それの確認もしておきたい」
華琳「そう。秋蘭。真と一緒に回ってその設備を詳しく見てきて。後で報告してちょうだい」
秋蘭「はっ」
華琳「明雪は私と中央を。春蘭は街の左側を回りなさい。月当たりの門のところで集合よ」
明雪、秋蘭、真の3人は素直に頷き、1人不満そうだった春蘭も秋蘭に宥められ何とか納得した。華琳の言った通り時間もないので早速別れて街を視察しに向かった。
真は秋蘭と共に件の鍛冶屋に来ていた。
真「店主、居るか?」
真が呼ぶと店主らしき職人風の筋肉質な男が店の奥から出てきた。
店主「これは御遣い様。ようこそおいでくださいました。・・・そちらの方は?」
真「こちらは夏候淵将軍。俺の同僚だ」
店主「そうでしたか。お噂はかねがね。ようこそお越しくださいました」
秋蘭「じゃまするぞ、店主」
一通りあいさつを終えたところで真は本題に入る。
真「鞴(ふいご)の調子はどうだ?」
店主「はい。おかげさまで火力調節が格段に良くなりました。ようやく扱いにも慣れ、以前よりも良質な剣を作れるようになっております」
真が取り入れたのは鞴と呼ばれる送風機だ。これを使うことで窯の中の温度を効率よく上昇させることができる。刀を打つ時などにも用いられる日本古来の技術の一つだ。
真「それは何よりだ。夏候淵将軍がそれを見たいそうだ。案内して説明を頼む」
店主「承知しました」
真「それと頼んでおいた物はどうなっている?」
店主「一本は完成しております。後は御遣い様に見ていただいてそれでよければもう一本を大至急造らせていただきます」
真「そうか。なら夏候淵将軍に説明をしている間に見せてもらおう」
店主「かしこまりました。誰か! 御遣い様に頼まれていた品をお見せしてくれ。夏候淵将軍はこちらへ」
店主は店の者に指示を出すと秋蘭を連れて店の奥に向かった。真はそれを見送ると店員に連れられて依頼した品を見に行った。
数分後、説明を終えた秋蘭と店主が工房から出てくると、すでに真は店の前で待っていた。
秋蘭「待たせたな」
真「いや」
店主「御遣い様、出来のほうはいかがでしたか?」
真「良い出来だったよ。要望通り完璧に作ってくれた。礼を言う」
店主「お褒めいただき光栄です。ではあれと同じものをもう一本早急に造らせていただきます」
真「頼む。出来上がったら城に使いをくれ。俺が取りに来よう」
店主「かしこまりました」
真と秋蘭は店の者船員の見送りを受けながら店を後にした。
店を出た秋蘭は、真の持っている袋に気がつく。
秋蘭「真、手に持っているのはなんだ?」
真「これか? 季衣への土産だ。あの辺は工芸品作ってる店も結構あるからな」
真が袋から取り出したのは小洒落た髪飾りだった。
秋蘭「そうか。で、化の鍛冶屋に何を頼んでいたんだ?」
真「武器を少しな」
秋蘭は真が使うのか? と思ったがその場で追及はしないことにした。その後も真に説明を受けながら街を視察して回る2人。流石に真は警備隊を率いているだけあって街の地理には詳しかった。
秋蘭「ん?」
もうすぐ集合場所というところで秋蘭が足を止める。真は秋蘭の視線の先をたどると、かごを売っているしょうじょがいた。秋蘭はそこに歩み寄りじっくりと品定めを始める。
秋蘭「・・・・・・・」
凪「・・・・・・・」
無言で商品を見る秋蘭。その様子を同じく無言で見守る凪。途中別の客が籠を買っていったが秋蘭は気にも留めず並んでいる商品を見定める。
秋蘭「・・・・・・良い出来だな」
凪「・・・・・・どれも入魂の逸品です」
秋蘭「・・・・・そうか」
凪「・・・・・・はい」
短く言葉を交わしまた商品をじっくりと見始める秋蘭。実際はただ商品を見ているだけなのだが、何故かその場の緊張感が高まっていく。真以外の通行人たちがその空気にのまれ、遠巻きに2人を見ている。
秋蘭「・・・・・よし」
凪「・・・・・・!」
秋蘭「これを貰おう」
凪「はっ」
真「何をやってるんだお前たちは」
そこでようやく真が突っ込みを入れる。
真「秋蘭。商品を見定めたいのは分かるが、緊張感を漂わせるのはやめろ。見せものみたいになっているぞ」
真の言葉で我に帰った人々がいそいそと解散していく。
秋蘭「すまなかった。つい夢中になってしまってな」
ごまかすように言う秋蘭に肩をすくめながらふと商品に目をやる真。並べられた商品の中にちょうどほしかった大きさに合致する竹籠を発見した。
真「ついでにこれも貰おうか」
凪「はっ」
少女に代金を払い、籠を受け取ると2人は集合場所に向かった。
秋蘭「しっかり見ずに買ってよかったのか?」
真「秋蘭が見ている間にある程度は見た。それに秋蘭のお眼鏡に適った時点で品質は問題ないさ」
秋蘭「・・・・そうか」
真に信用されていることが少しうれしかった秋蘭だった。真は立ち去る前、もう一度籠売りの少女を見てこう思っていた。
真(ギリギリ合格かな。少し鍛えればものになりそうだ)
すでに集合場所についていた華琳たちと合流した2人。ほどなくして春蘭もやってきて無事全員が揃ったのだが・・・・・。
華琳「どうしてみんな揃いも揃って竹籠を抱えているのかしら」
何故か華琳を除く全員が竹籠を持っていた。
秋蘭「はぁ。今朝、部屋の竹籠の底が抜けているのに気付きまして・・・・」
華琳「・・・・まあ、なら仕方ないわね。どうせ貴方のことだから気になって仕方なかったんでしょう」
秋蘭「は。直そうとも思ったのですが・・・・」
華琳「いいわ。で、春蘭は? 何か山ほどは言っているようだけど?」
春蘭「こっ、これは・・・・季衣への土産でございます」
少しどもる春蘭。明らかに何かをごまかそうとしている。
明雪「中身は・・・・・服、かしら?」
春蘭「はっ! 左様でございます!」
明雪の発言で真は春蘭の視察ルートに服屋が集まっている場所があることを思い出した。おそらく視察もせずに華琳の服を選んでいたのだろうと思った。
華琳「真は?」
真「欲しかった小物入れの大きさにちょうどいいのがあったんでな、秋蘭と同じ所で買った」
秋蘭「明雪様はどうされたのですか?」
明雪「・・・やむにやまれぬ事情があったのよ」
秋蘭「左様ですか」
華琳「それで、視察はちゃんと済ませたのでしょうね。籠なり土産なりを選ぶのに時間をかけすぎたとは言わせないわよ」
春蘭「はいっ!」
秋蘭「無論です」
真「もちろんだ」
華琳「ならいいわ。帰ったら今回の視察の件、報告書にまとめて提出するように。もちろん真もよ」
真「了解だ」
城に戻ろうとしたその時、唐突に声をかけてくる者がいた。
占い師「そこの、若いの・・・・・」
華琳「・・・・誰?」
占い師「そこの、お主」
声の主は黒いローブを被った人物だった。深くかぶったローブのせいで顔は見えず低い声は老婆にも男の者にも聞こえた。春蘭が華琳をかばうように一歩前にでる。秋蘭もさりげなく華琳の前に出る。
春蘭「貴様、何者だ?」
秋蘭「占い師か・・・・」
春蘭「華琳様は占いなどお信じにならん。慎め!」
華琳「・・・・秋蘭、春蘭。控えなさい」
春蘭「はっ!・・・・は?」
秋蘭「華琳様?」
いつもと様子の違う主に戸惑う2人。
明雪「いいのよ2人とも。いいから控えて」
明雪に念を押され下がる2人。どうやら明雪は華琳の異変の理由を知っているらしい。
占い師「強い相が見えるの・・・・。稀にすら見たことないほどの強い強い相じゃ」
華琳「いったい何が見えるの? 言ってごらんなさい」
いつになく真剣な面持ちで占い師の話を聞く華琳。
占い師「力のある相じゃ。兵を従え、知を尊び・・・・。お主が持つは、この国の器を満たし、繁らせ栄えさせる事ができる強い相・・・・。国にとって稀代の名臣になる相じゃ・・・・・」
春蘭「ほほぅ。良く分かっているではないか」
華琳を褒められて上機嫌の春蘭。
占い師「・・・・国にそれだけの器があれば・・・じゃがの」
秋蘭「・・・・どういうことだ?」
占い師「お主の力、弱ったこの国の器には収まりきらぬ。その野心、留まることを知らず・・・・・あふれた野心は、国を犯し、野を侵し・・・・いずれ、この国の歴史に名を残すほどの、類い稀なる奸雄となるであろう」
その言葉を聞いた瞬間、秋蘭が怒りをあらわにする。
秋蘭「貴様! 華琳様を愚弄する気か・・・・っ!」
いまにも飛びかかりそうになる秋蘭を真が抑えにかかる。
真「落ち着け秋蘭」
秋蘭「離せ、真!」
華琳「秋蘭!」
華琳に一括されようやく納まる秋蘭。それを見た後、華琳は占い師に話しかける。
華琳「そう。乱世においては、奸雄になると」
占い師「ふむ・・・・それも、今までの歴史にないほどのな」
華琳の表情は笑っていた。それもとても愉快そうに覇気をはらんだ覇王の微笑み。
華琳「ふふっ。面白い。気に入ったわ。・・・・・明雪、この者に謝礼を」
明雪は懐から財布を取り出すと置いてあった茶碗に幾ばくかのお金を入れた。秋蘭は納得いかないのか、占い師をにらみつけている。そして華琳は高らかに言い放った。
華琳「乱世の奸雄大いに結構。その程度の覚悟もなければこの世に覇を唱えることなど出来はしない。そういうことでしょう?」
華琳は終始上機嫌のままその場を後にした。それに付いて行こうとした真を占い師が呼びとめる。
占い師「まて、雷の守護者よ」
真「・・・・なぜそれを知っている? 貴様何者だ?」
占い師「しがない占い師じゃよ」
かなりの殺気をぶつけられても微動だにしない。どう考えてもただの占い師ではなかった。
占い師「お主の抱えている疑問。その答えが欲しくば、五行山のふもと。魔の森に向かうがいい。もし、心からその答えを望むならば、その森に住まうものが答へとお主を導くだろう」
真「・・・・・占い師。貴殿の名は?」
占い師「・・・・許子将」
真「礼を言う、許子将殿」
真は茶碗に金を入れ急いで華琳たちを追った。
許子将「さて、あ奴がこの新たなる歴史をどう導くか、楽しみにさせてもらおうかの」
その言葉を残して許子将は姿を消した。
その夜、運命の書が旅芸人たちにもたらされる。これが大きな動乱の火種となっていくことをまだ誰も知らない。
真「また、黄色い布か」
逃げていく賊たちを見ながら真はそう呟いた。
明雪「いい加減にしてほしいものね。村を襲って、私たちが来ればろくに戦いもせず逃げるだけ。いったいなんなの、あいつらは」
真「・・・・・黄巾党か・・・・・」
明雪「何か言った?」
真「いいや。とりあえずこの辺の賊は駆逐した。いったん城に戻ろう」
明雪「そうね。皆の者! 撤収するぞ!」
明雪の号令で動き出す兵士たち。真はもう一度だけ賊の逃げて行ったほうを一瞥してその場を後にした。漢王朝終焉の引き金となる黄巾の乱の幕開けである。
いかがだったでしょうか?次回、出来ればオリジナルの新キャラを増やせたらなと思っています。また次回ついに三羽烏が合流します。そちらもお楽しみに。
ではまた次回お会いしましょう。
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今回は原作に沿ったストリートなっています。ただ今後の伏線になるような出来事もいくつか混ざっているのでその辺を注意して読んでいただければなと思います。
余談。最近書いてて真がどこまで強くなるのか自分にも分らなくなってきました(笑)