この作品は恋姫の二次創作です。
オリキャラ込みです。
初めてなので駄文です。
それを踏まえて読んでいただけると幸いです。
第16話:想いを伝えるということ
袁術軍side
兵士「も、申し上げまーす!」
張勲「あや。どうかしましたか~?」
兵士「そ、孫策殿が!は、反乱を起こしました!」
袁術「な……なんじゃとーーーっ!」
兵士「現在、国境線にある我らが城を次々と落とし、こちらに向かってきております!」
袁術「ぐぬぬ……この状況、七乃が何とかせい!」
張勲「無理」
袁術「はやっ!」
張勲「だって、英雄って呼ばれてる孫策さんに勝てるわけ無いじゃないですか~」
袁術「ならば、妾と七乃で孫策を懲らしめるのじゃ!」
張勲「美羽様と、ですか?」
袁術「うむ。妾と七乃なら、孫策を懲らしめる事など簡単なのじゃ」
張勲「や~ん。それってすごく楽しそうです~♪」
兵士「……俺、仕官先間違えたかな……」
Side out
思春「前方に寿春城が見えました、敵影無し!」
雪蓮「ええっ!?敵影無しって……」
城を見ると、本当に敵の姿が無い。
いや、今展開を始めたようだ。
シャオ「おっそ!……袁術ってもしかしてバカ?」
祭「もしかせんでもバカじゃな」
亞莎「敵の動きが鈍い今こそが好機。体制が整う前に、一揉みに揉むのが良いかと」
冥琳「待て。城門が開いたぞ」
冥琳の言葉通り城門が開き、そこから袁術軍の兵達が出てきた。
健「旗は……袁に張。両方おるみたいやな」
明命「敵軍突出!こちらに向かってきます!」
雪蓮「了解。……蓮華、この戦いはあなたが指揮を執りなさい。一刀は軍師として、蓮華を支える事」
2人「え、私がですか?(俺が?)」
突然雪蓮から指揮を任され、2人はキョトンとする。
雪蓮「大丈夫、袁術ちゃんなんて軽くやっつけられるわよ」
穏「一刀さんは私が補佐をしますので~」
蓮華「……分かりました。では一刀、この戦どう戦う?」
少し考え、一刀が口を開く。
一刀「……相手が袁術だから、伏兵で横撃を仕掛ければ簡単に崩れるんじゃないかな?健、思春。お願いできる?」
2人「応(いいだろう)」
蓮華「では孫仲謀、これより全軍の指揮を執る!各部隊、迎撃体制をとれ!全軍……突撃ーーーっ!」
蓮華の声に兵達が呼応し、袁術との戦が始まった。
一刀「戦況は!?」
穏「袁術軍は真っ直ぐ突撃してきましたよ。さすがおバカさんですね~」
一刀「よし、銅鑼を鳴らして!」
穏「はい、じゃあお願いします~」
ジャーン!ジャーン!ジャーン!
健「おっ、出番やな。白狼!遅れんなよ!」
白狼「分かっているさ、師父!」
健「太史慈隊!敵に横撃を仕掛ける!『鎌鼬』はいつも通り、一人一殺!」
『鎌鼬』とは、健が鍛えた‘あの’伏兵達の事だ。
健達の動きを見て、一刀が名づけた。今では孫策軍全体に浸透している。
兵士「応!」
兵達の声と共に、健は風の如く敵に向かっていく。
健と思春の部隊の横撃を受け、袁術軍はいとも簡単に崩れていった。
亞莎「蓮華様!敵が総崩れとなっています!今こそ突入の好機かと!」
蓮華「お姉様!」
雪蓮「分かってる。……行ってくるわ、冥琳。健を借りるわね」
冥琳「ああ。……本当に良いのだな?」
雪蓮「ええ。……健!」
健「応、聞いてるで。……じゃ、行ってくるわ」
冥琳「ああ。気をつけてな」
冥琳に手を振り、雪蓮と健は城内へ向かった。
張勲「はぁ……はぁ……美羽様、大丈夫ですか?」
袁術「うう……七乃ぉ~怖いのじゃ~」
袁術はもう泣きそうだ。
張勲は袁術を守りながら戦っているので、疲労の色が濃い。
袁術「疲れたのじゃ~。七乃、おぶってたも」
張勲「無理ですよ~。私も体力の限界がジリジリ迫ってるんですから~」
袁術「うう~。もう一歩も歩けんのじゃ~」
健「じゃあ大人しくしといてや」
2人「っ!」
驚いて振り向くと、そこに健の姿があった。
袁術「ギャーーー!!」
張勲「出たーーーっ!」
健「おい、俺は化けモンか」
いきなり金切り声を上げられたので、若干顔をしかめる。
袁術「お、お前は誰じゃ!妾の前に立つなど、無礼な!」
健「あー、始めましてか。俺は太史慈、字は子義。孫策配下の武将や」
張勲「太史慈さんって、孫呉の神風とか呼ばれてる方ですか?」
健「そう、それ」
袁術「そのような者が、妾に何の用じゃ!」
健「ん?君ら捕まえに」
張勲「……美羽様、相手が悪すぎます。もう逃げられません」
袁術「うう~、短い人生じゃったのう。七乃ぉ~」
張勲「うう~、美羽様ぁ~」
逃げられないと観念したのか、2人は抱き合って泣き出した。
しかし、次に出た健の言葉は意外なものだった。
健「あー、泣かんでええ。別に命は取らんから」
2人「うう~……え?」
突然の言葉にキョトンとする2人。
そこに雪蓮がやってきた。
雪蓮「あら、健。2人を捕まえたの?」
健「応。じゃあ雪蓮、後の説明よろしく」
雪蓮「分かった。……袁術ちゃん」
袁術「ひくっ……何じゃ?」
雪蓮「私達はあなた達を殺す事はしないわ。『憎しみからは何も生まれない』……うちの天の御遣いの言葉よ」
憎しみからは何も生まれない。……この戦の前に、一刀が雪蓮に言った言葉らしい。
その言葉を聞いて雪蓮はずっと考え、この答えに至ったそうだ。
雪蓮「それに、あなたはまだ幼い。今からでも勉強すれば、いい太守になれると思う。だから、うちでその勉強をしない?」
袁術「……勉強は嫌いなのじゃ」
雪蓮「でもそれじゃ、あなたはきっと今のままよ。張勲ちゃんも、袁術ちゃんがこのまま世間知らずでいいと思ってる?」
張勲「それは……でも、私は美羽様が幸せにさえなれば……」
雪蓮「幸せになるためによ。その方法を、これから勉強していかない?」
袁術「……孫策よ」
雪蓮「何?」
袁術「……蜂蜜水は飲めるかの?」
雪蓮「それもあなたの努力次第」
袁術「……分かったのじゃ。孫策よ、妾はそなたの所で勉強するのじゃ」
張勲「美羽様、いいんですか?」
袁術「うむ、妾は七乃にも幸せになってほしいからの。頑張るのじゃ」
張勲「美羽様……」
健(なんや……。世間知らずなだけで、いい子やん)
こうして孫策軍は戦を制し、呉の領土を奪還する事に成功した。
また、袁術と張勲は孫策の所で勉強していくと言う事で、保護する事になった。
そして、その夜……
健(うう……。昼間勢いであんなに言うたものの、冥琳に何て話そうか……)
健は悩んでいた。
戦の前の話の続きを冥琳とするためだが、どう切り出したらいいか分からなかった。
その為、さっきから冥琳の所へ行きかねている。
と、そこに
一刀「あれ、健?」
この件での先輩登場。
健「ああ、一刀。ちょうどええ、ちょい相談に乗ってや」
一刀「何?」
健「いや、冥琳の事なんやけど」
一刀「ああ。いよいよ告白でもするの?」
健「……俺は生まれてからそういう事には縁が無くてな。これが‘好き’って感情なんかよく分からん」
一刀「……健にとって、冥琳の存在ってどういうもの?」
健「初めは‘信頼できるヤツ’やったけど、最近は‘一番自分をさらけ出せる人’って感じか。……多分呉の中で一番守りたい人間や」
一刀「冥琳がいなくなる事は?」
健「考えられへん。ってか俺がさせん」
一刀「……それだけ想ってるなら、健は十分冥琳が好きなんだと思う」
健「そか。……でも、これは冥琳に言ってええモンか?」
一刀「もちろん。自分の想いを素直に伝えたらいいと思う。冥琳もきっと同じ気持ちだと思うよ」
健「そか。……一刀」
一刀「ん?」
健「冥琳のとこ、行ってくるわ」
一刀「ん、頑張れよ」
健「応」
力強く返事をして、健は冥琳の所へ向かった。
一刀(……少しは役に立てたかな)
それを一刀は満足そうに見ていた。
健「冥琳」
冥琳「ん?健か。どうした?」
健「あ、いや、昼間の話の続きをしよかと……」
冥琳「そ、そうか……」
その時の事を思い出し、2人とも赤くなる。
健(自分の、想いか……)「冥琳」
冥琳「な、何だ?」
健「俺も、冥琳と別行動の時はつまらんくてな。お前がそばにおる事が当たり前みたいなモンやと思ってたみたいなんや」
冥琳「……ああ、私もだ」
健「でな。いろいろ考えてるうちに、気づいた」
冥琳「何をだ?」
健「……冥琳が、俺の中でメチャメチャ大事な存在やって」
冥琳「っ!」
一呼吸置いて、言う。
健「冥琳、好きや。めっちゃ好きや」
冥琳「……私は可愛げの無い女だぞ?」
健「そんな冥琳を、俺は好きになったんや」
冥琳「……」
冥琳はしばらく俯き、やがて顔を上げた。
目に、涙を溜めて。
冥琳「……私も、お前が好きだ」
涙声で、搾り出すような声。
それでも、健にはしっかり届いた。
冥琳「健、好きだ」
健「冥琳、好きや」
お互いに呟き、抱きしめあい、唇が重なった。
G「孫呉独立編はこれにて終了ですね」
一刀「健と冥琳、よかったね」
G「周りで見てる側はいつもニヤニヤ物でしたね」
一刀「はは、確かに」
G「さて、今回は次回予告はお休みと言う事で」
一刀「? 何で?」
G「基本作者は原作と同じ時間軸で動いています。呉ルートを知っている方は考えてみて下さい」
一刀「?」
G「では、次回で」
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第16話です。
孫呉独立への戦、そして健と冥琳の関係。
作者は健×冥を温かく見守っていきます。