一刀が初陣を終えてはや1週間。
荊州に現れた黄巾党は壊滅状態になり、他の地域でも力が明確に現れ出した曹操や袁術の従姉である袁紹。
幽州の公孫賛や義勇軍を結成し、連戦連勝の劉備が頭角を顕してきた。
そして遂に朝廷より黄巾党討伐の大号令が発せられた。
黄巾党本隊及び各地より小隊が集まるは冀州、その数凡そ20万。
そして孫策達も袁術の命により本隊殲滅のため出陣の準備を始めるのだった。
未だ人の命を奪う事に戸惑いを感じる一刀を置いて………。
「―――――そんな訳でお馬鹿な袁術に言われて私達が本隊と当たる事になりました~♪」
「何を引きつった笑顔で説明口調で話てるの雪蓮?」
「ぶ~! だって、しかたないでしょ。
そういう気分に嫌でもしなきゃやってらんないんだもの。」
「まあ、たしかにな。」
「あの人達はホントお馬鹿さんですからね~。」
「全く同感じゃ。」
袁術の命令を引っさげて帰って来た雪蓮は皆を集めて説明をしていた。
「ただあの子の馬鹿で一つ朗報もあるわ。」
「それはなんだ?」
「呉の旧臣達を呼び戻していいってさ。」
「なるほど、それはあの馬鹿に感謝せねば。」
「ほんとですね~、それじゃ早速使者を送りますね。
え~と甘寧ちゃんに周泰ちゃん、それに孫権様に尚香様辺りでよろしいでしょうか~?」
「尚香はダメよ、万一の時に呉の後継者がいなくなっちゃう。」
「わかりました~。
それでは使者の選定とそれが終わりましたら兵站の準備をしますね~~。」
「お願い。」
「わかりました~。」
そう言って穏はその場を離れ、残るは雪蓮と冥琳、そして祭のみとなり。
雪蓮が気になっていた事を問いだした。
「…そう言えば一刀は?」
「あやつなら調練所で一心に剣を振るっておったぞ。
この1週間ずっとな…。」
「そっか~、どうしよう冥琳今回あの子連れてく?」
「もちろん連れて行く。」
はっきりと言い放つと冥琳は祭の方を向いた。
「祭殿、兵の準備は私がしますので北郷を見てもらえますか?」
「ん? ワシにどうしろと?」
「〝覚悟〟をつけてやってください。
方法はお任せしますので。」
「なるほどの~~、うむ! しかと任された。」
そう言って祭も調練所に向かってその場を去り。
断金の二人が残った。
「…祭に任せて大丈夫かな?」
「大丈夫さ。 ……多分。」
…俺はこんな所でなにをしている?
あの日から俺はおかしい。
何を食べ、何を飲んでも血の味しかしない。
…俺はどうしたんだ?
一体俺は……………………?
「北郷!!」
俺を呼ぶ声がし、そっちを向くと祭さんが一振りの剣を持って立っていた。
「…どうかしたの祭さん?」
「な~に、一つお主を揉んでやろうと思っての。
ほれさっさと構えい!」
「剣でやり合うの?」
「おお、今のお主なら本来の獲物でなくとも十分じゃ。」
「…やだよ。」
「なに!?」
「嫌だと言ったんだ。」
俺は断りを入れ、脱いでた上着を持ってその場を離れようとする。
その瞬間…、
<ガキッン!!>
いきなり切りかかられ反射的に虎月でその一撃を受けた。
「な、何を…?」
「言ったであろう、少し揉んでやると。」
「だから俺は嫌だと……。」
「…何を怯えておる。」
「!! 怯えてない…。」
「ふん! 何を言っているこの臆病者が。」
「俺は怯えてなんかいない!!」
虎月を構え、俺は祭さんに切りかかる。
そして四半刻(約30分)後…。
「は~、は~。」
俺は地面に大の字で倒れていた。
結局俺の攻撃は一度も当たらず、刃引きされた祭さんの獲物で一方的に殴られた。
「…北郷よ。
策殿とまともにやりあえたお主が何故ワシに負けたかわかるか?」
「………。」
「それは〝覚悟〟の差じゃ。」
「かく…ご……?」
「そうじゃ、お主の剣からは〝覚悟〟をまったく感じられん。
それどころか刀身にお主の臆病顔が映っておったわ。」
「怯え…。」
「そうじゃ…、と言ってもお主にはわかるまい。」
そう言うと祭さんは目をつむり一人でブツブツ言って何かを考えだし。
手をポンと打って目を見開いた。
「うむ! お主今回は武官では無く文官、軍師として参加せよ。
そして策殿の妹である孫権殿と行動を共にせよ!!」
「えっ!?」
「うむ、それがいい。
ハーハッハッハッハーーー。」
などと自己完結して祭さんは行ってしまった。
祭さんに叩きのめされて2日が経った。
俺は現在冥琳の横で行軍している。
2日前、祭さんに言われた通り今回の俺は軍師見習いとして参加している。
昨日から冥琳に軍師の心構えや仕事等を一緒にしながら教わった。
今俺達は雪蓮の妹である孫権と合流するため合流地点で休憩している。
と言っても雪蓮と祭さん、冥琳は別である。
理由は此処に来る前に黄巾党の一隊と戦い、その時単騎で突っ込んで行った雪蓮と尻馬に乗った祭さん達のお説教のためである。
そんな訳で俺は一人地面に座って空を見ている。
2日前に祭さんが言った事を思い出しながら。
『お前は怖れておる』
『孫権殿と行動せよ。』
そして冥琳によるお説教タイムが終わって三人(内二名が灰色)が戻ってきた頃。
一人の兵士より〝孫〟の牙門旗を掲げた一団がこちらに向かってくると報告があった。
いよいよ孫権との面会を果たす。
「お姉さま!!」
到着した一団の中から雪蓮と髪と瞳が同じ色の娘が出てきた。
おそらくあれが孫権だろう。
「今報告を聞きました。
敵陣に単騎で突入するとはどういう事です!!
あなたは呉の……………――――――――。」
灰色だった雪蓮がさらに白くなっている。
「雪蓮が名の通り雪みたいに白くなっていく…。」
「誰がうまい事を言えと言った…。」
「!!」
何となく呟いた一人言に冥琳、そして孫権が反応した。
「貴様!! なぜ姉さまの真名を口にする!!」
「いいのよ、一刀には真名を許してるから。」
「なっ!!」
いきなりこっちに怒りの方角を向けた孫権に落ちていた色合いが戻った雪蓮がとめに入ってくれた。
「雪蓮様が真名を?
私には胡散臭い男にしか見えませんが…。」
「胡散臭いとかじゃないですが真名を教えたのには違和感を感じます。」
孫権の後ろからさらに二人の女の子が出てきた。
一人は長い黒髪で少し背の低い子、もう一人は眼光のするどい子だ。
「まあ、そうかもしれんな。
ただこの男はお前達の夫になるかもしれん人物だ。」
「「「ええっ!!」」」
冥琳の言葉に(当たり前だが)驚く三人。
しかし雪蓮は気にせず話を続ける。
「ほら、一刀ってば菅輅の占いに出てきた〝天の御遣い〟なの。
その血が呉に入れば畏敬と畏怖が手に入るでしょ。
だから一刀を保護した時に契約したの、次代の孫呉を担う蓮華やあなた達ぐらいの歳の娘を孕ませろって。」
「な、何たる浅慮!
姉さまは私達の意思を無視するおつもりですか!?」
「そりゃ無視するわよ。
それに蓮華、孫呉の一族であるあなたは特に。」
「なっ!」
「孫呉は強国にのし上がって母様の夢であった天下を統一するには人がいる。
そのために必要なのは人々の風評、一刀はそのために大事な人なのよ。」
「…ずるいです姉さま。
お母様の名を出されたら何も言えないじゃないですか。」
「うん、知ってる。
けど安心なさい強制ではあるけどどうしても嫌なら諦める。
一刀にもそう言ってあるし。
ま、なんにせよお互いわかり合いなさい。
そんな訳で早速三人とも真名を「待ってくれ!」…ん?」
真名を俺に預けろと言おうとする雪蓮を止めた。
「どうしたの一刀?」
「前に雪蓮が(冥琳だったかな?)言ってただろう、
『真名とは神聖な名で我々の誇りだ』って。」
「たしかに言ったわ…ね?
(私が言ったんだっけ?)」
「それにその…こ、子作りも同意の上って話だったし真名を預かるのもそうしたいんだ。」
俺の言葉に雪蓮だけでなく皆が静まる。
「そっか…、そうよね、だったらそうしなさい。
けど簡単な自己紹介は今行いなさい、まずは一刀から。」
「それじゃあ俺から。
俺は北郷一刀、姓が北郷で名が一刀、字と真名は無い。
一応武官だが今回は軍師として参加している。
よろしくね。」
簡単な自己紹介を終えると長い黒髪の子が一歩前に出た。
「姓は周、名は泰、字は幼平。
そ、それと…ま、真名は明命! 一刀様、よろしくお願いします!」
「え!? 真名…、よかったの?」
「はい!!」
「そっか…。」
言いながら真名を預けてくれた女の子に手を差し出した。
「あ、あの…!?」
「握手だよ、ダメ…、かな?」
「いえ! で、では僭越ながら……。」
恐る恐る手を握り返してくる。
「これからよろしくね。」
「はい! こちらこそです!」
元気いっぱいに返事を返してくれる。
ああ…、この子はとってもいい子だ。
明命が下がると今度は目つきの鋭い子が前に出てきた。
「……我が名は甘寧。字は興覇。
………はっきり言って胡散臭すぎるので真名は預けぬ。」
「別に構わないよ、俺だってそんなの百も承知だから。
まあ、なんにせよよろしく。」
「よろしくするかどうかは孫権様次第だ……。」
差し出した手を無視しつつ甘寧は孫権の後ろへと下がった。
そして最後は…。
「それじゃあ孫権。」
「なんだ!」
「今言った通り今の俺は自分でも胡散臭い奴ってよくわかってる。
そんな奴に大事な真名は預けたくないのもよくわかる。
だから少し俺の事を見てて欲しい、胡散臭い奴の言葉なぞどうせ信じないだろうし。」
そう言って俺は今回は手を出さずに話しを終えた。
「ふむ、顔会わせは終わったな。
せれでは軍の再編成に入る興覇、幼平は黄蓋殿の下に付け。」
「「御意!」」
「前曲は黄蓋殿、その後ろに穏と私が、さらにその後ろに本隊を雪蓮が。」
「待て、そうすると私は何処に?」
「蓮華様は輜重隊を率いて遊軍となります。」
「それに北郷、お前もじゃ。」
「なっ!?」
「……了解。」
「なぜ私がこの男と「それじゃあ一刀、蓮華が危なくなったらちゃんと守ってあげてね♪」」
「……ああ。」
「わ、私は自分より弱い奴に守られるほど落ちてなどいない!!」
雪蓮のセリフに激昂する孫権
しかし雪蓮は気にせずに続ける。
「あら、一刀は私と同じぐらいの強さ。
って事は蓮華よりは強いわよ。」
「「「えっ!?」」」
その言葉に再び一緒に驚く孫権、甘寧、明命。
「ど、どうして雪蓮様と同等の力があって軍師なのです!?」
「それは……、一刀が冥琳のお気に入りだからよ。」
「ふむ、まあ仕事を放り出したり敵陣に単騎で突入する君主よりは好感が持てるのは確かだがな。」
「あう…、藪蛇だった………。」
そんな断金の漫才(冥琳は必死に否定するだろうが)に軽く笑いが出一行はさらに行軍を開始した。
孫権達が合流しての行軍も終わりをつげる。
もうすぐ太陽が山と重なり合うという頃、遂に俺達は黄巾党の本隊が篭る城が見えた。
その周りにはたくさんの軍勢が集まっていた。
「〝曹〟、〝袁〟、〝公孫〟、それに〝劉〟。
いい感じに集まってるわね。」
「ああ、ここまでは予想どうりだ。」
「後はどうやってうまい所をいただくかじゃの。」
ここに居るのは皆手柄が欲しくて集まってきた連中だ、うまくやらないと利用されるだけになってしまう。
「穏、確かこの城の地図があったな。」
「ありますよー、もともと太守さんの持ち物だったお城ですからね。
……はい、これですーー。」
皆が集まって地図を眺めだした。
見るからにめんどくさそうな城だ。
そんな事を考えてると誰かが「火の玉になって突撃しよう」と言う声や「賛成じゃ」。
それに対して諌める声も上がる。
それを無視して地図の上に置いてある碁石の建物を教えてもらう。
「本丸の西に宿舎、そしてそこから西に倉か…。」
「どうした北郷? 何か思いついたか?」
「うん、ここの倉に夜の闇にまぎれて火を放ったら宿舎と本丸に大打撃を与えられないかなって。
最後に寄った街の本屋の風土記にはこの辺の今の時期は夜になると東への風がふくと書いてたし。」
「ほう、ちゃんと軍師として戦地の情報を得てはいたか。
よし! 北郷の案を採用しよう。」
詳細は………―――――」
そして軍儀の結果今夜、雪蓮と祭さんが城門前で陽動として待機。(黙っててもうるさそうでピッタリだと俺が進言、冥琳黙認)
その間に明命と甘寧が城内に侵入して火を放つ。(明命が見た目忍者っぽいので納得)
火が回ったところで雪蓮と祭さんが城内に突入、その瞬間俺と冥琳で城壁の弓兵を弓兵で排除。
そんな概要で軍儀は一時解散となった、後は作戦決行の夜を待つ。
その間も俺は考えていた、直接手を下すわけではないが人を殺すという命令を出すことを…。
…………………。
……………。
………。
…。
「……一人で何をしている?」
「考え事…かな?」
ずいぶん悩んでいたようだ。
回りはすでに日が暮れて真っ暗になっている。
「何を考えている……?」
「……〝覚悟〟ってなんだろう?」
「覚悟?」
「ああ。」
「よく…わからないわ。」
「そうか………。
………孫権はどうしてここに?」
「わ、私は、その………。
………こ、これが私の初陣なんだ。緊張して何が悪い。」
拗ねた口調に出陣前に冥琳に孫権の事を聞いた時の言葉を思い出す。
『呉の王者たらんとして無理をしがちな方』か…。
ちなみに雪蓮は、
『可愛くておっぱいが大きくてお尻が呉の国宝と言われてる子よ♪』だった。
閑話休題
「お、お前はもう初陣をはたしたというから……。
い、いや、決してお前に初陣をどうやって乗り切ったのかを聞こうとかでは「怖くは無かったよ。」……え?」
「ただ………、その時に初めて人を殺したそれがすごく「怖かった……?」
……わからない。」
「………私は呉の王族のはしくれとして兵達の上に立つ。
そして兵達を民達を守ってみせる。
たとえその手段が相手を殺す事ならそうしてでも……。」
グッと拳に力を入れ、俺を見てくる孫権。
その顔は月の光に照らされ、どこか作り物を見てる感じた。
無理しているそれはだれが見てもわかるが俺は同時に祭さんの言った事がすこしわかった。
この子は〝覚悟〟をもう持っているんだ。
守るために敵を殺す覚悟を………。
「孫権…。」
「な、なんだ…?」
「……ありがとう。」
作戦実行時刻
「作戦を開始する。興覇、幼平。 行け!!」
「「御意!!」」
スッと闇に消える二人。
さらに冥琳の指示は続く。
「黄蓋隊は城門前へ。」
「応!」
祭さんも部隊を率いて移動する。
「孫策隊は火が上がったら黄蓋殿と合流して城門を突破して。」
「了解。」
「北郷は二人が突入すると同時に私と一緒に弓兵達を指示し、前の二隊を援護する。」
「わかった!!」
「……迷いは消えたようだな。」
「ああ!」
「そうか……。
孫権様と伯言は後曲で待機。」
「わかった。」
「は~い。」
「それでは各自持ち場に移れ!」
その言葉をきっかけに雪蓮の隊は少し前に出、孫権、穏は後方に下がろうとする。
その時孫権に声を掛けられた。
「北郷、その…、ぶ、武勇を祈っててやる。」
「そっちも初陣を緊張で終わらないようにな。」
「う、うるさい!」
耳まで真っ赤にして後ろに下がっていく孫権を見て少し笑みがでてしまう。
もっともすぐに冥琳から「ずいぶんと仲がよくなったようだな。」
などと言われて先ほどとは違う笑いが出てしまった。
それより数分後、城内から煙があがった。
「今だ雪蓮!!」
「よし! 今こそ決戦の時! 皆の者、雄叫びと共に猛進せよ!!」
雪蓮の鼓舞により士気の上がった孫呉の兵達が突撃する。
火計も順調に城内を混乱させ勝敗は決まったも同然だった。
戦いに勝利した歓喜と興奮が陣を包んでいた。
そんな中俺は一人仰向けになって月を見ていた。
もう迷いは無い! そんな感じだ。
そんな事を思っているとこっちにやって来る人影があった。
「どうしたの?」
「ん? ああ、孫権か。
少し考えごとを…。」
「何を考えてたの?」
「この間の出陣からの迷いごと。」
「?」
「そう言う孫権は何しに此処へ?」
立ち上がって孫権をじっと見る。
孫権は少し赤くなって目線を地面に向けてつぶやきだした。
「その……、貴方に謝罪しようと思って。」
「? 何かあったっけ?」
「だから……、貴方に失礼な態度をとってしまって。
貴方の戦いぶりをみさしてもらってそう思ったの、だから……。」
「いいよ別に、最初言ったけど俺は自分でも自分が胡散臭い奴だって思ってるしそれを孫権が気にする事は無いよ。」
「気にしなくていいと言われても私は気にするの。
だから…、私の気の済むようにさせて欲しいの……。
…ダメかしら。」
「…わかった、好きにしてくれ。」
「ありがとう」
わずかに微笑む孫権が、ゆっくりと手を差し出してきた。
「私の真名は蓮華という。
……この名、貴方に預けるわ。」
「いいのか?」
「ええ、それが私のケジメの付け方だから。」
「そうか、それじゃあ謹んで真名を頂戴するよ。
それから俺もちゃんと言いたい事があったんだ。」
「? なにを?」
「俺はこの世界に来て世話になったのは雪蓮や冥琳達だけじゃない、屋敷に居た皆に良くして貰って俺はこの世界で生きていけたんだ。
そして俺はそんな人達が大好きだし守りたい。
俺の居た世界ではただ強くなりたかっただけ、…ただそれだけで良かったんだ。
けど今は違う、大事な人達を守るために強くなりたいし守るためなら迷わず切る。
たとえその切った人達に恨まれても自分の大事な人達を守るために。」
「……………。」
「俺は神様じゃない、全ての人は守れない。
…だから大切な人だけは絶対守りぬく、それが俺の〝覚悟〟だ!
だから孫…いや蓮華。 ありがとう。」
おれは感謝を心から込めて彼女に手を重ねた。
「それとこれからもよろしく。」
「よろしく。 一刀……。」
「ああ、それに蓮華の事も絶対守って見せるから。」
俺の瞳をジッと見つめ、月明かりを浴び柔らかな微笑みを見せてくれた蓮華に見惚れながらも誓うように言葉をつむいだ。
この子を絶対守りぬくという〝覚悟〟を決めて。
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黄巾の乱後半戦。
ついに当作品のメインヒロイン蓮華様登場です。
11/8一部手直し。
報告ありがとうございました。