ランスを仲間に加えたシャドウ一行は、残りのスピリッツを解放しに行こうとしていた。
「あ、シャド兄!」
「お待たせしました~」
そこに、カービィ、りょう、マリオ、ルカリオ、アイシャ、ファルコン、ヨッシーがシャドウ達と合流する。
「あら、そこにいるのはヨッシーね」
「マリオさん達が助けに来てくれました~」
ヨッシーはキーラに操られたが、マリオ達に助けられた事をシャドウ達に報告した。
「大事な俺の相棒だから頑張って助けたんだぜ」
「マリオさ~ん、相棒だなんて照れますよ~」
「……乗り捨てたりしないわよね?」
「今は、な」
昔、マリオはヨッシー族を乗り捨てた事があるらしい。
現在はそんな事はなくなっているが、念のためにベルはマリオにそう言った。
「まあ、これにて仲間は増えた事だし、スピリッツを解放しましょう」
「うん! 頑張るよ!」
ランスはぶんぶんと槍を振るって気合を溜める。
もちろん、槍は仲間達に当たらないように、だが。
「やる気満々だね~、ランス」
「そうだよ! ボクは大王様のためならどこへでも行くから!」
「僕も、食べ物のためならどこへでも行くよ!」
同じミルキーロードの出身者だけあって、カービィとランスは意気投合したようだ。
その様子を見たアイシャは、ニッコリと微笑んだ。
「二人とも、動機が単純だなぁ。だがそれがいい」
「そうだな。子供らしくていいぜ」
一行はヨッシーアイランドで、キーラにスピリッツ化された者達を次々に解放していった。
キャプテン★レインボーに変身するニックや、剣法を指南する剣士・鷹丸、ニンテンの仲間のアナ、
リンクが夢の島で出会ったマリン、スターウルフのパンサーなど……。
「綺麗なスピリッツがいっぱいいますわね~」
「うん! 可愛かったよ!」
カービィとアイシャがスピリッツに見惚れていると、ベルがあるスピリッツを見つけて立ち止まる。
「あれ? どうしたの、ベルベル?」
「ちょっとこれ、見て」
「……」
ベルが見つけたスピリッツは、緑の全身タイツに身を包んだ、不細工な顔立ちの男だった。
「……これは?」
「チンクル。出身世界はハイラル。自分を妖精だと思い込んでいる男。35歳独身」
ベルが何とも言えない顔でスピリッツを説明する。
「……醜悪だな」
「不細工だ」
「何これ~」
シャドウ、シーク、ランスは、全員同じ意見を言った。
あまり意見が合わない三人だが、この時だけは意見が合っていた。
「……ま、とりあえず、こいつも解放しなくちゃね」
ベルは大鎌を構え、チンクルに戦闘態勢を取った。
カービィ、シャドウ、シーク、ランスも、彼女に続いて構えた。
「あ、私も入れてくださ~い!」
ヨッシーも遅れて、彼らと同じように構えた。
「あっけなかったわね」
チンクルとの戦いは、あっさりと終わった。
妖精だと思い込んでいるただの独身男に、本物の死神が負けるわけがなかった。
「さて、こういうのも一応スピリッツになるから、入れておくわ」
ベルはチンクルのスピリッツをスピリッツボールの中に入れる。
その後、スイッチを感知してシャドウのカオスコントロールでそれがある場所に連れて行ってもらい、スイッチを押して青いバリアを消した。
「これでとりあえず、スピリッツはみんな助けたかな?」
カービィが辺りをきょろきょろと見渡す。
散らばっているスピリッツはほとんどなく、ヨッシーアイランドのエリアはもう終わりかと思われていた。
「待て!」
その時、ルカリオがヨッシーアイランドにある波導を察知したようで通知する。
「ルカルカ、どうしたの?」
「波導を……感じる……!」
「え、誰の波導!?」
「こっちだ、ついてこい!」
そう言って、ルカリオは波導を察知した場所に皆を案内していった。
カービィ、シャドウ、ベル、アイシャ、マリオ、ヨッシー、ファルコン、マルス、シーク、りょうは急いで彼についていった。
「ま、待って~!」
ランスも、遅れながらみんなについていった。
「フフフフフフ……」
ルカリオが波導を察知した場所には、マリオの従兄弟・ドクターがいた。
ドクターは含み笑いをしながら、倒れたプリムの身体をメスで解剖している。
彼の瞳は、真っ赤に染まっていて、正気なようには見えなかった。
「まだこっちには気付いていないようだが……」
突撃するか、おびき寄せるか、忍び寄るか……。
見つからないようにドクターにダメージを与え、有利な状況にする必要があるようだ。
「よし、僕が忍び寄ろう」
「頼むぞ」
シークはこっそりとドクターに忍び寄り、懐から仕込針を取り出した。
「ギャッ!?」
「……完璧だな」
ドクターは背後にシークがいる事に気づかないまま、仕込針の攻撃を受けた。
「よし、一気に行くぞ!」
「うん!」
マリオ、カービィ、シーク、シャドウ、ベル、ランスは、その隙にドクターに突っ込んでいった。
「ウ、ウグググ……!」
怯んだドクターは何もできずに六人の攻撃を一方的に受ける。
今、ドクターとの戦いが、始まった。
「やぁーっ!」
ベルはドクターに大鎌を振るが、ドクターはシールドで防御する。
ドクターはカービィのフェイントをかわした後、シークを蹴って攻撃した。
「うわぁ!」
「目ぇ覚ませ、ドクター!」
「ボクの目を見てよ!」
マリオの拳とランスの槍がドクターに当たるが、致命傷にはならなかった。
「そこだっ!」
シャドウはドクターの腕に狙いを定め、拳銃でそこを撃った。
ドクターは腕を押さえて一瞬だけ動きを止め、その隙にマリオがファイアボールでドクターを攻撃した。
「大事な従兄弟だからな……俺が助けてやるよ」
「グググ……カイボウシテヤル……」
「ドクター! 駄目だよー!」
カービィがドクターを止めにかかるが、ドクターは歩みを止めずマリオに突っ込んで心臓マッサージをしようとした。
しかし、その心臓マッサージをマリオはジャストシールドで完全に防いだ。
「セッカクナオソウトオモッタノニ……」
「治すのはお前の方だ」
シャドウはそう言って、ドクターに拳銃を撃つ。
ランスも槍を振り回しドクターを攻撃した。
「ボクは助けられたんだ。だから、ボクも助ける!」
「タスケルカ……タスケラレルナラコイ!」
「今、助けるよ! バーニング!」
「ウアーーーーッ!!」
カービィは全身に炎を纏い、ドクターに体当たりした。
先程の一斉攻撃が効いたのか、ドクターはその一撃で倒された。
「あ、もう終わっちゃったの?」
「ドクターはあまり戦闘は得意じゃないからね」
「わたしが治してあげますわ」
アイシャは倒れたドクターに傷を癒す術を使い、ドクターを意識不明から回復した。
「う~ん……あれ? ここはどこだろう……」
「おはよう、ドクター」
マリオの声と共に起き上がるドクター。
ドクターはキーラから解放されており、目は元の色に戻っていた。
「あ、ドクター! 元に戻ったんだね! よかった」
「わ、カービィ君、何するんだよ」
カービィは正気に戻ったドクターに抱き着く。
「だってぇ~、ドクターはアイシャちゃん以来のヒーラーだもん!」
「そ、そうかい……」
「それにマリおじちゃんの家族だもんね!」
「はは……僕の従兄弟のマリオ君とルイージ君の事かい? ルイージ君は、まだいないようだけど」
「実は……」
マリオは、ドクターにこれまでの事情を話した。
「なるほどね。キーラという奴が僕達をこんな目に遭わせたのか」
「当分はキーラに捕まった人達を助けに行く事にしたんだ」
今の彼らの目的は、キーラに奪われた者の奪還だ。
ファイターだけでなく、肉体を失った住民、スピリッツも助けなければならない。
それらを聞いたドクターは、凛々しい表情で頷く。
「じゃあ、僕も一緒に行くよ。戦うのは苦手だけど、だからといって逃げるわけにはいかないしね。それに、怪我したら僕が治してあげるからさ」
ドクターは争いを好まない性格だが、いざという時の行動力はかなりのものだ。
普段はあまり見せない従兄弟の表情を見たマリオも、同じ表情で頷き返した。
そして、マリオとドクターは互いの手を取った。
「一緒に行こう、マリオ君!」
「ああ……ドクター!」
~ベルのスピリッツ名鑑~
ニック
出身世界:ミミン島があるどこか
性別:男性
自由の国マメルカのヒーロー、キャプテン★レインボーの変身前の姿。
時代の流れで落ちぶれてしまった彼は、再び人気者になるため、ミミン島に向かい、困っている人を助けに行く。
鷹丸
出身世界:江戸
性別:男性
江戸で剣法指南を勤める剣士で、忍術も使える。
ムラサメの噂を聞いた幕府から村雨城に送られる。
アナ
出身世界:アースボーンド
性別:女性
ニンテンの仲間の一人で、雪国出身の少女。
明るく無邪気で、子供っぽい性格。
戦闘ではフライパンと多彩なPSIを使う。
マリン
出身世界:ハイラル
性別:女性
リンクが夢の島で出会った、青い衣の少女。
穏やかな性格だが、ある事をすると……。
リンクが夢の島での冒険を終える時、彼女もまた、悲しい結末を迎える。
パンサー・カルロッソ
出身世界:スペースワールド
性別:男性
スターウルフのメンバーの一人。
美女を見ると口説かずにはいられないほど女好き。
しかし、パイロットとしての腕前は一流。
チンクル
出身世界:ハイラル
性別:男性
自分を妖精だと思い込んでいる35歳の独身男。
緑の全身タイツを着ているのが特徴。
風船で空を飛びながら地図を書いている。
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ドクターマリオ救出回。
彼に関しては私独自の解釈になってますのでご注意ください。