No.104513

真・恋姫†無双 臥竜麟子鳳雛√ 1

未來さん

真・恋姫†無双の二次創作小説です。
初投稿どころか、SS作ることそのものが初めてなので、
未熟な点も多々あると思いますが、よろしくお願いいたします。

追記: 09/11/12 タイトル変更いたしました。

2009-11-01 16:03:39 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:56856   閲覧ユーザー数:39225

 

はじめに

 

 

本作はPCゲーム『真・恋姫†無双』の二次創作小説です。

しかしどちらかと言えば無印版に近いかもしれません。

 

 

一刀はチート『ではありません』

(無印版+蜀√)÷2な感じの一刀を意識して書いていきますので、期待している方はご注意ください。

あと、いきなりですがオリキャラが1名登場します。オリキャラが苦手な方はご遠慮ください。

 

 

 

上記のことを注意なさった上で読んで頂ける方は、どうぞよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

鞄から鍵を取り出して、ドアを開ける。

部屋に入るなり、大きな鞄を床に下ろして

 

 

 

 

ドサッ

 

 

ベットに倒れこんだ。

 

 

「(つ、疲れたー。)」

 

剣道部に所属している北郷一刀は練習のせいで疲労しきっていた。

体は悲鳴こそ上げていないものの、筋肉は『もう働きたくない』と訴えてくる。

 

「(不動さんは相変わらず強いなー。少しずつ差は縮まってきてる気はするんだけど……本当に気のせいかもしれない)」

 

疲れた体でベットに横になっていれば、当然睡魔が襲ってくる。

 

「(あーどうしよ。一応学園のシャワー室で汗は流してきたけど…)」

 

着替えもせずに寝てしまうのはマズイ。しかし強烈な睡魔には勝てそうにもない。

 

「(よし、アラームのセットだけして、少し仮眠をとろう。その後飯……食った…り……着替えたりし………て……)」

 

そうして一刀の意識は沈んでいった。

 

 

 

 

 

ふわりと部屋に降り立つ、何者かの姿にも気づかないまま…………。

 

 

 

 

 

 

「しゅ、朱里ちゃん!元直ちゃん!き、きっとこの方がみ、み、御遣い様だよね?!」

「ひ、雛里ちゃん!まだこの方が御遣い様だって分かったわけじゃないよー!」

「でも、こんな陽の光を反射して輝く服なんて見たことないですねー。皇族の方々でもこれほどの服をお持ちかどうか……」

 

 

 

何やら近くで声がするせいか、深く沈んでいた意識が次第に回復してきた。体の疲れはだいぶ取れているようだ。

「(……ん……ぅ……ぅあー……結構寝ちまった。……早いとこ風呂入らないと。)」

一刀はゆっくり目を開ける。まだ風呂にゆっくりと入るだけの時間はあるはずだ。もしかしたら二度寝だってできるかもしれない。

 

 

 

しかしぼやけた視界が回復するにつれ、彼の思惑とは真逆の『ある事実』が判明する。

 

 

 

 

空が………明るい。

 

 

「やばっ!まさか寝過した!?」

 

 

「はわわ!!」

「あわわっ」

「ふわわ~」

 

 

「?」

 

体を起き上がらせ、一刀が叫んだ瞬間、どこからか上がる3つの声。

声の発生源を探してあたりを見回すと、自分の真後ろに

 

 

 

見知らぬ少女が3人、興奮気味にこちらを見つめていた。

 

 

 

 

「(俺、寝てる間に何かした?)」

一瞬そう考えるが、寝てる間に出来ることなど限られているので、その可能性は除外した。きちんと制服のスラックスも履いているので、そういった面での心配もないだろう。それ以前に、そもそもこの3人見覚えがない……はず。

念のためにもう1度、3人の少女を見てみる。

 

 

1人はベレー帽を被った(被せた?)金髪のショートヘアー。ロングにしても似合いそうだが、ショートはショートでとても愛らしい。

かなり小柄な体格で、男なら思わず保護欲が全開になるのではないだろうか。

その当の本人は、一刀の叫びに驚いているのか目をぱちくりさせている。

 

 

もう1人はさらさらとした薄紫の髪をツインテールにした少女。頭に被っているのは魔女っ娘御用達のハットだろうか?

この子もかなり小柄だ。この場に男が10人いれば、12人が帽子を取って頭を撫でたくなるであろう。

この子はこの子で、小さく「あわわ…」と言いながら、金髪の子の袖を握っている。

 

 

最後の子はこの中でも1番落ち着いているかもしれない。ふんわりした茶色の髪を2つの大きな三つ編みにして胸の前で結んでいる。被っているのは小さなシルクハット。妙にマッチしていた。

一刀を心配そうに見つめる彼女も小柄なのだが………

「(デカイ……)」

その華奢な体に不釣り合いな大きな胸。背丈は他の2人と同じくらいなのだが、この部分での主張は圧倒的だ。

 

 

 

「(うん、やっぱり見覚えがない。)」

これだけの美少女達と1度知り合いになれば、忘れるはずがないだろう。

「(何で俺はこんな揃いも揃った美少女に囲まれてるんだろうか。こんな可愛らしい女の子を一度に3人も見られるなんて、今までな……いや、これ以上はやめておこう。クラスの女子に恨まれかねない。)」

 

 

 

「………はっ!えーと……あ、そうだ!あの、大丈夫ですか?」

おっp……ではなかった、三つ編みの少女が心配そうに一刀に尋ねる。

 

 

「え、あ、うん。大丈夫だよ。」

何が大丈夫なのかは分からないが、とりあえず体におかしな所はないためそう答える。と同時にいつまでも座ってるわけにもいかないので、立ち上がる。

 

 

「そうですか、それは良かったです。」

三つ編みの子は柔らかな笑みを浮かべる。

 

 

「(何か優しそうな子たちで安心したな。いきなり囲まれてるから、最初はドキッとしたけど…)」

内心ホッとする一刀。しかし……

 

 

 

 

「ここはどこだ?」

 

 

 

一刀が立っているのは草も生えていないような荒れ地。それが延々と続いており、遠くの方でかろうじていくつかの山が見えるくらいだ。少なくとも一刀が寝ていた自室とは大違いな場所である。

 

 

「こ、ここは荊州でしゅ。……あぅ~」

噛みながらも薄紫の髪の子が教えてくれる。

 

 

「けいしゅう?何か中国の地名みたいなとこだね。」

「ちゅうごく……ですか?んと…元直ちゃん、聞いたことある?そんな地名」

「いいえ、私は聞いたことないけど……雛里ちゃんは?」

「ううん、私もないよ。……もしかしたらこの方は本当に……」

 

 

「(中国を知らない?そんな子今時いるのか?誰もが知ってる国だと思うんだけど…)」

そうやって自分の考えに集中しかけた時

 

 

「ああああの!」

「は、はい!」

薄紫の髪の子がいきなり大きな声を出すので、反射的に答える。

 

 

「あ、あ、あなた様は天のみ、御遣い様でしゅか!?」

「は、はい?てんのみつかい?」

いきなり知らない単語が出てきたので、うまく返答できない。

 

 

「ひ、雛里ちゃん!聞くのがいきなりすぎるよー!」

「雛里ちゃん、そんなに慌てずに、ね?」

 

 

何か向こうは向こうで慌てているようなので、まずは答えを先に伝えようと考える一刀。

「いや、俺は『てんのみつかい』ってものじゃなくて、ただの学生で……」

そこまで言って、すっかり忘れていた重要なことに気づく。

「あーごめん、そういえば自己紹介がまだだったね。俺は北郷一刀。聖フランチェスカ学園の学生なんだけど……君たちは?」

 

 

一刀にそう言われて初めて、自分たちが誰一人名乗っていないことに気づく少女たち。

「あ、これは失礼しました。私は徐庶と申します。どうかよろしくお願いします。」

「へ?じょしょ?」

 

 

「わ、私は!ほ、ほと、鳳統って言いましゅ!」

「ほ、ほうとう?」

 

 

「え、えっと、私は諸葛亮です!よ、よろしくお願いしましゅ!」

「しょ、諸葛亮?!」

 

 

「「「???」」」

次第に大きくなっていく一刀の反応に、3人が一様に不思議がる。

「あ、あのー…私たちの名前がどうかなさいましたか?」

どこか不安げに諸葛亮と名乗る少女が尋ねる。

 

 

「ちょ、ちょっと待って。す、少し俺に考える時間をくれにゃいかな?」

まるでこれまでの鳳統と諸葛亮のように噛みながら答える一刀。

 

 

「は、はい。構いませんけど…」

徐庶の了承も得たところで、彼女たちに背を向け自分の考えに集中する。

 

 

「(徐庶に鳳統に…諸葛亮?いやいや、そんな三国志じゃあるまいし…。

でもこの子たちはここを荊州って……。ドラマや映画のセットにしては、この風景はおおげさすぎるし……。つーかそんなもののオーディションに応募した覚えもないよな?

もしかして及川あたりが仕掛けたドッキリか?

……でもこの子達が嘘をつくような子には……っていうか、3人全員で俺を騙してきてるなら、鳳統ちゃんと諸葛亮ちゃんの慌てっぷりはおかしいだろ…。)

 

えっと、少し質問していいかな?」

 

 

「ひゃ、ひゃい!」

鳳統が一刀の声にびっくりしながらも、答えてくれる。

 

 

「今ってもしかして漢王朝の時代?」

「は、はい。朝廷は腐敗し、力そのものは弱くなっていますが、、現在は12代皇帝劉宏を頂点とした漢王朝の時代です。」

少し落ち着いたのだろうか、鳳統が噛まずにしっかりと一刀へ伝える。

 

 

「(…もしかして本当に……)3人とも字ってあるのかな?」

「はい、もちろんです。私の字は「ちょっと待った。」え??」

「もしかして……」

徐庶の言葉を遮る一刀。

指を指すのはさすがに失礼だと思い、まずの徐庶の顔を見ながら

 

 

「元直」

3人は若干目を見開いた。だがさほど驚くことでもないと思い直す。徐庶の字は先ほどの会話の中にも出ていた。その会話から推測したのかもしれない、と判断する。しかし……

 

 

「士元」

「!!」

 

 

「それに、孔明」

「!!!」

 

 

「だと思うんだけど、合ってるかな?」

「あ、合ってます……」

「あ、やっぱりそうなんだ……それと……」

「ま、まだ何かありましゅか?」

目を大きく見開きながら答える諸葛亮と、再び噛み始めた鳳統。先の一刀の答えに驚きを隠せないでいる。

 

 

「3人とも水鏡先生って人の所で学んでたりしてた?」

「水鏡先生をご存知なんですか?!」

「名前だけはね。ちなみに……お爺ちゃん?」

「い、いいえ、水鏡先生は大変お美しいご婦人ですが……」

「あーそういう展開ですか……」

諦めの中に確信を秘めたような、そんな難しい呟きを漏らす。

 

 

「や、やっぱりあなた様は『天の御遣い様』なのですか!?」

鳳統が希望に満ちた声で問う。もしかしたら彼女が1番『天の御遣い』という存在にこだわっているかもしれない。

 

 

「『てんのみつかい』がどんなものか分からないけど、俺はそんな大層なものじゃないと思うよ。」

「そうですか……」

気落ちする鳳統を見ながら、一刀は言葉を続ける。

 

 

 

 

「ただ………俺はこの世界の人間じゃないと思う。」

 

 

 

 

 

『この世界の人間じゃない』

その言葉を聞いて問い詰めようとする3人だが、ゆっくり話ができるところに移ろう、と提案する一刀に同意して、今は近くの村の食事処に来ている。

村に来る途中、なぜか部屋で下ろしたはずのバッグや竹刀があったためそれを回収し、今は一刀の横に置いてある。

ちなみに荷物を拾って以降の道中は、一刀が真剣な表情で考え込んでしまったため、会話という会話はなかった。

 

 

「あ、あの北郷様、その『この世界の人間じゃない』というのは……」

鳳統がおずおずと聞いてくる。

 

 

「様、なんて大げさな。…ま、とりあえずそれは置いておこう。それでさっきの話なんだけど……どこから話した方がいいかな……」

「えと、えと……で、では北郷様はどうしてあの場所に?」

「それが分からないんだよねー。俺は部屋で寝てただけだから…。起きたらあの場所にいて、みんなに囲まれてて……だからなー。」

あの場所に至るまでの過程も、その原因すらも分からないと話す一刀。

 

 

「……ご出身はどちらなんですか?」

「俺の出身は日本って国の浅草って所なんだけど…みんな分かる?」

「にほん…」

「あさくさ…」

「ももも申し訳ありません……。分からないですー。」

「いや、そんなに謝らなくたっていいよ。もしここが俺が想像した通りの場所なら、日本なんて国は存在しないはずだから。」

涙目になって謝る諸葛亮に笑いかけながら、言葉を続ける。

 

 

「存在しない……ですか??」

「正しくは、土地はあっても名前がないって感じかな?ここからずっと東に行って、海を渡れば見えてくるかもしれないけど…」

「そのことが『この世界の人間じゃない』ことと関わるのですか?」

徐庶の言葉をきっかけに、改めて考えを整理する。

 

 

「あぁ…。まずみんなの名前である鳳統、諸葛亮、そして徐庶っていう名前は、誰でも知ってるような名前なんだよ。……ある時代の歴史を知っていればね。」

「え、わ、私たちそんな有名人ってわけじゃ…。……??

あの、『ある時代』っていうのは、どういう……」

 

 

「……俺がいた世界から、約1800年前の時代」

少し躊躇いがちに言葉を放つ。

 

 

「え、えー!?そ、それって北郷様が」

「未来から来たお方……ということですか?」

「そう……なんだけど、それだけじゃないと思う。」

「それだけではないんですか?」

首を傾げる3人。

 

 

「俺が知ってる歴史での鳳統、諸葛亮、徐庶は、みんな男なんだ。でもここにいるみんなは全く正反対な、可愛い女の子……」

「か、可愛いって…」

みんな仲良く顔を赤くする3人。徐庶の呟きにも気付かず一刀は続ける。

 

 

「それに、大陸も違う上に時代も違うから、言葉が通じるわけないはずなんだよ。それなのにみんなとは普通に会話が出来てる。だから、ただ未来から来たんじゃなくて……」

「『この世界』ではない別の世界から来た、ということですか……」

諸葛亮が確認するように言う。見れば、3人全員が同じポーズ――顎に手を当てて考え始める。

 

 

「(可愛い光景だなー……。)」

本当はこんな暢気なことを考えてる場合ではないのだが、相手がこの3人だと危機感よりも先に保護欲というか、愛でる気持ちが先に湧いてきてしまう。

 

 

「俺からもいいかな?」

先ほどの暢気な考えのせいか、無意識に微笑みながら疑問をぶつける。

「俺のこと『てんのみつかい』って言ってたけど、どういう意味??」

 

 

この疑問に真っ先に答えたのは徐庶だった。

「少し前から管輅という占い師が予言をしたそうです。『眩き流星と共に、天より遣いの者がこの大陸に降り立つ。天の御遣いは天の智とその大徳を以て、世に太平をもたらすであろう』と。」

「な、なんか突拍子もない話だね。」

まるでインチキ霊媒師か何かの類のようだ。

 

 

「しかし朝廷の腐敗や県令らによる圧政で人々の暮らしは困窮し、そのことが賊の増加に拍車をかけています。旅の者を襲う賊もいますし、群れをなして村で略奪を行う賊も現れてきています。」

「ですから、安寧を求める人々にとっては、たとえ突拍子もない話でも『天の御遣い』は希望の光となっているのです。既にこの占いは大陸の多くの人々が知るところとなっているようです。」

本当にこの現状を憂いているのだろう。諸葛亮と鳳統は強い口調と眼差しで一刀に言う。

 

 

「……どうして俺が天の御遣いだって思ったの?」

「たまたま空を見ていたら流星を見たんです、昼でも見えるくらい輝かしい流星を」

「流星を追った先には見知らぬ男性が眠っていて、その方がお召しになっている衣服は陽光を浴びて煌々と光る、これまでに見たこともないようなもの。これらを管輅の占いを基として考えるとしたならば、このような偶然、そうそうありません。」

「うーーん……。」

 

 

諸葛亮と徐庶の説明にも、イマイチ納得しかねる一刀。そこに鳳統が

「そ、それに!ゆ、夢を見たんでしゅ!」

と言う。

「夢??」

 

 

「私たち3人はもちろん、武官文官、兵士や侍女の人たち、末は町に住まう民までみんなが生き生きとしていて、笑っていて、幸せを感じている……そんな夢です。」

「………」

本当にそうなってほしい、まるで祈るように話す鳳統を一刀はじっと見つめる。

 

「そんな笑顔の中心には男の人がいて、顔は分からないんですけど、その人を見るとすごく幸せになって、『あー、この人と一緒に頑張ってきたんだなぁ』って感じるんです。あまりにも良い夢だったので、2人に話したら…」

 

「私も元直ちゃんも同じような夢を見たんです。私たちが望む、希望に満ち溢れた未来。そしてその中心で誰よりも多くの笑顔をくれる、不思議な男性…。今までこんな経験なかったのでみんなで驚いていたら、空からとても眩い星が落ちてくるのが見えて……」

 

「3人が目指す未来を揃って夢で見て、夢から覚めたその日に眩い流星を見つけ、『この世界の人間ではない』とまるで夢のようなお話をなさる北郷様と出会った。ここまでの事が起こると、いっそ北郷様が天の御遣いであると信じてしまった方が納得がいきます。」

 

 

 

 

「で、ですから、わ、私たちの主となってこの大陸に太平をもたらしてくださいませんか?!」

 

 

 

 

 

 

「…………」

あまりにも急な申し入れだが、きちんと冷静になって、ゆっくりと考える。

この世界に来てから今までの、まるで映画やアニメのような出来事。

記憶としてある、これから起こるかもしれない大陸を巻き込む程の戦の数々。

そして、3人のまっすぐな想い。

 

 

 

これから先、自分の知っている歴史通りになるとしたら、多くの犠牲が出るはずだ。

「(力のない人たちからどんどん死んでいくのか?)」

そんなこと、到底受け入れられない。それを指を咥えて見ていることなど、当然出来ない。

 

「(俺が『天の御遣い』として振る舞うことで……)」

救えるかもしれない。そう考えるが、大きな不安が頭をよぎる。自分には他人に誇れるような武もなければ智もない。この世界で生活出来るかすら分からない。そんな人間が多くの命を助けることなど出来るのだろうか、と。

 

「(でも……)」

きっとこの3人は自分の力になってくれる。たとえ自分が苦しみ、崩れそうになったとしても、しっかり前を見据えて支えてくれる。そんな予感、いや、確信があるのだ。

 

「(爺ちゃんが言うところの『種』なのかね、俺は)」

以前自分の祖父が言っていたことを思いだし、少し苦笑いする。

しっかり根を張り、綺麗な花を咲かせることが出来るならば、彼女たちと共に風に乗ってみたいと思う。

 

「(この娘たちと同じ夢を目指していこう。)」

3人が自分を信じていてくれるのならば、自分はこの娘たちの夢を信じて歩いて行こう。そうすればきっと、素晴らしい『花』が咲いてくれるはずだ。

 

 

 

「俺、真剣なんて握ったことないから、まともに戦えないと思うぞ。」

「剣を握るのは武官や兵士の方の役目です。近く、北郷様に大きな希望を見出し、多くの精強な方や志ある方が集まってくださいます。」

柔らかく微笑む徐庶が、自信に満ちた口調で言う。

 

「みんなみたいに軍略や戦略を学んでるわけでもないから、戦場でも役に立たないと思う。」

「構いません!そういったことは私たちの仕事です。私たちが精一杯北郷様に献策します!」

おどおどした時と比べて、まるで別人ではないかと思えるくらい、頼もしく答えてくれる鳳統。

 

「俺には武も智もない。俺一人じゃ大陸なんて大きなもの、救えない。」

「人一人が出来ることなんて限られています。ですから、多くの力を必要としてください。私たちが力の1つとなり、北郷様をお支えします!」

きっとこれは彼女の信条なのだろう。諸葛亮の瞳が今まで以上に力強い光を放つ。

 

 

口に出して聞いてみたことは、本心で思っていること。

しかし返ってくる答えも、自分が想像した通りの答え。

彼女たちは自分を求めてくれている。心から平和を願う彼女たちが、武も智もない自分を。

であれば、自分は出来ることを精一杯するだけ。たとえこの先辛く悲しいことがあったとしても、彼女たちと共に、前を見つめて……。

 

 

「分かったよ。」

3人の顔がぱっと明るくなる。

 

 

 

「それじゃ改めて自己紹介かな?俺は北郷一刀。今までただの学生だったけど、これからは『天の御遣い』として、1人でも多くの人を幸せにできるように、みんなと進んでいきたい。よろしくな、孔明ちゃん、鳳統ちゃん、元直ちゃん。」

 

 

 

 

それは1人の少年の決意。史実とは大きく異なる軌跡を描く、物語の始まり。

 

 

 

 

はじめまして、未來といいます。

 

 

――――いきなりですが、まずは注意書きを――――

 

本作は『ゲーム中のあの場面がこんな風だったら、どうなるだろう?』というのが根底にあります。なのでゲーム本編と似た展開があるかと思いますが、ご了承いただければと思います。

 

また、もし『これ、何かあのSSに似てね?』とかあったらご報告ください。設定とかは割とありきたりだと思いますし、どちらかと言えば影響を受けやすい人間なので、知らず知らずの内に他の方の作品に似てきてしまうことがあるかもしれません。他の方のご迷惑にならないように書いていきたいと思いますので、もし気づいた方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。

 

作中からも分かるかもしれませんが、作者三国志に関する知識は恋姫だけで、かなり疎いです。これからwiki見ながら少しずつ…って感じです。ですので三国志に詳しい方はあまり突っ込まないでほしいなーとかw

 

 

 

――――以下作品紹介を――――

 

朱里と雛里をメインにしたらどうなるのかと思い作りました。

無印の頃から朱里はかなりのお気に入りだったんですが、雛里を見た瞬間の衝撃と言ったら…。

いや、作者○リコンじゃないですよ?ただ好きになった子がたまたま小柄なだ(ry

 

 

オリキャラの元直ちゃんのデザインは『山葉堂のワッフル』とか『ときメモ2のピンク占い師さん』みたいな感じでどうぞw

スタイルに関しては「アレ?何で恋姫†無双ってロ○巨乳がいないの?」って思ったもので…。

真名は……一応『~里』で考えてはいるんですけど、付けていいのか悩み中です。オリ真名の受けっていいのかどうか分からないので…。付ける際は、朱里や雛里までもがなぜ字呼びだったのかを軽く(1~2行程度?w)説明するつもりです。

 

 

今回初めてのSSだったので、台詞に意識が行き過ぎて、心理描写が薄くなってしまったなーと思います。次回に生かしたと思います(だったら直s(ry

 

ページ数とか更新頻度ですが……これだけの量を書くのにもかなり苦労してしまったので、1回にこんな量は書けないと思いますし、更新頻度もそれなりになってしまうと思います。申し訳ございません。

 

自分で書いてみて、改めて他の作者様の偉大さを知った次第です。ページ数は多いし、更新は早いし……。本当にありがたく読ませて頂いております。

 

 

ちなみに、タイトルに(仮)と付いているのは良いタイトルが思いつかなかったためです。変える可能性が十二分にありますのでご了承くださいw

あと、「武と智」のように文官が有するべきものを「智」と表現したのですが、「知」とどちらが良いのでしょうか?どなたかご助言ください。

 

 

それでは、今回は拙作をご覧下さってありがとうございました。これから少しずつでも書いていけたらなーと思いますので、よろしくお願い致します。

 

 

 

 

 
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