「……華琳様」
「ええ、まったく……これでようやく大手を振って動けるわね……桂花、行程は2月よ。
一応糧食にだけは気をつけて、3月分用意しておきなさい」
「御意に」
秋蘭の出来事が終わってから、1週間程が経ったある日、朝廷から使者が送られてきた。
その勅命を簡潔に説明すると”大陸を騒がしている黄巾党を討伐せよ”……発生した時期から考えれば、なんとも遅い対応と言わざるを得ない。
しかもこの勅命書、上手く体裁を取り繕ってはいるが、情報収集に尽力している華琳達にしてみれば、なんてことはない。
都の官軍では手に負えぬから、諸侯軍に任せたということなのだろう。
「全く! 今更になって討伐せよ、だなんてホント無能!
裏でせっかくあれほど危険性を教えてたのに……」
桂花が勅命書を握り潰しそうになりぐらい、力を入れながら憤慨している。
「そう言わないのよ桂花。
おかげでこちらには十分な準備ができているわ。
後は黄巾党の本拠地……張角、というよりもあの3姉妹の足取りね。
この状況から考えるに、黄巾党に囲まれているのは間違いないのだろうけど……桂花、何か掴んでいるかしら?」
「いえ、この陳留で出発した以来情報が掴めません。
それはつまり、私達が最後の目撃者ともなるわけですが……
最近の3人の動向は、北郷が言っていた白装束が何かしら影響しているかと考えられます。
大規模な黄巾党が発生、または目撃が各地でされていますが、その中に若干ながら白服が混じっていたとの報告がありました」
「そう、まだそこに注目をしている者達は少ないでしょうね。
他勢力に張角達自身の情報は、何か流れているのかしら?」
その言葉を受けて、桂花の表情が微妙なものへと変わった。
「ハイ……あの、彼女達の人相書きが出回っています。
他の諸侯でも、これ以外に手がかりがないそうですが…………これです」
桂花がペラリとした1枚の紙を、華琳に手渡す。
「…………なんなの、これ?」
呆れた声色の華琳。
それも仕方がないだろう、その人相書きには筋骨隆々で毛むくじゃら、さらには巨大な角が2本生えている、どうみても大きな”男性”が描かれていた。
どう甘く見ても、人外の化物だ。
「いくらなんでも”角”は、安易でしょう」
「いえ、それが……一応の理由があるみたいなのです。
どうやら”天の御遣い”の噂が、多少なりとも影響しているようでして……
要するに、張角達がそうなのではないか? との噂が流れているのです。
その”天”という言葉の畏怖と曖昧さとが、張角達を人外の化物のような異形な格好にさせているのではないかと」
桂花の説明に、華琳は一拍の間珍しくキョトンとしてしまう。
「ぷっあははははは!
何よそれ? 両方ともを知っている私達からすると……随分と滑稽な話ねぇ。
でもそれはこちらとしたら、むしろ僥倖かもしれないわ。
あの時断わられた理由もこれで見当がついた、今度は受け入れてもらえるでしょう」
「……っ!? 華琳様それは危険です! 彼女達は既にこれだけの大事を起こし、あまつさえ”天”の嫌疑をかけられているのですよ?!」
慌てて止めようとする桂花だが、華琳は変わらず平然としている。
「いいじゃない。
その人相書きでは、到底彼女達には辿りつけないでしょう。
一番に捕らえることができれば、誰も彼女達のことなどわかりはしないわ。
黄巾は彼女達の言いなりでしょうしね。
……まさか私達の諜報力が、他の連中に負けているなんて万一にも思わないわ。
1番に彼女達を捉えるのは我々……そうでしょう? 桂花」
「は、はい! 勿論です!」
「いい返事よ。
彼女達がこれからの状況次第で、本当に危険になったら討伐へ切り替える。
それまでは裏で捕獲の方向で話を進めなさい……一刀に協力を求めるといいわ」
「え!?」
意地悪く笑う華琳に、桂花が動揺した。
「い、嫌です! あの全身性液男になんて何をされるか……」
目の前で困っている桂花の顔は、華琳からみれば本当に嫌がっているようには見えない。
彼女の男嫌いは本来、こんなものではないからだ。
__全く……素直じゃないわねぇ。
「それじゃ頼んだわよ桂花。
私は出立までに、政務を片付けておくわ」
そういい残して、華琳は政務室へ向かった。
しばらくして後ろをそっと振り向くと、未だ桂花は動いていなく、少し俯きながら何かをぶつぶつと呟いていた。
「あんなやつ……どうして……」
呆れたように肩を竦める華琳であった。
出発の日。
城下に見えるは、華琳の用意した軍勢3万5千。
それを城壁から眺める一刀は、目の前に広がるその壮大さにため息をついた。
「なんて光景だよ……凄過ぎて言葉がでないな」
戦争映画でもなんでもない、本当に命を懸けて戦う兵士達が、ここまで集まっているのだ……現代ならばまず、お目にかかれるものではないだろう。
それだけ……取り返しのつかない大きな悲しみが、増えるということでもあるのだが……
「ん? どうしたのだ北郷。
そんなところで1人、ぼーっとして……」
声をかけられた方を見ると、隣で秋蘭が壁に寄りかかっていた。
「いやぁ、俺にとってはこの光景……ちょっと壮観過ぎてね。
……秋蘭は留守番なんだって?」
「あぁ、華琳様達の代理としてな。
私も行きたかったのだが……すまない」
「無理しないでちゃんと休んでよ。
秋蘭が倒れたら、皆悲しむじゃないか」
「……北郷も?」
意地悪に微笑んで問いかける秋蘭だったが、一刀は至って真面目な表情であった。
「当たりまえだ。
あんまり下らないこと聞くなよ」
すぐさま強く言い切られてしまい、少し反省した秋蘭だが……心中では素直に嬉しいとも感じた。
「さて、そろそろ出立になるから、俺も降りようかな」
「今回は何で出るんだ?
まだ警邏隊も公表されていないのだろう?」
「う~ん……一般兵か親衛隊かな、やっぱ。
桂花の事もあるし、今回も自由度は高いほうがいいだろう。
俺は裏方だ」
「そうか…………北郷」
「ん?」
「皆を頼む」
「……うん」
こうして動き出した華琳達が、陳留の街を出立してから、もう早2週間近くが経とうとしていた。
華琳達は各地で黄巾党を討伐し、それを広く喧伝することによって更なる名声を、大陸へと広げていく。
そして同時期に動き出した、孫堅、馬騰達の噂も数多く耳に入るようになった。
もはや民の話の中心となるのは、自分達を守ってくれる諸侯達であり、漢王朝が民衆に期待されていないことが徐々に表面化してきている。
そしてこの”英雄”と称される者達の活躍は、各地の諸侯・豪族の耳へと届き、大陸全土の動きが急激に慌しくなってきていた。
乱世が、産声をあげ始めていた。
「これで、一体いくつの黄巾党を倒したのかしらねぇ……」
華琳が馬上で疲れたようにぼやく。
あれから2週間……大小の規模の差こそはあるが、華琳達は20近くの黄巾党の集団を倒していた。
恐らく、全てを足せば2万は倒しただろう。
その中で一刀はあまり戦闘には参加しないよう、気をつけていた。
それは黄巾党の中に、度々白装束の姿を見たからだ。
あの連中に安易に関わるのは不味い、少なくとも連中には自分を探している節がある。
だから小規模の戦闘の際には、連中に近寄らないように気をつけていたのだ。
華琳達は各地に隠れるようにしていた、黄巾党までもを目ざとく見つけては徹底的に包囲、捕縛していき、そのおかげで華琳と桂花の先読みに、役立つ情報源が徐々に増えてきていた。
こうしたおかげで、連中を段々と追い詰めていっている手応えは感じているのだが、どうしても決定打が打てなかった。
後方の秋蘭の完璧なバックアップのおかげで、定期的に物資が届けられており、行軍には何も支障はないが……あまり長引かせたくはない。
現在、若干の兵数を減らして3万3千となっている、だが2万を相手にして、僅か2千の損失に抑えているあたりは、数値上でいえば圧倒的といっていいだろう。
だが、2千人が倒れた事実は変わらない。
そのような行軍を繰り返していた華琳達だが、ある報告が各地から入った。
かなり大規模の黄巾党が1ヶ所に集まりつつあり、そこへ向かって各地の有力な諸侯も、向かい始めたとの事。
華琳は各地で集めてきた情報を桂花に分析させ、既にその場所に近いところにいたのだが、黄巾党の物資の集積所と見られる場所を発見し、後顧の憂いを断とうと強襲をかけようとする。
だが、現場には先にまさかの義勇軍がいた……そして北郷一刀にとって、思わぬ人物が義勇軍を率いていることが判明する。
劉備だ。
歴史を知っている一刀としては、ピンクのふわりとした髪を伸ばし、至宝級の大きさを誇る胸を引っさげた劉備の外見に驚いたが、それ以上に劉備の持つ雰囲気に驚いていた。
「はぁ~、曹操さんってすごいですね~……ね~愛紗ちゃんもそう思うでしょ?」
これが後世に人徳の御仁と謳われる劉備玄徳と、北郷一刀の初めての邂逅になる。
一般兵として紛れていた一刀は、義勇軍を率いているのが”劉備”と聞いて、流石にいてもたってもいられずに、季衣と流琉の手引きによって、静かに近づいていたのだ。
劉備の脇で隙もなく辺りを警戒し、部下を纏め上げている美女が関羽であり、愛紗と呼ばれていた……愛紗が真名なのだろう。
有名な美髭の代わりだというように、黒くて漆のような艶やかな長髪を真っ直ぐに伸ばし、それをサイドテールにして結んでいた。
そしてその近くで明るい赤髪を、短く切った少女が飛び跳ねている……もはや幾度驚いているかはわからないが、この子がアノ張飛なのだそうだ。
「鈴々もそう思うのだ! 桃香お姉ちゃん!」
季衣のように元気で、落ち着きの無い娘だ……頭についている髪飾りの虎が、張飛の感情に合せて変わっていくのは、一体なんなのだろう?
伝説の”桃園の誓い”を交わしたという3人を前にした一刀の感想としては、お気楽の長女とおてんばの三女を、しっかり者の次女が目を光らせている……ただ仲の良い、3姉妹のように思えた。
そして、その3人から少し離れたところで、はわわ~と言いながら慌てふためいている、帽子を被った美少女が諸葛亮と呼ばれたときには……一刀は卒倒しなかった自分に驚いていた、恐らく感覚が麻痺してきているに違いない。
__諸葛亮が、既に劉備の元にいるのかよ……
色々と混乱している一刀だが、視線を向けないように気をつけながら、華琳達が話す内容に耳を立てていた。
「……私は、この大陸を、誰しもが笑顔で過ごせる平和な国にしたいです。
そのために誰にも負けない、負けたくないと思っています!」
後に大陸で覇権を争うであろう、華琳と劉備が、自身の理想を語り合っているようだ。
「……誰もが、笑顔で過ごせる国、か」
一刀は考える。
__劉備もどうやら、正史とは幾分違うようだ。
普段華琳と接しているとわかるのだが、正史の曹操と比べ”苛烈”という意味では、大分意味合いが違うように思う。
現代にまで伝わった歴史がどこかで歪んだのか、それともこの外史と呼ばれる世界が根本から違うのかはわからないが……
正史の曹操は”覇王”だが、華琳からは”帝王”との印象を受ける時があるのだ。
そして正史の劉備はというと、かなり強かな人物だった印象を受ける。
だが、この劉備と呼ばれる少女は裏表が無い……無さ過ぎる、恐らくただ”純粋”なのだろう。
この時代でここまでの純粋さは貴重だ、彼女についていきたい、力を貸したいという者が増えるのはわかる。
実際彼女の放つ雰囲気というかオーラというべきか……自然に放つ魅力、カリスマという意味あいでは、華琳を上回るかもしれない。
だが、彼女が言い放つこの言葉は、混じりっ気のない本心の言葉でもある。
本気で”夢”を見ているのだ。
__ちょっと、危ういかもな。
まだ義勇軍を率いている段階だからいいが、もし彼女が国を持った場合どうなるのか?
この劉備は化けるのか、それとも……
こうして一刀が密かに色々と考えている間に、劉備と華琳は共同戦線を張ることに決まったようだ。
劉備の物資不足を補う形で、協力させるらしい。
恐らく、近くで彼女達の力を測るつもりだろう。
余分に糧食を持ってきていた甲斐があったというものだ。
こうした形を取ったということは……華琳も、劉備から何かを感じ取ったのだろうか?
協力して黄巾党の物資集積地点をなんなく撃破した華琳達は、もう黄巾党を追い詰めたも同然であった。
だが、追い詰めはしたのだが、最後の難問が用意されることになる。
最後に追い詰めた黄巾党は……推定で40万、今までと比べて規模が違い過ぎた。
普通に考えれば、これは完全な太りすぎなのだが、連中にはあのよくわからない白装束達がいる。
動きは鈍重に変わらないだろうが、なんとか組織的に動くことくらいならできるだろう。
桂花の元に入ってくる報告によると、黄巾党は大陸に広がる全ての黄巾党員を、ここへ集めてきているらしい。
各地で黄巾党狩りが活発に行われているので、”赤信号、皆で渡れば怖くない”の精神にでもなったのかもしれない。
劉備達と共に、華琳が黄巾党の集まっているという場所にいち早く到着すると、目の前にはなんとも大きい山が1つあった。
その大きな山を丸々陣地としており、それは大量の黄巾党を擁するに十分な大きさといえる。
こちらの40万という数字は、あくまで予想数値。
実際はまだまだいるのかもしれない……何より、時間を追うごとに連中は次々と増え続けているのだ。
劉備の軍勢と併せてもこちらは4万弱……流石に10倍の40万には軽々しく挑めない。
こちらの手勢では、この大きい山を囲うこともできないので、華琳達はやがて集まるだろう諸侯達を待つために、辺りの地理を詳細までとことん調べあげた。
それでわかった事は、山の構造自体は至極単純で、麓から入山できる道は東西南北に、道が1本ずつしかない。
華琳達は一番道幅が狭い、西側をあえて選んで陣を構えることにした。
そして華琳達が陣を敷き終えようとする頃、山の北側に馬騰が到着したとの報が入る。
「流石は西涼の馬騰……自国から距離があるのに、もうここまで到着する機動力……あの騎馬戦力は素晴らしいわね」
とは、華琳の言。
それから5日程待っていると、山の東側から袁紹が、そして南側に袁術が集まった。
山の4方を囲んだ諸侯達。
だが、誰も手を出そうとはしなかった。
それは当然だ、今の黄巾党はまるでパンパンに膨れあがった、水風船のような状態なのだ。
4方から無言の圧力がかかっているこの状況では、いつ破裂するかわからない、その上重要な補給線は、華琳達がすでに潰してしまっていた。
もうそろそろ、残りの食料に余裕もないだろう。
このような緊張状態の黄巾党を、誰かが楊枝でわずかでも突付けば、そこから一気に水が溢れ出るだろう……誰に一番水がかかるかといえば、初めにちょっかいを出した本人に、まず間違いあるまい。
ここに集まった者は皆、具体的な功績が欲しいのだ、それはただ1つ……張角達の身以外には無い。
黄巾党を倒した数など、もはやこの状況では意味を持たないと言える、水増ししようと思えばいくらでもできるからだ。
そのため、連中相手の先陣は誰もとりたくないというのが本音。
その証拠に、誰もがお互いに連絡を取り合おうとはしないのだ。
と、ここまで考えればこの膠着は長く続くかと思われた華琳達なのだが……実にあっさりと崩れることになる。
突然、全軍にある噂が流れ始めたのだ。
”張角は山頂にいる”
華琳と馬騰はこの不自然な噂を警戒し、慎重に動こうとしたのだが、そう考えない者もいた。
「オーッホッホッホ! 顔良さん! 文醜さん! 華麗に前進ですわ! ……ボソ……後、張郃さんも」
「あらほらさっさ~!」
「え~!! 今行くんですかぁ?!」
「…………はぁ」
噂を聞きつけた袁紹は、疑いもせず我先にと全軍に突撃命令を下し、命じられた顔良と文醜が自分達の軍を率いて前進を始める。
その中で張郃だけは誰も引き連れずに、1人突撃するように山の麓へ向かい、駆けて行ってしまった。
「む~~~!! 麗羽になんぞ負けてはならぬぞ! 七乃~妾たちも前進じゃ! 閃華はあんな黄色どもなど打ち破って山頂を目指し、張角を討ってくるのじゃあ~~!」
親類である袁紹に張り合うため、ちょこちょこと動きながら命令を下す、袁術こと美羽。
「「ハ~~~イ!」」
七乃と呼ばれた張勲と、閃華と呼ばれた紀霊が、幸せそうな顔で言葉を返した。
2人の表情をみるに、この袁術に心酔しているのは間違いない。
こうして、この袁紹と袁術の2大勢力が、東と南からほぼ同時期に黄巾党と戦闘に入っていく形になった。
そして迫りくる連中に対して黄巾党は過敏に反応し、山中からわらわらと黄巾が溢れ出てきた……まるで兵隊蟻が女王を守るかのように。
その光景を離れて眺めている、北側の軍勢は馬騰達だ。
「なんじゃあ? あいつらは?」
「さ、さぁ?」
「う~~ん……きっと馬鹿なんじゃないかな?」
濃い茶色の髪を長く伸ばした馬騰が呟くと、隣にいた馬超と馬岱が、呆れた様子でその光景を遠目に眺めていた。
「……まぁ良い、こちらは好都合だよ。
翠! 蒲公英!
連中が黄巾を引きつけている間に、あたし達は張角達を探すよ!
まさか人相画のような化け物がでるとは思わんけれど……一応は気をつけな!
朝廷に御恩を返すんだよ!」
気合の入った馬騰のかけ声に、皆が応える。
「はいよ! へへ……暴れてやるぜ!」
「お姉さま~! 山道で馬が走りにくいんだから、1人で突っ走らないでよね!」
そうやって北側の馬騰軍も、徐々に動き始めるのであった。
馬騰が動き出した頃、西側の山の麓では、こっそりと山に近づいていた一刀達がいた。
西側の森は裾から山までが繋がっており、木々の陰に隠れながら地元の人間の案内もあって、誰にも気づかれずにここまで来れたのだ。
「じゃあ……頼んだわよ、北郷」
桂花は何故かむくれっ面をしていた。
特に一刀が何かをしたわけではないから、ただ不機嫌なのだろう。
「あぁ、こっちは任せてくれ……だがほんとにいいのか? 俺としてはありがたい話だけど」
今の一刀はあの黒い襟付きのワイシャツを着て、しっかり腕と足にも以前の武具を装備し、勿論刀も持っている。
「いいのよ、華琳様が捕まえてこいっておっしゃってるんだし……ただし! ちゃんと連れてきなさいよね!
あと……もし張角達が他の諸侯軍に見つかったときは……そのときもちゃんとするのよ……」
視線をずらして、言いにくそうな桂花。
「……わかってる……でも!
そんなことにはさせないさ。
こっちには秘密道具もあるしね」
一刀が発した秘密道具という言葉に、真桜も随分と嬉しそうだ。
「隊長もおもろいこと考えるなぁ~。
ホンマ作り甲斐あるで!
だけど急ぎで数はないから、そこは気ぃつけてな」
「ああ……じゃあ行こうか?
ごめんな凪、荷物持たせちゃってさ……」
「いえ、全然大丈夫です!
これくらい、大した重さじゃありません」
あの季衣達の村で貰った布を風呂敷にして、凪はある荷物を背負っていた。
凪の方が身体能力が高いから持って貰うのだが、なんだか情けないと思えてしまうのは、多分男の矜持なのだろう。
森の中に入っていく2人を見送る桂花達、だが直に鬱蒼とした木々に彼らの姿が見えなくなった。
「さぁ! 真桜、沙和! こっちも遊んでいる暇はないわ。
かなりの黄巾が馬鹿達へ向かっていったけど、馬騰のところはしっかりと機を見定めていた。
華琳様が手柄を取らないという以上、それ以上の利を得なければならないんだから、しっかり足止めを頼んだわよ」
「はいよ!」
「わかったの~!」
そうやって桂花は指令を下すと、部下と供に森を後にした。
「それでは劉備、貴方達にはこのまま前進してもらえるかしら?
黄巾にまず、穴を開けるための亀裂をお願いしたいのよ」
「……曹操殿! 我々はあくまで協力者であって”愛紗ちゃん!”……桃香様」
明らかに怒り出す愛紗を止めた桃香が、一歩前に出て華琳と向き合う。
「わかりました! 私達はそのまま前進していけばいいんですね?」
「……ええ、そうよ。
あなた達が山に取りついた後、こちらも部隊をあなた達の後方2方面から出すわ。
それをもって、黄巾党を片付けてくれないかしら?」
「そうですか……その後は、こちらの判断で動かさせて貰ってもいいですか?」
「えぇ、構わないわ。
恐らくその辺りからは戦場も混乱するでしょうし、拙い連携ではむしろ危険でしょう」
「わかりました! ではやらせてもらいますね。
……愛紗ちゃん行こう?」
まだ納得がいっていないのか、愛紗が渋々といった体で、桃香、朱里と一緒に退出していった。
天幕に残った華琳は、口元に手を当てて思索する。
__ふふ……諸葛亮ならば、どのような手を使っても、張角を討ち取ろうとするでしょう。
下手にこちらの軍勢に組み入れても、関羽や張飛と言った有力な将達で、その機会を虎視眈々と狙ってくるはず。
ならば、適当な理由を見せ付けて初めに当たらせ、こちらの狙いを悟らせず、時間をできるだけ消費してもらったほうが得策……か。
いい案よ桂花、後で御褒美をあげなくてはね。
華琳は満足そうに笑うと、指揮をとるために立ち上がり、天幕を後にした。
「桃香様! 私は納得がいきません。
曹操は我々に、生きた的になれといっているようなものではないですか!」
「え~……そうかなぁ?
でもこれで私達が上手く黄巾党を破ってさ、そのまま前進していけば、1番に張角さん達を見つけられるかもしれないんだよ?」
その桃香の言葉に朱里も頷く。
「そうですね……恐らく曹操さんの考えは、愛紗さんの言う通りかと思います。
ですが、私達はまだまだ弱小ですし……多少の危険をおかしても、ここで張角さん達を捕獲できれば桃香様の名声はかなり上がります。
ここは先陣をきらされることを嘆くのではなく、むしろ先陣することでより有利になるという考え方でいきましょう!
どのみち多大な補給をすでに受けた私達は、曹操さんの頼みを断ることは出来ません」
軍師である朱里の言葉も貰えて、桃香は上機嫌になった。
「ほらほら! 朱里ちゃんもそう言ってるんだし、間違いないよ!」
「むぅ、朱里までがそういうのなら……」
「にゃはは~、愛紗はいっつも難しく考えすぎなのだ!」
「ううむ……」
「まぁでもこのままただ突撃すれば、こちらの被害も大きくなりますから、策を用いましょう。
曹操さんは私達が黄巾党に当たって損害を与えた後、軍を動かすと言っていましたので、まず愛紗さんと鈴々ちゃんで黄巾党に一気に当たって下さい。
そして思いっきり敵を押し込んだ後、直に部隊を一旦引き上げるんです」
「引き上げるのか?」
「はい! そうすれば曹操さん達が動き出しますから、牽制しながら後退していき、黄巾党を後ろへ流して押し付けちゃいましょう。
そうしたらこちらの部隊を2つに分けます」
「愛紗と鈴々とでか~?」
鈴々が頭を捻って尋ねると、朱里はううんっと頭を横へ振った。
「鈴々ちゃんと愛紗さんは、自分の部隊で腕が立つ精鋭を各10名ずつ選抜して下さい。
そしてその人達を率いて、混乱している中を突っ切り、すぐさま入山してもらいます」
「それは駄目だ! 桃香様をお守りする将がいなくなってしまう!」
「大丈夫です。
黄巾には愛紗さんのような武将と呼べる人はいませんし、こちらにはほとんどの兵が残りますから私が指示します。
それに、あまり言いたくはありませんが……曹操さんの軍の兵士達は皆、錬度がとても高いです……正直、私達よりも……
袁紹さんと袁術さんにほとんどの黄巾党が向かっている今、私達が相手にする程度の数では、とても曹操さんの相手にはならないでしょう」
朱里は皆に説明をしながら、頭の中では違うことを考えていた。
__それだけ強いのに、私達を初めに当てるということは、恐らく私達の力を試しているから……
こちらとしても、あれだけ資材を分けて頂いている以上、それに乗るのは仕方がありません……ですがそう易々と、こちらも手の内を晒す気はありません。
言い方は悪いですが、黄巾党を体よく押し付けて、手柄は私達が頂いちゃいます。
それにまだ、こちらもとっておきを隠しているんですから。
「だが……曹操がちゃんと動くだろうか?」
「動きます、絶対に。
曹操さんは御自分で約束されたことを反故にしません。
愛紗さん自身も、そう思わないですか?」
__初めて……噂で聞いていた曹操さんと会った時、私はあまりの覇気に圧倒されそうになった。
覇気ならば桃香様も負けないと思います……でも曹操さんは、更に人としても遥か高みにいる存在。
桃香様の覇気は優しく包み込む暖かさですが、曹操さんは律する力を喚起させる覇気です……それは他者も己自身も。
その姿を見て確信しました、いつかこの英傑と雌雄を決せねばならないということを。
……はわわ~…………とっても大変です。
「そう、だな……わかりました、それでは私達は山中へ突撃し、必ずや張角を討伐して参ります!」
状況と役割を理解した愛紗は、声高々に宣言したのだが、桃香が苦笑を零しながら引き止めた。
「愛紗ちゃん!
討伐じゃなくて捕まえてきてよ?
ちゃんと話しあえば、わかってくれると思うんだ」
ふわりとした笑顔を浮かべた桃香が、愛紗に頼む。
「桃香様はお優しすぎます! ここは討伐して、桃香様の名を大陸に広げるべきです!」
「それでも愛紗ちゃん……私はまず話してみたいの!
お互いを理解するにはそれしかないって! ……そう思うから」
桃香の光輝く笑顔が曇りそうなのを見て、愛紗は思わず慌てだした。
「わ、わかりました! 張角は捕獲してまいりますから!」
「本当? ありがとう! 愛紗ちゃん!」
ガバっと愛紗に抱きつく桃香……その暖かな笑顔は、人々の心を癒していき、兵士達はこれから戦地に赴くということを忘れて癒されている。
「朱里は頭がいいのだ~。
よ~~し! 張角なんて鈴々が突撃! 粉砕! してやるのだ!」
「はわわ~! 粉砕はしちゃ駄目ですよ~!」
慌てた朱里の言葉とともに、劉備達は行軍を開始した。
「キィ~~~~~!!! どれだけいるというんですの!? この黄色い油虫は!
文醜さん、まだ突破できないんですの?」
現在袁紹軍は山中から溢れ出る黄巾党に、まだ手を焼いていた。
顔良、文醜という両看板将軍の部隊はまだ接敵していないが、前衛に配置した部下の将達では、膠着状態になってしまった。
袁紹こと麗羽が先程からヒステリックに叫びまくっているが、それで事態が好転するわけは無く、2人はため息をつくしかなかった。
「無理言わないでよ姫~。
連中いくらでも山から出て来るんだし、なんかアタイらのとこに、一杯出てきているんだって!」
文醜が半ば呆れながら袁紹に返すが、それでも麗羽は納得がいかないようだ。
「もう! 折角劉宏様へ手柄を立てる絶好の機会ですのに!
顔良さん、何か手はないんですの?」
「もう無理ですよ姫~。
だから初めに動くのは止めましょうって言ったじゃないですか。
これって私達が初めに動いたから、こっち側にたくさん出てきているんですよ?」
「な?! なんですって!
……顔良さん貴方、どうしてそのことを早く言わないんですの?」
「3回も言いましたよ~!
それでも姫が”私達には2つの選択肢が在りますわ、華麗に進撃するか! より華麗に進撃するか! ですわ~!! オ~ッホッホッホ”
っとか言って、突撃命令を出しちゃったんじゃないですか。
……あ、でも先程の報告で、張郃将軍が単機ですけど山に入れたみたいですよ」
「……あら、あの人が入れたのですの?
流石はこの名家、袁紹の将軍ですわね!」
__あの人ってのが気に入らないですけど。
「あ~あの強え姉ちゃんか~~……よ~し、こっちも負けてらんねぇな!
おいお前ら! あたい達も急いで突撃するぞ~~!!」
張郃に対抗心を燃やしたのか、今までじっとしていた文醜が無骨な大剣を振り回し、部下達に突撃命令を下す。
「そんな突撃だけだなんて駄目だよ! 文ちゃ~~ん!!」
こうして、顔良の苦難は続くのだ。
そして袁紹軍が黄巾党と総力戦をしている戦場の脇で、1人分の影が戦場を静かに見つめていた。
その人影から放たれる鋭い視線は、山へ近づける機会をひたすら伺っている。
「……ここに黄巾が集まっているという事は……必ず…………ぅよ、必ず借りは返すぞ」
絶好の機会を見つけた人影は、目にも留まらぬ俊足で戦場を駆け抜けいき、静かに山中へと消えていった。
__隊長は……凄い。
今、私は隊長の後ろを走っている。
私達が走っている、どうにか”道”と呼べるここは……岩肌が剥き出し、さらに雨露に濡れて泥さえついている悪路だ。
およそ人が走るのに適していない山道を、隊長は危なげも無く次々と飛び越えていく。
途中で黄巾党が現れても、無視して駆け上がっていくその速さの秘訣は何か?
__体力・筋力では絶対に私の方が有る、これは事実。
そんな私は着地の時に足を滑らせないよう、強めに大地を”踏み抜く”ことによって、無理矢理に体勢の安定を保っている。
そこを、隊長は飛び越えようとする高さの分”しか”跳んでいないのだ。
つまりそれは……着地のブレが、限りなく無くなるということ。
無駄な力を全く消耗していないといっていい。
必要な力を、必要な分きっかり使用しているのだ。
後ろから見ていてわかる……同じ道を駆け上がるのに、隊長は3で私は10を消費している感じだ。
これはなんてことないように見えて、神業だと思う。
そして、同時に自分の視野の狭さを恥じた。
__あの……3人で挑んだあの時……隊長は私達の攻撃をかわし、力をいなし、勢いを利用された。
本当に文字通り手も足も出なかった。
私はただ力を求めて今まで鍛えてきたのだが……このような方法もあったのだ。
最大を磨き上げるのではなく、最低を極めるのだ。
今、ただ岩を駆け上がるその技術1つとっても、自分と隊長の間には、歴然とした技術の高い壁がある事がわかる。
__この人が”私の隊長”なんだ……
まだ視線の先にあるその背中だが……置いていかれたくは無い。
「よっと・・・」
俺は1つ岩を上がると、苔に足をとられないように気をつけた。
近くに川が流れているからか、非常に足場が悪い。
少し心配になって後ろへ視線を送ると、凪も気をつけながら後をついてきていた。
__へぇ……凪はもっと力技で登るのかと思ってたけど……
まだたどたどしい所はあるけれど、優しく登っているようだ。
__さて、多分……関羽達は直にでも登ってくるだろう、手柄は喉から手が出るほど欲しいだろうからね。
でも、天和達を……彼女達の命をあげるわけにはいかないんだ。
そのためには、桂花に事前に提示されていた案を用いて、こちらからも足止めをしなくてはならない。
「……よし、凪! ここらで頼む! 辺りの木をぶっ倒してくれ!」
「は、はい! ……よし、はあぁぁぁぁぁ……ハッ!」
一刀に頼まれた凪が、1つ気合を入れ直して”気”を溜め始める。
そして勢いよく拳を突き出すと、黄金色に輝くバレーボール大の弾が放たれ、木へと吸い込まれた。
ボガオオオオオン
辺りを吹き飛ばす風圧と共に起きる轟音。
余波を受けた木が、狭い道を塞ぐように倒れていった。
十分に気を溜めきったその威力は、まるでロケットランチャーだ。
「はぁああああ……ハ!」
次々に繰り出される気弾が、木々を薙ぎ倒して辺り一帯から粉塵が舞い上がる。
そうして気弾を3発撃ち終わった時、一刀達のいる場所から下は、木々が様々な方向へ倒れて、まともに人が通れるような道が無くなった。
これで大分時間が稼げるだろう。
「はぁ……はぁ……」
「ご苦労様、凪。
いやぁ~相変わらず凄い威力だよね。
……少し休もうか?」
天和達の状況を考えると、あまり時間に余裕があるわけでもないが……凪がバテて動けなくなるのも不味い。
「はぁ、はぁ……いえ、私は大丈夫です!
あと一息なのですから、一気に行きましょう!」
「……無理はするなよ?」
「はい!」
一刀は凪の言葉に甘えることにして、また山を上り始めた。
そうして20分位登っていただろうか?
もうすぐ山頂なのだが、道が二手に分かれている。
視線を山頂の方へ向けると、”山頂”と呼べる場所はいくつかあるようだ。
「分かれていきましょう」
走るペースを落としていたので、ある程度回復してきた凪が、道の先を眺めて提案する。
確かに天和達を探すのならば、そうした方が効率的だが……
「隊長、私を信じて下さい。
隊長に負けた私ですが……これでもそこらの人に、負けることはありません!」
「だけど……」
一刀の頭にちらつくのは、白装束の姿。
あの正体不明の連中が、どれほどの危険性を孕んでいるのかがわからない。
「隊長! 張角さん達を助けるのでしょう?」
真剣な凪の言葉が響く。
__そうだ……な。
「……わかった。
俺は左に行く、凪は右へ行ってくれ。
こちらに何も無ければ直にそっちへ行く。
だから、もし……もし白い奴らと交戦したら、絶対に無理はしないでくれ……な?」
一刀の注意に、凪が晴れた笑顔をもって返してくれた。
「はい、私も何もなければ直にそちらへ向かいます。
……それでは気をつけて下さい、隊長!」
「あぁ、凪もな!」
こそうして2人は分かれ、別々の道を走り始めるのであった。
「ちいちゃ~ん! お姉さん怖いよ~」
「天和姉さん……そんなのちぃだって同じよ!」
「姉さん達、少しは静かにしてよ」
件の張3姉妹は、頂上に展開された天幕の中に軟禁されていた。
「全く! なんなのよあの白い奴等は!
ちぃ達をこんなところに閉じ込めてどうするってのよ。
もう……あったかいお風呂に入りた~~~い!」
陳留で別れた後、身を隠すように各地を転々としていた天和達なのだが、ある時立ち寄った村で突然白服を着込んだ集団に囲まれ、頭領らしき左慈と呼ばれる男に、ここまで連れてこられたのだ。
当然お風呂はないから、身が切れる様な冷たい川水で体を拭かなくてはならないし、いい加減熊も猪も魚の塩焼きも、食べ飽きていた。
あの老山龍での、おいしかった料理が懐かしい。
「……どうやら私達は、利用されているようね」
人和の言葉に、姉2人が頭を傾げた。
「え~? 利用されているって、何によ?」
「私達の”ふぁん”の人達が、黄巾党と呼ばれているのは知っているでしょう?」
「うん、そうだね~」
「それがどうしたのよ?」
「どうやら本格的に朝廷から、討伐命令が下されたようね。
私達は朝廷に指名手配されたのよ……天下の大罪人としてね」
「「え~~~!!」」
「多分、この山を中心にして集まっているのは、各地の諸侯軍達よ」
「そ、それじゃあちぃ達はどうなるのよ!?」
「それは……」
俯く人和に、天和も地和も顔が青褪めてきた。
「え~~~ん! 私まだ死にたくないよ~~! 大陸一番の歌手になってもいないし、恋もした~~い!」
ようやく事態を理解した天和が嘆いても、もはやどうしようもない。
「僅かに私達が助かる可能性があるとしたら……ここを抜け出して、混乱のうちに逃げ出すことなんだけれど……無理でしょうね」
別に天和達は特別に体力があるわけではないし、外では気味の悪い白服が常にうろついている。
あと残された可能性など、誰かの助けが来ること位なのだが……流れの旅芸人である3姉妹を助ける者などいないだろう。
「……一刀さん」
何故彼の名前を出したのかは、人和自身わからなかった。
だけれど、人和にはすでにあまりにも手がないのだ。
自分達を助けに来てくれる人なんて、と理性は思うのだが、もしかしたら……あの街で助けてくれたあの人達なら……
そのような儚過ぎる希望しか、残されていないのだ。
3人が落ち込んでいると、外から1人の男が天幕に入ってきた。
干吉という男だ。
「ちぃ達を放しなさいよね! この変態同性愛者!」
天和達が、この于吉と言う男が左慈という”男性”に、言い寄っているのを見たのは1度や2度じゃない。
間違いなく、危ない人だ。
一方、変態同姓愛者と呼ばれた干吉は、大して気にしたそぶりも無く、3姉妹に話しかける。
「ふふ……まだまだ元気ですね、それはこちらとしても助かりますよ。
さて、今あなた達を倒さんと大陸の大諸侯達が、この山を取り囲んでいます。
この山には多くの黄巾がいるのですが、彼ら相手では少々荷が重いでしょうねぇ」
まるで他人事のように語りだした干吉……実際、他人事なのかもしれないが。
「あなた達の歌に希望を見出し集まった黄巾党……それは腐敗した漢王朝の不満が爆発した、1つの形でもあるのですが……あなた達が希望の旗手であることに変わりはない。
私も左慈も……もう以前のような力がありませんからね、使えるものは使っていかないといきません。
そう…………」
干吉は袖に手を入れると、何かを取り出した。
「貴方達も、この…………太平要術もね」
どうもamagasaです。
えぇ、読みにくいですね!
各勢力の場面を思いついては書いて思いついては書いて……なんてことをしていたら、場面がよく変わる変わる。
しかもこんな中途半端なところで切ってしまうなんて……
いや~、複数勢力は難しいですね~……あはは~(汗)
…………諸々ごめんなさい!!!
簡単に説明させて頂きますと、
・まず大きな山があって、北から馬超達、西から一刀と凪、東から張郃と誰かさんが入山して、山頂にいる天和達を目指している感じです。
・愛紗達はまだ麓で戦闘中で、南の孫堅達も書かれてはいませんが、山へ入り手柄を得ようと2勢力とも頑張って黄巾と戦ってます。
というわけでまだ山へ入れてません。(理由は華琳達の企みと、美羽が先陣をきったせいで)
なんだかんだ状況をつらつらと書いていて、わかりにくくなりましたが、要約すると上記で済んでしまいました。 ……あれ?
応援ありがとうございます!
なんと……お気に入りに登録していただけた方が、400人を突破しました!
ほんと驚きです。
これも皆さんの暖かい応援のおかげです、ありがとうございます!!!
後、前話での”凪の季衣・流琉の呼び方がわからない。”
という質問について、様々な方達からのコメントを頂きました。
これについての結論ですが、季衣・流琉は先輩ですし、階級も高い(?)と予想されますので
生真面目な凪は”季衣様””流琉様”にしたいと思います。(そのうち……もしかしたらお互いにもっと仲良くなれば、予告なく変更するかもしれませんが……その際は雰囲気がおかしくならないよう気をつけます)
真桜に関しては”季衣””流琉”、もしくは季衣には”ボクっ子”流琉は”未定”
沙和は”季衣ちゃん””流琉ちゃん”と、ちゃんづけでいかせて頂きます。
皆さんからの御意見、大変有り難いです。
詳細な資料まで探していただけた方もおり、本当に感謝しております!
誠にありがとうございました!!
今回、黄巾党との最終戦です。
左慈や于吉の手により、各地の黄巾党を召集させた形になりました。
……いかがでしたでしょうか?
御意見・御感想を頂ければ幸いです。
次話は、勿論この続きになります。
このような形で今回区切ったので、早く仕上げようと思います!
では、また。
改訂
感謝
アンケートにお答え頂き、ありがとうございます!
集計の結果は次話にて掲載しますので、それまでアンケートは有効です。
たくさんのお答えありがとうございました!
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黄巾党最終戦となります。
場面転換が激しいです……御注意を。
いつも応援ありがとうございます!