No.103340

新たなる外史の道 10

タナトスさん

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。

※一部物語上科学的なこと言ってますが、作者はズブの素人です

2009-10-26 22:15:22 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:11076   閲覧ユーザー数:8204

聳え立つ城壁、堅く閉ざされた城門・・・

 

汜水関はその門扉を閉じ、俺達を阻む。

 

「劉備軍は華雄に罵倒を浴びせに出たか・・・頃合だな。頼む、雪蓮」

 

「人使い荒いわね、一刀。私の陣地に来るなり、冥琳に『雪蓮、借りるぞ、冥琳!』なんて言って私の腕を引っ張って連れてこられたかと思えば、行き成り華雄に罵倒を浴びせろだなんて・・・」

 

愚痴る雪蓮、まあ仕方ないか・・・

 

かなり強引だったし・・・

 

後で冥琳に謝ろう。あのテのタイプは怒らせたらマジで怖そうだ・・・

 

ま! うちの愛紗には敵わんがな!

 

愛紗がキレると俺がこの世の終わりみたいな目にあわされる・・・

 

「一刀様、何か途轍もなく失礼なこと考えませんでした?」

 

「いや、何も」

 

俺は俺の持てる全ての平常心を総動員して何とか愛紗をやり過ごした。

 

雪蓮はそんな俺達のやり取りを見ながら、何か猫が獲物を見つけた顔していた。

 

何する気だ、俺の危機感知能力はずば抜けているんだぞ・・・

 

「か~ずと!」

 

そういい、雪蓮が俺の腕に抱きついてきた!!

 

何してんだ!? 雪蓮!! 

そんな事をすれば愛紗に、愛紗に俺がコ・ロ・サ・レ・ル~~~~!!!!!!!

「雪蓮殿、もうそろそろ華雄に罵倒を浴びせに行かれては如何でしょうか?」

 

アレ・・・以外に・・・穏やかな反応・・・

 

「ちぇ、つまんないの・・・」

 

そう言い雪連は俺の腕から手を離し汜水関の城門に進み出る。

 

「ああいう手合いは自然に受け流すのが1番です」

 

フッ・・・

愛紗・・・成長したな・・・

俺は嬉しいぞ!

 

俺は伝令を呼ぶ。

 

「伝令!!」

 

「は!!」

 

「孫策の部隊に連絡!! 内容は、『孫策を借りたから手柄は山分けでどうだ? 来るなら俺達に合わせろ』だ!」

 

「了解!!」

 

敬礼し、伝令が去る。

 

しばらくして、伝令が帰ってくる。

 

「報告!! 『その申し入れを良しとする』以上です!!」

 

「ご苦労、下がれ」

 

「は!!」

 

「女性へのアフターサービスは相変わらず万全ですね。一刀様・・・」

 

そう愛紗が呆れながら言う。

 

紳士として当然だ。ソレくらい。

 

「さて、私達も準備いたしますか?」

 

「そうだな・・・伝令!! 各大隊指揮官に通達!! 総員戦闘配置、“銃剣”を“小銃”に装着せよ!! 半里前進!! 次の指示あるまで待機!!」

 

「了解!!」

 

敬礼し伝令は走り去る。

ここで我が軍の“新兵器”を紹介しよう。

 

何と我が軍はボルトアクション式小銃の開発、運用に成功したのだ。

 

え? なに? 約1800年位の時間差を踏み倒すなって?

 

だって・・・製作可能なんだもん・・・作り方さえ知ってれば・・・

 

火縄銃やマスケット銃は生産できるが撃つまでに時間かかるし、黒色火薬だからガンブラストが半端無い。

そこで俺は、ライフル弾の火薬に使われてる無煙火薬の製法で生成した。

まず、脱脂綿なんかの繊維に濃硝酸と濃硫酸の混酸によりニトロ化させて作るニトロセル

ロースを作る。濃硝酸と濃硫酸の製法は説明長くなるので科学の先生に聞いてみよう。

出来上がったニトロセルロースにエタノールとエーテルを加える。

エタノールはサトウキビの汁を発酵し、加熱させ、蒸留、そいつを冷まし、液体が出来る。

ソレがエタノールだ。砂糖があるんだ。サトウキビもあるはずと踏んだ俺は、商人からサトウキビの苗を大量に取り寄せ、栽培、そいつを原料にした。

エーテルの精製はジエチルエーテルで対応した。作り方はエタノールを硫黄で作成した硫酸で脱水し抽出される。

この3つを練りこみ、粘土状にし、適当に裁断する。

 

こうしてB火薬が出来上がる。

 

ライフルは世界初のボルトアクション小銃、ドライゼ銃を参考に開発した。単発で撃ったら弾を装填するタイプだ。

しかも、薬莢紙だし・・・

 

黄布党討伐の時に実戦投入したが、薬莢の紙が腐食する。雨の時弾の交換で火薬が湿気る。

などの問題が続出した。

 

そこで俺は真鍮性の薬莢を開発、ソレをライフルに使用した。

 

ライフル1万挺作るのに丸1年を費やした。俺の世界ならボルトアクションの高性能なものなら1ヶ月ぐらいで出来るのに・・・しかも大量にかつ、部品交換が出来るし・・・

 

まあ、仕方ない・・・M1ガーラントが出来るまで、職人さんが一つ一つ作ってたからな・・・

ガーラントぐらいからだ、小銃同士で部品交換できて大量生産出来る様になるの・・・

 

補給の問題やメンテ問題もあり、課題山積だ。

だが、それだけ意味がある。小銃はこの世界ではオーバーテクノロジーだ・・・

機能すれば敵将意外は無敵に近い軍隊が出来る。

この世界の将達、銃弾見てかわすからな・・・

・・・どんな身体能力と動体視力してんだよ・・・一体

ま、俺も出来るようになったけど・・・

 

しかし・・・この世界の職人さんスゲエな・・・

俺の要望に応えてくれる・・・

1700年位の技術的ブランクを俺の説明だけで埋めてくるなんて・・・

神の領域だな・・・・・・

中国四千年の歴史は伊達じゃない・・・

もしかして、いやまさか・・・アサルトライフル作れる奴いたりして・・・

ははははは・・・まさかな・・・

 

同時刻

「くしゅん」

 

「どうしたの? 真桜ちゃん、風邪?」

 

「どうやろな~誰か噂しとんのかも」

 

曹操軍の一角でそんな出来事があったとか無かったとか・・・

 

まあ、無理だろう。この世界の金属の精製技術はカナリ低いし、機械無いし。

 

試行錯誤の末、ようやく完成したのがドライゼ銃だ・・・

やはり急速な技術革新は無理がある。

が、勝利の為に無理はする。

奇麗事ほざいた所で勝てなきゃ意味が無い。

俺達は守り通す為、勝ち取る為に戦場にいる。

師匠も言ってたっけ・・・

『戦場は奇麗事ではすまない。生き残るのなら尚更だ。綺麗に死のうと思うな、汚くても生きろ』

『無いなら探せ、探してないなら作り出せ、ソレがスニーキングミッションのコツだ』

『何も無い所から何かを作ることは出来ない。ならある物を利用し、創造しろ』

『柔軟な頭こそが任務達成の近道だ。ソレはお前に生き残る機会を与える』

 

柔軟さか・・・

 

「一刀様! 城門が開きました!!」

 

俺は愛紗の言葉で現実に引き戻される。

 

「よし!! 銅鑼を鳴らせ!! 各部隊戦闘準備!! 愛紗!! 星!!」

 

「「は!!」」

 

「前線指揮を任せる!! 華雄が出てきたら城門に雪崩れ込め!! 張遼の部隊には目もくれるな!! 汜水関制圧を最重要課題とせよ!!」

 

「「御意!!」」

 

「稟!! 風!!」

 

「は!!」

「はいはい」

 

「二人は部隊の運用だ!! 全体指揮を任せる!! 見事、自分の手足の様に扱って見せろ!!」

 

「御意!!」

「了解で~す」

 

ふん・・・猪華雄が汜水関から離れた。よし! このタイミングだ!!

 

「全軍・・・突撃!!!!!!!!」

 

『わああああああああ~~~~~~~~!!!!!!!!!!!』

 

 

≪張遼サイド≫

華雄が頭に血上らせて出て行きよった・・・・・・

あの猪が・・・・・・

 

でもまあ~しゃあないか・・・

因縁の相手にアレだけキツイ罵声浴びせられれば血の気の多いアイツはだまっとりゃあせんわな・・・

 

「去らばや・・・華雄・・・ウチも何れ同じとこ行くから待っとり・・・」

 

ウチは見えなくなった嘗ての戦友を見送る様に呟いた。

 

「全軍!! 虎牢関まで撤退や!!」

 

兵達は少なからず動揺しとる・・・

 

「華雄将軍を見捨てるのですか・・・?」

 

「ほや・・・華雄が抜けたらここはもう持たん・・・罵りたくば罵りい・・・」

 

「・・・いえ、行きましょう・・・」

 

「・・・すまん・・・」

 

撤退準備が整い、撤退しようとした時、後から雄叫びが聞こえてきた。

 

「なんや!?」

 

「も、申し上げます!! 北郷軍と孫策軍が突撃を開始!! 汜水関城門に取り付き、要塞内部に侵入されました!!」

 

「なんやて!?」

 

「城門を閉める前に柱を差し込まれ、その隙間から侵入されました!!」

 

・・・やられた・・・

 

「即時撤退や!! 全軍、後振り返るなや!!」

 

「は!!」

 

この借りキッチリ返すで!! 北郷!! 孫策!!

 

 

汜水関は銃声と怒号が支配していた。

 

俺は愛紗に戦いながら言う。

 

「愛紗! ここは任せる! 私は華雄に当たる!」

 

「解りました! ご無事で・・・」

 

「ああ」

 

俺は馬を走らせ、華雄を目指す。

 

「北郷 一刀だ!! ここで討ち取り名を上げろ!!」

 

雑魚に用は無い。

 

俺はパトリオットをフルオートで乱射し敵をなぎ払う。

 

華雄・・・見つけた!!

 

俺は走る馬から飛び降り、華雄の前に着地する。

 

「貴様!? 何者だ!?」

 

華雄は突如現れた俺に困惑しながらも問いかける。

 

「北郷 一刀だ」

 

「な!? 貴様が天の使い!? 面白い!! 貴様を討ち取り、連合の指揮を下げてくれる!! 我が名は華雄!! いざ!!」

 

華雄は戦斧を構え、横薙ぎに切りかかる。

俺はそれをかわし、華雄の側面に回りこむ。

 

「な!?」

 

華雄は視界から突如消えた俺に驚きの声を上げる。

 

俺は左手の親指と人差し指、中指で華雄の左肩の服を掴み、右手の親指、人差し指、中指で華雄の右腕を掴む、そして祓うように背中から地面に叩きつける。

 

内氣孔を練り上げ筋力強化と外氣孔を練り上げ、空間支配を同時に行う。

華雄の空間だけ重力がやたら重くなるよう作用させた。

 

叩きつけられた華雄は地面に人間位の大きさのクレーターを作り、地面にめり込んだ。

 

「ぐふぁ・・・・」

 

口から血を吐き出し悶絶する華雄、意識はあるみたいだ辛うじて・・・

 

「無闇やたらと得物を振り回すな。だから虚を突かれる」

 

俺はCQCナイフを華雄ののど元に近づけそういう。

 

「ぐ・・・・・・」

 

呻く華雄。

 

「だが、斬撃は見事だった・・・いいセンスだ」

 

「いい・・・センス?・・・はう・・・・・・」

 

華雄は俺の肩を掴みそう言うと気絶した。

 

「敵将華雄!! 北郷 一刀が生け捕ったり!!!!!」

 

戦場は一時騒然となった。

 

 

≪華雄サイド≫

私は負けた・・・

天の使いという名前しかない男に・・・

今まで呂布以外負けたことはなかった・・・

 

それがよりのもよって男如きに負けた・・・・・・

屈辱だ・・・・・・

 

そして北郷 一刀は地に伏す私にこう言った。

『いいセンスだ』と・・・

 

センスとはどういう意味だろう?そう思いながら私は意識を手放した。

 

私が目を覚ました時、目に飛び込んで来たのは、天幕の天井だった・・・

 

痛む体を起こし、辺りを見回す・・・

 

私は寝台に寝かされているみたいだ。傷の手当てもしてある・・・

 

屈辱だ・・・生かされただけでなく、手当てされるとは・・・

いっそのことあの時、小刀で喉を掻っ切ってほしかった・・・

 

私の頬を涙が伝う。

 

敵に情けを掛けられるならいっそ・・・

 

私は舌を噛み切り死のうとした・・・

 

「おやめなさい」

 

しかし、凛とした透き通る声が私の自害を止めた。

 

「おやめなさい、助かった命を粗末にするものではありません」

 

黒髪を後で結った美しい女性が私を止めた。

 

その美しさは太陽の光に照らされより一層美しく見えた・・・

 

「貴様は?・・・」

 

「私の名前は北郷 愛紗、北郷 一刀の妻です」

 

あの男の妻!? その様な要人が何故!?!?

 

「まずは食事を食べなさい。一刀様が貴女に話があるそうよ」

 

そういい、暖かい食事が運ばれてきた。

 

私がマジマジと食事を見ていると、北郷 愛紗はクスクス笑いながらいった。

 

「大丈夫、毒など入っていません」

 

そう微笑みながら私にそう言った。

 

私は恐る恐る食事を取る。

 

「うまい・・・・・・」

 

自然と言葉が口から漏れる。

 

「そう・・・良かった。それ私が作ったの」

 

それ以来私達に会話は無かった。

 

暫くして天幕の入り口が開く。

 

「具合はどうだ華雄?」

 

北郷・・・一刀・・・

 

私は北郷に飛びつき倒そうとするが、拳をかわされ、受け止められる。

 

「回復は早いみたいだ」

 

ダメだコイツには素手では敵わない。

私はこの男の腕を払いのけ天幕入り口まで走るが・・・

 

左腕を後に捻られうつ伏せの状態で組み伏せられる。

 

「敵わないと思うと逃げる・・・冷静な判断も出来るみたいだ・・・猪とばかり思っていたが・・・いい将だ」

 

「お前は、反董卓連合の将だろう、何故だ・・・」

 

その質問に北郷 一刀はこう答えた。

「俺達は反董卓連合でもなければ、誰の味方でもない、俺は唯の田舎太守だ」

 

北郷 愛紗も答える

「私達は董卓殿とその臣下を助ける為ここにいます。袁紹から各諸侯に送られた手紙は知っている?」

 

「ああ、知っている・・・だがアレは全てデマだ!! お前達が董卓様を生贄にしただけじゃないか!!」

 

「貴女は董卓に忠を尽くしているのですね・・・」

北郷 愛紗はそう呟いた。

「当然だ!! 私は仲間が暴走した責を取らされた、無能な君主が止める文官を無視して孫文台の領土に侵攻、無策な侵攻のため軍は敗退、私は君主に切り捨てられた・・・

そんな時だった・・・董卓様が私に手を差し伸べてくれた・・・私に正義をくれた・・・

私はその正義を・・・董卓様を裏切ることは出来ない」

「・・・正義か・・・」

北郷 一刀は突如私の手を離した。

 

「?」

 

「正義の意味は、時の流れによって決まる。将なら戦いに正義を持ち込むことはない。

戦う理由を求めて戦うのは“戦士”として生きるものだけだ。・・・俺の師匠がそう言っていた・・・政治は時代と共に移り変わる。国や君主に忠を尽くしている限り俺達将兵が信じていいものは何も無いと、正義でもなく、国家や君主でもなく・・・自分に忠を尽くして彼は死んだ。俺に与えた任務の為に・・・」

 

「お前に戦いを教えた師匠か・・・何者だ・・・」

 

「彼は、ソリッド・スネークと呼ばれていた。この世界の言葉に直すと、固体の蛇という意味だ。彼は何度と無く天の世界滅亡から救った英雄だ・・・俺が殺した・・・

以前、師は俺にこう言った『お前は“戦士”だ、自分の信念に忠を尽くせ』俺にはその意味がわからないし、聞けないまま死んでしまった・・・」

 

「自分の・・・信念に・・・忠を尽くす・・・国家でも、君主でもなく・・・」

私はその言葉が呪文のように思えた自分の心を開放する呪文に・・・

 

「本当にお前達は私たちを董卓様を助けてくれるのか?」

 

「本当です。何の罪も無い者が罰せられるのを止めるその為に私達は戦っています。敵である私達の言葉は信じられませんか?」

北郷 愛紗はそう言う。

 

私は彼等を信じてみたくなった・・・不思議だ・・・味方の暴走以来、人を滅多に信じなくなった自分が・・・不思議な方達だ・・・

 

「いや・・・信じよう・・・董卓軍武将としてでは無く、一人の“戦士”として・・・」

 

「助かる」

 

私は彼と握手を交わした。

 

私は董卓様を助けるという自分の信念に忠を尽くすため、北郷 一刀様と愛紗様の下に下った。

 


 
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