この作品は恋姫の二次創作です。
オリキャラ込みです。
初めてなので駄文です。
それを踏まえて読んでいただけると幸いです。
第13話:涙
健「う……」
明命「あ、健様!気が付きましたか!?」
目を覚ますと明命がいて、俺は寝かされていた。
健「ここは……っ痛う!」
明命「あっ、動かないで下さい!ここは我々の天幕の中です」
健「っ……。そか……」
明命の話を聞くと、俺は呂布が撤退した後すぐに倒れたらしい。
まぁ体力も限界やったからなぁ。
それを見た明命がここまで運んでくれたそうだ。
健「そうやったんか。迷惑かけたな、明命」
明命「いえっ!私はするべき事をしたまでですっ!」
健「いやいや、男1人抱えて動くんはしんどかったやろ?ありがとうな」
俺は痛くない右腕で明命の頭を撫でる。
明命「いえ、私は……自分の仕事を……あぅあぅ……」
明命は顔を赤くして俯いてしまった。
……癒されるなぁ。
穏「失礼します~。あ、健さん気がついたんですか~」
俺がほのぼのしていると、穏が天幕に入ってきた。
健「一応な……っ痛う!」
明命「あっ、左腕は動かさないで下さい!応急処置はしましたが、折れているかもしれません」
左腕を見ると、添え木をして巻いてある。
……あー、やっぱか。
穏「……その様子じゃ、暫く戦闘には参加できませんね~」
健「残念やけどな。で、どないした?」
穏「ああ、そうでした~。冥琳様に、様子を見てきて欲しいと言われましたので~」
健「あー。まぁ、今回ばっかりは皆に心配かけたな」
穏「特に冥琳様はとてもご心配なされてましたよ~」
健「そうなん?」
穏「はい。明命ちゃんが健さんを連れて帰ってきた時なんて「健!しっかりしろ!おい健っ!」って、酷く取り乱してらっしゃいましたし~」
健「……冥琳には謝っとかなあかんな」
冥琳「……全くだ」
健「っ!」
外から声がしたと思ったら、冥琳が中に入ってきた。
……それも、青筋を立てて。
冥琳「……どうしてそのような事になったのだ?」
健「……華雄と戦り合うた後、呂布に攻められてな」
冥琳「……本当にそれだけか?」
冥琳は真っ直ぐこちらを見る。
健「……軍師様にはかなわんな。……実は、汜水関の時点でちょっと疲れがきててな」
冥琳「……っ!何故それを言わなかったっ!」
怒鳴り声が天幕に響く。
健「……すまん」
冥琳「すまんで済むかっ!もしかしたら死んでいたかもしれないのだぞっ!」
健「でも、俺がここでふんばらな他のヤツがキツイかなって「そんな事ありませんっ!」明命……」
明命「私達は仲間、だから辛い時は頼ってくれても良いのです!」
穏「そうですよ~。戦は、皆で戦ってるんですから」
どうやら2人も、俺の事を心配してくれていたようだ。
冥琳「……健。以前私はお前に、私を頼ってくれと言ったな?……私が信用できんか?」
健「そんなわけないやr「ならっ!」……」
俺の返事の途中にもかかわらず、冥琳は俺に掴みかかる。
冥琳「辛い時は辛いと言え!私は呉の軍師だ!対応策ぐらいいくらでも考えてやる!だから……」
冥琳の目から、涙が零れた。
冥琳「だから……もう……こんな無茶しないでくれ……」
そう言い終えて、冥琳は掴みかかったまま泣き崩れた。
健「……すまん」
俺は冥琳を右腕で抱きしめる事しかできなかった……。
冥琳が落ち着いてから、俺は皆と一緒に外へ出た。
そこは……、
健「……酷い有様やな」
洛陽の街だった。だが元の面影は無く、民家は所々燻っていた。
虎牢関での戦いの後、残った董卓と賈駆は洛陽から逃げ出したそうだ。
その後、黄巾の残党がこの街を襲ったらしい。
健「……俺は何したら「休め」……むぅ」
冥琳「その体で手伝おうと思うな。今のお前の仕事は、一刻も早く体を治す事だ」
健「……分かった。じゃあ俺の兵の指揮は任せるわ、それと冥琳」
冥琳「何だ」
健「……司馬懿の事で話が。今夜空けといてくれるか?」
冥琳「……分かった」
冥琳は踵を返し、去っていった。
さて、この戦も一段落したことやし。
……ええ加減、冥琳には話さんとな。
それに冥琳なら、他の皆に上手く説明してくれそやし。
そして、夜。
冥琳「失礼する」
冥琳がやってきた。
健「応。待ってたで」
冥琳「ああ。……で、その話というのは?」
健「ん。俺と司馬懿の、天での関係について」
冥琳「ふむ……、聞こう」
健「じゃあ、どっから話そか……」
それから俺は、冥琳に全てを話した。
俺達は天にいた頃、相棒同士だった事。
お互いに信頼していた事。
自分の失敗で彼女を傷つけた事。
その療養中に、あいつはこちらに飛ばされてきた事。
そして、天で俺はあいつを可能な限り探し続け、それでも見つからなかったのでどこかで死んだと思い込んでいた事。
冥琳「なるほど。……お前達はそういう関係だったのか」
健「まぁな」
冥琳「……1つ聞いていいか?」
健「何や?」
冥琳「……どうして、そこまで司馬懿にこだわる?」
健「……まぁ、俺の初めての仲間やったからな。それに俺、家族とは無縁の環境やったし」
冥琳「孤児だったのか?」
健「いや、そういう訳やのうて。……うちの家系は代々、暗殺を生業としてきたって最初に言うたやろ?」
冥琳「ああ」
健「そんなモン仕事にしてたから、家族が家族らしくしてた所を1回も見た事無いねん」
冥琳「? どういう事だ?」
健「説明するのは難しいねんけど、昼間冥琳が「もっと私を頼れ」って言ってくれたやろ?うちの家族はむしろその逆、自分以外信用するな、って感じやったんよ。そんな中で育ったもんやから、あいつが相棒として組んでくれた時何か力が抜けた気がしてな。……やからかな、あいつにこだわるのは」
冥琳「言わば司馬懿がお前の初めての『家族』、という事か?」
健「そんなとこ。実際それまでは大変やってんでー、影縫流の全部は見様見真似で会得せなあかんから……」
冥琳「……健」
健「ん?」
冥琳「……我々も、お前にとっては『家族』か?」
健「当たり前やん」
冥琳「ふふっ、そうか」
微笑む冥琳。
健の言葉を聞いて、なぜか嬉しそうだ。
健「でも、だから困ってんよなー」
冥琳「何をだ?」
健「……聞いてくれる?」
恐る恐る尋ねる。が、
冥琳「当たり前だ。『家族』が困っていて、見捨てるヤツはおるまい」
すぐ答えは返ってきた。
健「……あのな」
冥琳「ああ」
健「……俺、どうしたらいいやろ?」
冥琳「?」
要領を得ない答えに、首を傾げる。
健「呉の連中は今や、将から民に至るまで俺の仲間や。裏切るなんて考えられへん。でも、あいつは俺が初めて出会った仲間。多分俺にはあいつは殺せん。やけどいつか曹魏とは戦わなあかん。やからどうしたらええんか……」
冥琳「……なんだ、簡単ではないか」
健「?」
今度は健が首を傾げる。
そんな健に冥琳は告げる。
冥琳「我々が天下を取れば済む話だろう?世が平和になれば、争う理由も無くなる。その時に改めて、司馬懿を迎えればいい話だ」
健「あ……」
冥琳「敵は一生敵とでも思ったか?司馬懿に限らず、この世では仕える主を変えるのはそう珍しいことではない。味方になる可能性も十分ある。だから、心配するな」
健「……できるかな?」
冥琳「その為に此度の戦で、お前は無茶をしたのだろう」
ニヤリと笑って冥琳が言う。
健「……はは、そうやったな」
冥琳「そうだ」
健「冥琳」
冥琳「ん?」
健「……ありがとう」
健はなぜか、泣いていた。
冥琳「泣くほどでも無いだろう」
健「……あかん、なんで泣いてんのか分からん」
冥琳「全く、お前は1人で抱え込みすぎだ」
健を優しく抱きしめる冥琳。
冥琳「困ったら私を頼れと言っただろう?お前のためなら、たとえ忙しくとも協力するさ」
健「……ん」
その夜、抱きしめ合う2人の影は遅くまでそこにあった。
G「今回で、反董卓連合編は終わりです。今回は雪蓮さんに来て頂いてます」
雪蓮「この話、割と長かったわね」
G「でも、当初の予定より短いんです」
雪蓮「そうなの?」
G「はい。本当なら、健VS呂布をもっと書いたり、一刀の活躍をもっと書いたり……」
雪蓮「私達はどうなのよ?」
G「もちろん書くつもりでした。……全く持って、作者には文才がありません」
雪蓮「全くね。もっと努力なさい」
G「善処します……」
雪蓮「で、次回は?」
G「次回は健の傷の療養と言う事で、蓮華の方に行きます。あと、次回でオリジナル除く呉のメンバーは全員出ますね」
雪蓮「むー。じゃあ暫く出番ないじゃない!」
G「まぁまぁ。その話の前に、閑話休題で以前のリク消化をするのでその時に出番をば。あ、ちなみにリクの選考基準は『作者のネタが浮かんだ物』順です。書いてくれた皆様、申し訳ありません」
雪蓮「私は出るんでしょうね?」
G「はい」
雪蓮「じゃあいいでしょう。それじゃ、次回の閑話休題でね♪」
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第13話です。
今回で反董卓連合編は終わりです。