No.1010025

近未来文明が残る惑星 第7話

meguro さん

閲覧有難うございます。今回も新たな発見をする展開となっています。
もし宜しければ、感想やアドバイスをお願いします。
次回も12月中を目標に投稿できるよう頑張ります。

2019-11-12 20:22:15 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:464   閲覧ユーザー数:464

この作品はフィクションです。実際の人物や地名とは関係ありません。

 

 

氏政との謁見も無事に終わり、本格的に現地調査を開始するリックは、ひとまず世話になっている瑠璃の家に戻るのだった。

 

「そういえば、さっき氏政様が言っていた様に護衛って鷹羽様だったんですね!

なんだかそんな気がしていたんですよー!これから宜しくお願いします。」

 

「ああ、宜しく頼む。それはそれとして、お前に剣術を教えるよう言われている。

俺の教え方は厳しいからな。」

 

「はい、宜しくお願いします!」

 

だいぶ鷹羽と打ち解けてきたのか、初めて会った時よりも仲良くなった気がした。

 

「とりあえず、ここで解散としたいのだが、近くに例のアレがある。

それの正体を調べるのがお前の役目だろう?そこに案内しよう…

俺もうっかり忘れていた、すまない。」

 

「そんなに気にしなくていいですよ。」

 

(もしかして鷹羽様って見かけによらずうっかり者なのかな?)

 

失礼だと思いつつ、鷹羽に少し親近感が湧いたリック。

鷹羽の案内の元、その場所に向かった。

 

 

――――――――

 

 

しばらく歩くと草が生い茂る平地に見えるものがあった。

リックはまるで化け物を見たような顔で仰天し、硬直する。

一面に黒色または灰色の石畳の様な石か何かで造られた道が一面広がっていた、

所々草が生えていて何とも言えない寂れた雰囲気が漂っている。

 

リックにはその黒い道が何か見た途端分かった。

 

「アスファルト…?間違いない、かなり劣化してるけどアスファルトの道路だ…」

「あす…ふぁ…ると?なんだそれは?この一面に広がっているものの正体が分かるのか?」

 

「はい、分かります。うーん、説明すると難しいんですが…

この時代よりももっと未来の物というか、道の姿というか…」

 

リックは何とか慣れないながらも説明をする。

それを聞いた鷹羽は聞きなれない言葉に困惑するが、リック本人はそれ以上に困惑していた。

 

世界史の本を持っているはずもなく、分からない事だらけでなんとかやってきた。

推測ではこの世界の時代は恐らく15世紀から16世紀ぐらいだと考えていた、しかしアスファルトやコンクリートで出来た道路という明らかに遙か未来の文明の素材がこの惑星に存在している。

 

「どういうことだ?時代がおかし過ぎる!

なんで突然20世紀後半に出来た物があるんだ……なんなんだこれは?」

 

頭が混乱するリックを心配そうに見つめる鷹羽。

 

「だ、大丈夫か?」

「あの!…こういう場所、他にもあるんですか!?」

 

リックは勢いよく立ち上がり、鷹羽に詰め寄る。

 

「ああ、ここだけじゃない。他の場所にもこの様な物がある。

…それに聞いた話だと、小田原だけでなく日ノ本各地にこんな物があるそうだ。」

 

(各地に近未来の文明や技術が廃れた姿で残っている!?)

 

思ってもみなかった事を目の当たりにし、よりこの惑星の事が気になったリックであった。

再び、地面にしゃがんでアスファルト道路の破片を手に持つ。

 

 

「これについて氏政様に報告したいです!持ち帰ってもいいですか?」

 

「恐らく問題ないと思うが、ここの所、氏政様はお忙しい。

報告するなら早くても明日にした方がいい。」

 

「分かりました、有難う御座います…。」

 

リックはアスファルトの破片を布で包み、大切に持ち帰った。

 

「本当にアレの正体が分かる日が来るとは思わなかった。

周辺の住民も不気味がって、ここには近寄らない。……お前は何者なんだ…?」

 

いとも簡単に黒いアレの正体が分かり、しかも何かに使われていた資材まで知っている。

ランタンもそうだが、あまりにも珍しい物や未知の物に詳し過ぎる…

そんなリックの事が少し恐ろしく感じてしまった。

 

「何故、長年我々には分からなかった事がお前には分かる!?

そこまで海の外の国々は発達しているのか!?」

 

異国からの来訪者であるリックに鷹羽は疑問と共に私情をぶつけてしまった。

それは、明らかに日ノ本よりも高度な文明や技術を持っている事から来る恐怖だった。

 

「…海の外……そう…ですね。」

 

鷹羽から言われた言葉にリックは少し落ち込んでいた。

自分が、地球ではない遙か遠い宇宙から来た事を信じて貰えてなかったのだ。

確かに自分が逆の立場を考えると、助けた相手が自分たちよりも遙かに高度な文明や知識を持っている事が、奇妙で不気味で恐ろしく思うかもしれない…それに…

 

(もしもこの世界が地球を同じ、史実通りに歴史が進んでいくのなら…

俺はこの国の未来を知っている…それは決して言ってはいけない。)

 

(今ここで俺の事だけでなく、この国の未来の事、そして幾度と起こった戦争や環境問題で地球が滅んでしまった事を伝えてしまったら、間違いなくみんな大混乱するだろう。

…そうしたら、きっと俺の命も危ない。だったら―――)

 

 

「…しかし、自分の国も隣国との戦争があって、大変なんです…だから出来れば早く帰国したい…」

 

リックは自分の事を宇宙から来た者ではなく、海の外から来た異国の来訪者として偽った。

そうすることで大きな混乱を起こさなくても済むと考えたからだ。

しかし、デメリットもあった。もう二度と宇宙の話は出来なくなる、自分が生まれ育ったコロニーの事も家族の事も記憶も全部偽らないといけなかった。

 

「…そうなのか…辛い思いをしていたのだな、すまなかった。

そしてやはりお前も海の外から来たんだな?…はははっ、月から来たとか言うから驚いたぞ!…全く、冗談でも限度があるだろう?」

 

リックの複雑な思いの知らずに、鷹羽は少し安心したのか笑った。

やはりリックが宇宙から来たとは誰も信じていなかったのだ。

 

(でもこれでいい。自分を偽って皆を守れるなら、これで)

 

「ご、ごめんなさい。月から来たって言うのは少し言いすぎでしたね…!」

 

アスファルトの破片を大切そうに持ちながら、ひとまず瑠璃が待つ家に帰った。

 

 

 

   次回に続く

 

 


 
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