No.1012864

近未来文明が残る惑星 第8話

meguro さん

閲覧有難うございます。
今回も大きな進展があります。戦国武将のチョイスは自分好みです。
感想、アドバイスなどありましたらお願いします。

2019-12-15 19:15:41 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:597   閲覧ユーザー数:596

この作品はフィクションです。実際の人物や土地史実とは異なる場合があります。

 

 

前回のあらすじ

 

未知の惑星に調査に来たリックは、不時着した国で様々な人物に出会い助けられていく。

かつて日本国のとある時代を思わせる様な人々の文化背景、武将などここは戦国時代の日本だとリックは考えた。しかし戦国時代には合わないランタンやアスファルトなど近未来の遺物に遭遇し、ここは本当に未知の惑星なのか疑問と謎が深まった。

 

 

――――――――

 

 

翌日

 

リックは少し早起きして村の近くにある海岸を散歩していた。

 

波風に吹かれながら今度どうするか考えていた。足元の砂を見つめているとふと、自分を見つめる視線を感じたリックは顔を上げて辺りを見渡す。

だが、誰もいない。変な感覚がしただけかと思い、再び海を見つめると、

波に揺られ漂っている空き瓶を見つけた。

 

「瓶…?これは…この国で作れた物なのかな?」

 

リックは瓶をさざ波から拾い上げる。

空き瓶の中には文字がかすんだ手紙の様な紙と白い布で包まれた小さな物体があった。

 

手紙にはどうやらこの国の言葉で書かれている様な文字が並んでいる。

そしてもう一つの白い布に包まれた物は黒く、人工的な物質で出来た長方形の先に金属で出来た部分があった。

 

「これ見た事ある、……USBメモリー?…資料でしか見た事なかったけど、実物を見るのは初めてだ」

 

それは黒いUSBメモリーだった。しかしリックが生まれた未来の世界ではすでに使われなくなっていた。

 

「どうして?俺と同じ未来から来た奴や高度な文明を持ってる人が、この世界にいるのか!?クソっこんなの見つけてもパソコンが無いんじゃどうしようもないよ…」

 

リックは次々と近未来で使われる物に遭遇し、今の自分の状況では謎を解明することが出来ない悔しさを感じていた。そしてこれも何かの調査になると思いとりあえず瑠璃の家に戻ろうと振り返った瞬間――――

 

「うぐっ!?――――――っ!?」

「静かにしろ!大人しくすれば命までは奪わない」

 

リックは何者かに口元と両手を抑えられてしまった。

 

(この声…女?なんで俺を!?)

 

女性は顔を見られない様、仮面で素顔を隠しているのを一瞬見えた。女性の言葉を無視し激しく抵抗するリックは、もう一人いた人物に首に鈍器で殴られ気絶する。

 

「はぁ…全く手間を掛けさせて……今のうちに」

「急げ…私は先に行っている」

 

そう一言会話すると謎の女性と人物はリックを抱えて小田原とは反対方面に姿を消した。

 

 

―――――――

 

 

「遅いなぁ…どこに行っちゃったんだろう?」

 

瑠璃の家では既に朝ご飯を作り終え、リックが戻ってくるのを待っている2人がいた。

 

「村の人に頼まれて畑仕事とか手伝ってるんじゃない?きっとすぐ戻ってくるよ」

カムイがお腹を空かして早く食べたそうに、ご飯を見つめながらのんきに喋る。

 

「そうだといいけど…なんか嫌な予感がするよ…あ、食べたいなら先に食べてていいからね。」

「本当!?じゃあ…りくには悪いけど、先に食べるね!」

瑠璃の心配を余所に空腹に耐えきれなくなったカムイはご飯を食べ始める。

 

ガラガラッ

 

 

家の扉が開いた。

 

「瑠璃ちゃん大変だよ! りくが誰かに襲われているのを見た人がいるんだって!」

 

村の世話好きなおばさんが慌てた様子で瑠璃の家に駆け込む。

 

「…えっ……!?」

「ごっごほごほっ…えっ!?」

 

突然の出来事に頭が真っ白になる瑠璃、突然の出来事にご飯を喉に詰まらせてむせるカムイだった。

 

「ああっどうしよう、助けなきゃ!おばさん、りくは何処にいるの!?」

 

瑠璃は勢いよく立ち上がりおばさんに駆け寄る。

 

「あたしも詳しい事はまだ分からないよ。とりあえずそれを見た人に話を聞こう」

「えっ待って!もぐもぐ…待って!もぐもぐ……ご馳走様でした!」

 

カムイは美味しいご飯を残したまま行けないと思ったのか、急いでご飯を食べ最後に笑顔で礼を言った。

 

「はい、お粗末様でした!行くよ!」

「うん!りくを助けよう!」

 

2人は急いで目撃者の所に向かった。

 

 

 

 

「…う……ここは?」

 

水滴が顔に落ちる冷たさでリックは目が覚めた。

洞窟で横たわっていた。洞窟は薄暗くじめじめと土の湿った匂いがする。

布団代わりに女性物の羽織がリックに被せてあった。

 

「良かった、目が覚めたんですね…さっきは手荒な真似をしてしまってごめんなさい」

 

外の方から声が聞こえたと同時に女性が現れる。

赤茶色の髪を後ろに束ねていて、えんじ色が美しい着物と袴を着た男装しているような恰好の女性が立っている。

 

「お前は誰だ…?何で俺を誘拐した?何が目的だ!?」

 

リックは女性を見ると怒りが混ざった質問をする。

 

「……っ…本当だ…」

「はあ?本当だって何だよ」

 

女性はリックを見つめたまま驚いた顔で硬直する。

突然誘拐されて訳の分からない事態に激怒したリックはまた口を開こうとすると。

 

「本当に言葉が通じるんだ!あの方が言っていた通りだ!凄い!」

 

女性は突然、頬を赤らめにこりと笑う。

 

「ああっごめんなさい。えーと、私は松利(まつり)と申す者です。表では真田軍の兵士、裏では忍びをやっています。どうぞよろしく。」

 

女性は松利と名を名乗った。

 

 

「さ、さなだ?しのびってなんだ?」

 

リックはポカンと疑問を呟いた。

 

「あら…幸村様をご存じないと?それはいけません!天気が回復次第、大至急向かいましょう!!」

 

鷹羽とはまた違ったマイペースで自由奔放な人物のようだ。

 

「だから、さなだって誰だよ!忍びって……あれ?聞いたことあるぞ…忍者か?」

「はい、その通りです。突然貴方様を誘拐してしまってごめんなさい。幸村様の命令だったんです。あのままでは…貴方は…」

 

コロコロと笑ったり怒った様々な表情豊かな彼女は、今度は少し悲し気な表情をする。

 

「貴方は…戦に巻き込まれていました。…小田原の町はまもなく戦場になります!」

 

 

                                   次回につづく

 


 
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