No.1001538

真・恋姫†無双-白き旅人- 第十一章

月千一夜さん

とりあえず、連投の十一話

成都編、開幕です

暇つぶしに、どうぞ

続きを表示

2019-08-11 18:09:57 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1634   閲覧ユーザー数:1471

「んもう、皆酷いわん!

もう、アチシご立腹!!」

 

「ま~ま~、そう怒らないでくれよ」

 

 

森を抜けて少したった頃

スキンヘッドで額には“愛”と書いてサングラスをかけた、自身の筋肉でパツンパツンになったゴスロリ服を身に纏う変態

淳于瓊は、頬を膨らませ“ご立腹です”とばかりに言った

そんな彼に、隣を歩く司馬懿仲達こと北郷一刀は苦笑しながら声をかける

 

 

「結果的には助かったんだし、俺らだって感謝してるんだ」

 

 

“なぁ、皆”と、一刀

それに、皆もニコニコとしたまま頷く

しかしそれでも尚、淳于瓊は不機嫌そうなままだった

 

“どうしたものか”と、皆は苦笑する

別に放っておいてもいいのだが、やはり一緒に行動している以上は和やかな雰囲気でいたかったのだ

 

 

「あっ・・・」

 

 

そんな中、ふと雛里が何かを思いついたのか声をあげる

それから自身の口元に両手をそえると、普段よりも少し大きな声でこう言ったのだ

 

 

 

 

「淳ちゃん、淳ちゃん♪」

 

 

 

 

ふいに、淳于瓊の“愛称”を連呼する雛里

それで彼女の考えに気付いたのか、一刀も同じように声をあげはじめた

 

 

「「淳ちゃん、淳ちゃん♪」」

 

「・・・!」

 

 

“ピクリ”と、前を歩く淳于瓊が反応する

それを見て、華雄と雪蓮と霞も気づいたのか二人に続いて愛称を連呼し始める

 

 

「「「「「淳ちゃん、淳ちゃん♪」」」」」

 

「ぐ、ぬ・・・」

 

「「「「「淳ちゃん、淳ちゃん、淳ちゃん♪」」」」」

 

「む、ぬぬぬ・・・ぬぅ・・・・・・」

 

「「「「「淳ちゃん、淳ちゃん、淳ちゃん、淳ちゃん、淳ちゃん♪」」」」」

 

「むう、ふん、ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ~~~~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイ、アム、ア、じゅじゅじゅじゅじゅ・・・淳ちゅあぁぁぁあああああああああああああああああああああんんんんん!!!!!!!(悦)」

 

「「「「「イエーイ、淳ちゃーーーーーーーーん!!!!!(wwww)」」」」」

 

「滾る、滾るわあぁぁああああああああん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

淳于瓊、復活。ブスリ♂

 

何というか、単純だった

雛里の“計算通り”という表情がそう語っている

 

ともあれ、どうやら彼の機嫌も治ったらしい

それと、同時に・・・

 

 

「あらん、どうやらん・・・見えてきたみたいねん♪」

 

「お、ホントだ」

 

 

 

彼らの“目的地”も、徐々に姿を現してきたようだ

 

足を止めてみた、視線の先

見えてきた城が、まさにその目的地

 

 

「あれが・・・“成都”か

なんか、懐かしいよ」

 

「あわわ

私も久しぶりなので、ちょっと懐かしく感じます」

 

 

皆は徐々に近づいてくるその場所

成都を、それぞれ感慨深げな瞳で見つめる

 

 

 

「それじゃ、早く行きましょうよん♪」

 

「ああ、そうだな」

 

 

淳于瓊の言葉

一刀は頷き、そして歩きはじめる

 

 

 

「行こう、成都へ」

 

 

 

蜀の都、成都

彼らを待つ、次なる舞台へと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪真・恋姫†無双-白き旅人-≫

第十一章 着いたぜ、成都へ!~死亡フラグって、こんな立ちまくるもんだっけ?~

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「それじゃ、仲達ちゃん・・・アチシは、さっそく弟子に会いに行くわん」

 

「ああ、おれ達も自分たちの用事を済ませに行くよ」

 

成都に着いた直後のこと

淳于瓊は、名残惜しそうに苦笑を浮かべそう切り出したのだ

それに対し、一刀は腫物が落ちたかのようにスッキリとした笑顔を浮かべている

何とも、対照的な反応だった

 

 

「ああん、なんだか短い間だったけどん・・・寂しくなるわん」

 

「いや、むしろ凄い嬉しいんだけど」

 

「んもう、照れちゃってぇん♪」

 

「テレ違うわ

早く行けよ、サイクロプス」

 

「あぁん、いけず

けど・・・そこが、いい♪」

 

「おえぇぇぇえええええええ!!!!」

 

「一刀おぉぉぉおおおお!!!!???」

 

 

二度目の、“ティロ・フィナーレ”

 

かくして、短い間だった淳于瓊との旅は終わった

あとは各々が、この成都の地にて目的を果たすのみ

 

 

 

 

 

「ひとまず、宿かな」

 

 

歩きながらの一刀の言葉

それに、雛里は“あのぅ”と声をあげた

 

 

「どうしたの、雛里ちゃん」

 

「あの、私はちょっと・・・先に、お城の方に行こうかなと思いまして

皆さんがいつ帰ってくるかわかりませんし、色々と聞くのは早いにこしたことはないかなと思いまして」

 

「あ~、そっか

確かに、そうかもしれない」

 

 

“念の為に”という言葉がある

まだ蜀の者達が帰ってくるとは思えないが、やはり先んじて済ませておくに越したことはないのだ

そう思っての提案だった

 

 

「それじゃあ、お願いしようかな」

 

「はい、任せてください♪」

 

「あと華雄

念の為、雛里ちゃんについて行ってくれないかな?」

 

「ああ、わかった」

 

「俺と雪蓮と霞で、宿を取っておくから

そっからの行動は、まぁその時に考えるよ

とりあえず、そうだな・・・日暮れまでに、此処に集合ってことで」

 

 

“いいよね?”と、一刀

それに、皆は頷いて見せた

その様子を満足げに見つめた後、一刀は笑顔を浮かべ言った

 

 

 

 

「それじゃ、任せたよ雛里ちゃん」

 

「はい、一刀さんも宿の方お願いします」

 

 

 

昼も中ごろの成都の街中

かくして、五人はひとまず別行動と相成ったのだった

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

一方その頃・・・

 

 

「ようやく、着いたな・・・」

 

「うむ・・・案外、早くつけたな」

 

 

一刀達が入った門とは、ちょうど反対側の門

そこに、二人の女性が立っていた

 

一人は黒く長い髪をした、片目に蝶の眼帯をつけた女性

夏候惇、真名を春蘭だ

もう一人は水色の髪をした、前髪が片目にかかるくらいの長さの女性

夏侯淵、真名を秋蘭

 

二人は今、成都の門を見つめながら話していたのだ

・・・今にも倒れてしまいそうなほどに疲れている馬を引きながら

 

 

 

「姉者が飛ばしたからな・・・見ろ、馬が今にも倒れそうだ

“生まれたての仔馬”のようになってるぞ」

 

「うむ、鍛え直す必要があるようだな」

 

 

“姉者・・・”と、秋蘭は溜め息を吐き出した

 

 

「早くつけたのはいいが、桃香殿をはじめ蜀の皆を置いていく形になったな」

 

「アイツらが、遅すぎるのだ」

 

 

“フン”と、少し怒ったように歩き出す春蘭

そんな彼女の背中を見つめ、秋蘭はフッと笑いを零してしまった

 

 

 

 

「そんなに、北郷に会いたかったのか?」

 

「っぶ!!?」

 

 

 

噴出した

あの春蘭が足を止め、それはもう盛大に

 

 

「な、何を言いだすのだいきなり!!?」

 

「クッ・・・わかりやすい反応だな、姉者は」

 

 

“本当に、わかりやすい”と、秋蘭は声を出して笑う

結局のところ、彼女がここまで無茶をして急いだのも

途中まで一緒だった蜀の皆を置いてまで急いだのも

 

全部・・・“彼”に会いたいからだった

 

そんなこと、勿論秋蘭にはわかっていた

“わからないはずがなかった”

 

何故ならば・・・それは、彼女もまた同じなのだから

 

 

 

「えぇい、早く行くぞ秋蘭!!」

 

「うむ」

 

 

 

だからこそ、彼女はまた笑う

 

この門の先

この成都の地で

 

“彼”に再開できることを信じて

 

 

 

 

「うがーーー!!

こんなイライラするのは、きっと北郷のせいだーーー!!

あ奴め、会ったら真っ二つにしてくれるーーーーーーーーー!!」

 

「ふふ・・・責任転嫁する姉者も可愛いなぁ」

 

 

 

 

彼に対し

大きな大きな、“死亡フラグ”を抱えながら・・・

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「ぅ・・・」

 

「一刀、どないしたん?

なんや、変な声出して」

 

「い、いや・・・何か今、ものすごい寒気がしてさ」

 

 

“気のせい、だよな?”と、一刀は自身の体をギュっと抱きしめる

そんな一刀の姿をみて、雪蓮と霞はクッと笑いを漏らす

 

 

「一刀ったら、もしかしてまだ淳ちゃんと出会った時の衝撃が残ってるんじゃない?」

 

「ははは、言えてるわ

淳ちゃんのあれは強烈やったもんなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

『いっただっきまぁぁぁあああああああす♪』

 

『う、うわぁぁぁあああああああああああ!!!!???』

 

 

 

 

二人のいうとおり、確かに強烈だった

あのような出会いは、もう二度とないことを切に祈ったくらいに

あまりの衝撃に、皆が一斉に混乱したのだから

しかし、それとは違うと一刀は苦笑する

 

なにより・・・

 

 

 

 

「俺ってああいう知り合い、まだ2人知ってるしなぁ・・・」

 

「一刀?」

 

「ああ、いや何でもないよ

あはは」

 

 

笑い、彼は誤魔化す

どっちにしたって、あんな出会いが勘弁なのに変わりはないのだ

むしろ、そのような知り合いが二人もいたにも関わらず・・・彼は二度も、“ハイドロポンプ”してしまったのだから

やはり、強烈だったのだから

ここは素直に、それにのるのが楽だ

 

 

「それよりもホラ、早く宿を見つけちゃおう」

 

「そうやね

そっからは、どうするん?」

 

「う~ん、夕暮れまでは自由行動でいいんじゃないかな?」

 

 

一刀の言葉

それに、二人は同意の意味を込め頷いた

 

ともあれ、まずは宿探しだ

 

 

 

「なんか、宿の希望とかってある?」

 

「「一刀と同じ部屋、オプションは腕枕つきで」」

 

「・・・ビックリするぐらい息ピッタリで、物凄いこと言ったね君たち」

 

 

“しかも、真昼間の街中で”と、一刀は頬を引き攣らせ言う

そんな彼の様子も気にせず、霞と雪蓮はお互いに睨み合っていた

 

 

「なんや・・・最近大人しいおもっとったら、やらかしてくれたやんか?

なに、発情期なん?」

 

「あら、私はいつだって大人しいわよ?

ていうか、一刀とは私が寝るから

貴女は、ハンカチでも噛みながら“キィィィイイイイ”とか言ってなさいよ

そんで、涙で枕を濡らしてなさいよ

私は、別のとこを一刀と一緒に濡らしてるから」

 

「なんやてぇ!?

やんのか、こらぁ!!?」

 

「上等よ!!

今日こそ、決着つけてやるわよ!!」

 

 

叫び、二人は自身の獲物を掴もうとして・・・

 

 

 

「二人とも、ストップ!!

いや、止めろって!!

ていうか雪蓮、さり気なくとんでもないこと言ってただろ!?」

 

 

そこでやはり、一刀が止めに入った

流石に、街中で武器を振り回すのはマズイ

いや、ガチな喧嘩だけでも十分にマズイのだが

 

 

 

「止めてくれるなや、一刀!

コイツとはいっぺん、ガチで話し合わなあかんねん!!」

 

「そうよ、一刀!

真剣な話し合いなの!

邪魔しないでちょうだい!!」

 

「おかしいから!

“話し合い”で偃月刀と剣が金属音を鳴り響かせるのは絶対おかしいから!!」

 

「おかしくないわよ!!

ただの“殺すわよ?(話し合い)”だってば!!」

 

「そうや!

ただの“やれるもんなら、やってみいや!(話し合い)”や!!」

 

「逆ぅぅぅううう!!!

()の内容が逆だから!!

何だ君ら、つい最近物凄い息ピッタリだっただろ!?」

 

 

それはもう、冗談抜きで

しかも成都に入る前には、みごとに五人の息を合わせ淳于瓊を復活させたくらいに

 

 

「それなら・・・」

 

「そんなら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「「一刀が選んで!!!!」」

 

「だからさ、君ら実は凄く仲良いでしょ?

なんでそんな息ピッタリなの?

そんで、なんでそんな答えに困るようなことばっか言うの?」

 

 

“ヒクヒク”と、頬をヒクつかせながら一刀は言う

驚くほどに、息の合った二人

その二人から飛び出した、これまたテンプレすぎる質問に

盛大に頭を悩ませながら

 

 

 

「ていうかさ、そんなのはいいから早く宿を探さないと・・・」

 

「そんなのですって!?」

 

「そんなのやって!?」

 

「うひぃ!?

二人とも、ちょっと待って!!?

刺さる!刺さるから!!

二人の獲物が、俺のモノに刺さるから!!」

 

 

“ていうか、やっぱ息ピッタリじゃんか”と、一刀は泣きそうになりながら叫ぶ

いや、もう殆ど泣いている

 

 

「わかった!

選ぶから、その刃を下ろしてください、お願いします!!」

 

「「わかった」」

 

「ほらみろ、やっぱ息ピッタリじゃんか!!!!」

 

 

叫び、ひとまず深呼吸

どこか納得できないが、仕方ない

このままでは、いっこうに話が進まないからだ

しかも、生半可な答えでは満足しなさそうだ

 

“仕方ない、か”と、いつもの口癖

 

それから一刀は、2人を真っ直ぐに見つめながらゆっくりと言葉を紡いでいく

 

 

「俺が、宿で同じ部屋になりたいのは・・・」

 

「「なりたいのは・・・?」」

 

 

やがて、どこか期待した目で見る2人に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雛りん一択だろjk・・・」

 

「「なん・・・だと?」」

 

 

 

 

とんでもない、ダークホースが現れるのだった

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「あわわ・・・っ!?」

 

「どうした、雛里」

 

「い、いえ・・・なんでしょうか

今、なんだか妙な胸騒ぎを感じたんですけど」

 

「ふむ、妙な胸騒ぎか

大方、あの三人が馬鹿をやってるんじゃないか?」

 

 

華雄、大正解

 

 

「多分、気のせいだと思います

それよりも、早くお城に行って色々聞いてしまいましょう」

 

「そうだな」

 

 

苦笑し、それから雛里は少しだけ足を早める

といっても元々身長のや歩幅のハンデがあったので、華雄との距離にあまり変化はなかったのだが

 

そんな二人は今、城まで間もなくという場所を歩いていた

寄り道などせず、真っ直ぐと向かったためだいぶ早い

 

 

 

「あわわ・・・やっぱり、懐かしく感じます」

 

「だろうな

一年ぶり、なんだろ?」

 

「ひゃい」

 

 

さり気なく噛みながら、見つめる先

懐かしい景色に、頬が自然に緩んでいく

そんな彼女の様子に気づき、華雄はプッと笑いを漏らした

 

 

「はは・・・それじゃ、早く向かうとしようか」

 

「はい、そうですね♪」

 

 

華雄の言葉

雛里は、満面の笑みを浮かべ頷く

 

そんな折だった・・・

 

 

 

 

「鳳統、様・・・?」

 

「ふぇ・・・?」

 

 

ふいに、声が聞こえてきたのだ

 

その声は、彼女達の背後から聞こえてきたようで

二人は、其の場に立ち止まり振り返った

 

そして、振り返った先・・・一人の少女が立っていたのだ

 

 

 

「やっぱり、鳳統様ですよね!?」

 

 

その少女は、雛里の姿を確認するとそう声をあげ駆け寄ってきた

雛里は、そんな少女に対し驚いたような表情を浮かべ声をあげる

 

 

「“法正さん”!?」

 

「はい!

お久しぶりです、鳳統様っ!!」

 

 

雛里の言葉

“法正”と呼ばれた少女が微かに目に涙を浮かべ、大きく頷いている

そんな二人の様子を見て、華雄は少々驚いたような表情のまま雛里に声をかけた

 

 

「知り合いか?」

 

「はい

私と同じで、蜀で軍師をしているんです」

 

「そんな、軍師だなんて!

私なんて“お二人”に比べたら、文官に毛が生えた程度の存在です!」

 

「“お二人”というと・・・」

 

「私と、あと朱里ちゃん・・・孔明ちゃんのことです

法正さんは孔明ちゃんの補佐として働いてたんですよ」

 

 

“過去形”なのは、彼女は一年前から此処にはいなかった為

現在の彼女のことが、わからないからだ

そのことに気付いたのか、法正は苦笑を浮かべ頭を下げる

 

 

「はい、鳳統様の仰る通りです

そして今回は、諸葛亮様達が御留守の間の内務などを任されました」

 

「ほう・・・」

 

 

大任である

それほどまでに、信頼されているということなのだろう

雛里はそのことに気付いたのか、微かに嬉しそうに微笑んでいた

 

 

 

「それにしても、よかったです

こうして、またお会いできて

鳳統様が一年前に急に旅に出てしまい、本当に心配していたんですよ」

 

「あ、あわわ

ごめんなさい」

 

「いえ、そのような頭を下げられてわ!?

鳳統様に頭を下げられたら、私なんてどうしたらいいか・・・!!?

はっ、そうだ!!

私、今から頭から地面にめり込みます!!」

 

「なんでだ!!?」

 

 

華雄のツッコミも虚しく、彼女は其の場に膝をつき地面に思い切り頭を叩きつけている

どうやら、相当に謙虚な子らしい

 

それも、限度外に・・・

 

 

 

「あわわ!!?

ちょ、法正しゃん!?

にゃにを、しているんでしゅか!!!??」

 

「あぁぁぁああ、鳳統様を噛ませてしまった!!

沈みます!!

今すぐこの地面に沈んでお詫びしますからぁぁああ!!!

どっせいいいぃぃぃいいい!!!!!」

 

「ちょぉぉぉおおお、やめろおぉぉおおお!!!

血が、額から物凄い血が出てるからぁぁぁあああ!!!

“美人が台無しだよ?”って、そんな程度じゃ済まなくなってるからぁぁぁあああ!!!!」

 

「もういっちょぉぉぉおおおお!!!!」

 

「法正さぁぁああああああん!!!???」

 

 

 

因みに・・・法正は黒く長い髪に、眼鏡をかけた美しい少女だ

まぁその眼鏡も、もうひび割れてボロボロなのだが

 

そんな少女が、凄い掛け声と共に地面に頭を叩きつけているのだ

 

“世界は広い”

 

必至にツッコみながらも、そんな呑気なことを考えている華雄さんなのでした

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

さて、と

雛里と華雄が何やら愉快なことになっている頃

 

 

 

 

「あわわ、雪蓮でしゅ

BLぱねぇでしゅ、やばい濡れるでしゅ」

 

「あわわ、霞でしゅ

朱里ちゃんとか、落とし穴にでも落ちちゃえばいいのに」

 

 

 

こちらも負けず劣らず、相当愉快なことになっていた

 

 

 

「どう?

今のは、相当近かったと思うんだけど」

 

「いや、ウチの方が近かったやろ?

もう、どっからどう見ても雛里やったろ?」

 

「いや、2人とも全然似てないから

これっぽっちも、似てなかったから

ていうか、2人とも雛里のイメージそんなんなの?

内心で、そんなことばっか考えてたの?

いやもうそれ以前に、そんなことしたって俺の中の“雛りんLOVE”っていうポリシーは消えないからな

なんせ俺は・・・“紳士”だからな」

 

 

一刀のツッコミに、二人は“え~”と納得していないような声をあげる

そんな二人に、一刀は腕を組み溜め息を吐き出していた

 

 

「まったく・・・こんなとこで遊んでないでさ、早く宿を見つけようぜ?

でないと、自由時間が無くなっちゃうよ?」

 

「あ~、そうやな

そういや、そうやったね」

 

「しょうがないわね

今回は、素直に負けを認めましょう」

 

 

渋々と、そのような様子な二人だったが

ようやく話が進むと、一刀は安堵の息を吐き出す

 

それから、再び宿を探すべく歩き出したのだった

 

 

 

 

「そういえば、ずっと気になってたんだけどさ~」

 

「ん?」

 

 

ふいに、歩きながらそう言ったのは雪蓮だった

彼女は微かに笑いを零しながら、言葉を紡いでいく

 

 

「淳ちゃんが言ってたじゃない?

弟子の様子を見に来たってさ」

 

「あ~、言ってたな」

 

 

確かに、淳于瓊は言っていた

連絡のこない弟子が心配で、この成都まで向かっていたのだと

案外良い奴なのかもと、皆が思った瞬間である

 

 

 

「その弟子ってさ、やっぱ“あんな感じ”なのかしら?」

 

 

“あんな感じ”とは、言わずもがなである

そのことを想像し、霞と一刀は思い切り吹き出していた

 

 

「げほ・・・いや、案外綺麗な女の子かもしれへんよ?」

 

「あ~、確かに

女の子って、ああいう服好きだもんな」

 

 

“ていうか、あの服は本来女の子が着るもんだし”と、一刀

そんな彼の言葉に同意し、2人は笑った

 

 

「ま、案外悪い奴やなかったし

弟子も、何ともなければええな」

 

「そうね

けっこう面白い変態だったわよね」

 

「俺としては、もう勘弁してもらいたいけどな

ま、良い奴ってのは認めるけどさ」

 

 

 

 

そうして、三人は笑いながら歩いていく

 

やがて、数分後

無事に宿を見つけた一刀達は、部屋を決め荷物を置いた

それから、どうしようかと考えながら・・・再び、街へと繰り出したのだった

 

そうして、さらに数分後・・・

 

 

 

 

「お酒飲みたい」

 

 

雪蓮は、頬をプクッと膨らませながらそう言ったのだ

同じ行動でも、淳于瓊がやるのとでは全然違う

凄く・・・可愛いです

 

 

「いや、夕暮れにh・・・」

 

「無理」

 

「早い

流石は小覇王、早い

何が早いって、もう全然喋れなかったもんね」

 

 

“いや、小覇王関係ないやろ”と、霞

そんな彼女のツッコミ虚しく、雪蓮はダダをこねるのを止めない

 

 

「お酒~~、飲みたいよ~~~~~~」

 

「あのさ、雪蓮

だから夕暮れには皆と・・・」

 

「樽で!」

 

「樽で!!!!???」

 

 

思わず、ツッコんでしまった

飲み過ぎである

 

 

「ちょ、雪蓮・・・あんま酒酒、言わんといてや

ウチまで、飲みたくなってくるやん」

 

「あ~、そういや霞も好きだもんな」

 

「なら、皆で仲良く飲みましょうよ~

大丈夫だって、少しだけなら全然酔わないし私

霞だって、そんな弱いわけじゃないでしょ?

それとも・・・私と一緒に飲むのが、恐いのかしら?」

 

「なん・・・やて?」

 

 

“あ、なんか嫌な予感”と、一刀はとりあえず笑う

的中率ほぼ百%のその予感に、彼はもう笑うしかなかったのだ

 

 

「ま、それもそうよね

霞と私とじゃ、勝負にならないものね」

 

「なんやと!?

上等や、やったろうやないか!!」

 

「そうこなくっちゃ♪

ね、一刀?」

 

 

笑顔のまま、雪蓮は言った

“やっぱ、このパターンですか”と、彼は大げさに肩を落とし

 

 

 

「はい・・・そうですね」

 

 

 

 

そう、静かに答えることしかできなかったとか・・・

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーーー

 

数分後・・・

 

 

 

「んで、さ・・・」

 

「にゃははははは、一刀がたっくさん!!

ウチだけのハーレムやぁぁあああああ♪」

 

「あははははははははは♪

にゃんだか、フワフワする~~~~♪」

 

「お酒に強いって、そう言ったのは誰だったっけ?」

 

 

見事に、出来上がっていた

それはもう、本当に見事なまでに・・・

 

 

 

「おいおいおい・・・なんで?

なんでこんなことになってんの?」

 

 

頭をおさえ、一刀は盛大に溜め息を吐き出す

 

一言でいえば、本当に悲惨だった

一刀達が選んだのは、店の外にも席がある飲み屋だった

その店外の席に座り、さっそくとばかりに飲み始める2人

一刀も、少しだけ酒を飲んだ

 

“ここまではよかった”

 

そう、上で言ったとおりである

ここまでは、まだよかったのだ

この後、何を思ったのか雪蓮が“一刀を賭けて勝負よ”と霞を挑発

それに、見事に乗っかった霞

そして始まった・・・“飲んベイ同士の勝負”

 

その結果が、このザマである

二人とも、こんな時に限って自分たちの限界を把握しきれていなかったのだ

飲んで飲んで飲んで、その結果こうなってしまった

 

因みに、まだ夕刻には程遠い時間帯

つまりは、お昼過ぎである

そんな時間帯に、酒屋の前には二人の酔っ払いが愉快に酔い潰れているのだ

周りの視線が、凄まじく痛い

 

 

「え、なにこれ?

何なの、もしかして罰ゲーム?」

 

 

“どっちにしろ、不幸だ”と、彼は大げさに頭を抱えるのだった

 

しかし、彼は気づいていない

こんなの・・・“不幸のうちに入っていないのだ”

 

何故ならば・・・

 

 

 

「しかし喉が渇いたな・・・少し、何か飲んでいくか?」

 

「うむ、どうせ蜀の皆を待たなければならんからな

ここらで、ひと休みしていよう」

 

「・・・ん?」

 

 

 

彼にとっての“不幸”は

今まさに・・・“これから起こるのだから”

 

 

 

 

「は~、なんだ

今さら、疲れが出てきたぞ」

 

「姉者は、夢中で馬を走らせていたからなぁ

恐らく、疲れなど忘れていたのだろう」

 

「そ、そんなにか?」

 

「ああ、そんなにだ」

 

 

 

 

「あ、あれ・・・?」

 

 

始めに、彼が思ったのは

“聞き覚えのある・・・懐かしい声がする”だった

 

次に、彼が思ったのは

“確か、この声は・・・”だった

 

そして・・・彼は、“思い出す”

 

其の声の、正体を

そして・・・その、“凶悪さ”を

 

 

 

「む・・・?」

 

「どうした姉者・・・?」

 

 

 

今、ようやく言える

 

彼は、“不幸だった”

 

このような、店外にある見通しのよい席に座ってしまったのも

酒を飲み熱くなった為に、フードをとってしまっていたことも

“彼女達”が、自分達のすぐ隣の席に座ってしまったことも

 

そして・・・これから起こることも

 

全て合わせて、彼は本当に不幸だった

 

 

 

 

「なっ・・・!?」

 

「え・・・?」

 

「ぁ・・・」

 

 

 

 

彼は、出会ってしまったのだ

“再会してしまった”のだ

 

かつて、彼が愛した女性と

霞と同じく、同じ時間を生きた大切な人と・・・

 

 

 

 

 

 

「「北郷・・・?」」

 

「春蘭・・・秋蘭・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

夏候惇、真名を春蘭

夏侯淵、真名を秋蘭

 

二人と・・・彼は、三年の月日を経て

 

この成都の地で・・・ついに、再会したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・続く

 

 

あとがき

 

皆さん、いつもコメ等ありがとうございます

 

 

法正さんがそのまま使えたのは、せめてもの救いです

ともあれ、次の山場である成都編が始まりました

 

こっから、シリアス部分増しの展開が続いていきます

 

・・・嘘です、すいません


 
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