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呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第036話

どうも皆さんこんにち"は"。
久々の投稿でございます。
さて今回は飲み会です。飲み会の飲み回です。......うまいなww

色んな人物?が浮かれてぶっ壊れてるので、キャラ崩壊注意ございます。

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2019-06-20 19:10:09 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1839   閲覧ユーザー数:1673

呂北伝~真紅の旗に集う者~ 第036話「秘めていた思い」

 「......っ、はっ......あぁ、足りない。まだ足りないよぉ」

日が昇る前のとある部屋の一室にて、女性が自らの生殖器(にくつぼ)をまさぐり、自慰行為に及んでいる。その正体は呂北軍軍師、臧覇こと郷里であり、一糸乱れぬ姿となり。胸をまさぐっては自らの乳房を摘まみ、生殖器の穴に自らの指を二本入れて、出来るだけ子宮に届くように奥へ奥へと触手を施す。

男性女性に限らず、誰にでも性欲というものが存在する。どれ程清廉潔白な聖者であろうと、物後に対する完璧主義者であろうとも、何処かに性欲に対するはけ口が存在する。

その一般的な方法が自慰行為であり、郷里は現在、それに溺れてしまっている。

生活の循環サイクルとしては、朝日が昇る前に起床し朝の鍛錬をこなし、登城してから夕方までに激務をこなし、そして自宅に帰還して書物を読み耽り日が沈んだ時に眠る。これが彼女の日常である。

だが近頃は書物を読み耽る時間に、どうしても体が熱くなってしまい、本を開いている間にいつの間にか、自らの体を弄ってしまっている。そして満足すればいつの間にか眠ってしまっている感じが多いのだが、近頃は朝の起床時、着替えの際に自分の体を触れた時にでさえ熱くなり、そしていつの間にか自慰行為に耽ることも増えてしまった。

「.........ッ‼‼‼」

郷里は体を震わせ、加えた布が引きちぎれんばかりに声を押し殺して絶頂を迎える。荒々しく息を整えて、生まれたての姿のまま、寝具に自らの体を投げ出す。

【.........どうしてしまったというのだ。......私の体は――】

そう自分に問いかけるも、誰も答えてくれるはずも無い。何故なら、自分自身でも答えは判り切っているからだ。ある人物に思いを寄せてしまっていることを認識してからこうなってしまったのだ。だが彼女は武人であり臣下なのだ。その様な考えは不敬であると、その思いを閉じてしまっている。

腕で瞼を抑えて一時の暗闇を手に入れ気持ちを落ち着かせるも、次に腕を挙げた時、日は既に昇ってしまっていた。彼女は慌てて飛び上がり、汗を拭いて、着替え、自らの主から賜った仮面を付けて登城の準備を整える。今日は都より使者が来る手筈となっている。最新の注意を払って出迎えなければならない。

自らの服の胸ポケットに、仕事用眼鏡をしまうと、郷里は部屋を出ようとする。その扉を閉める際も、軍師である彼女の脳裏には何時もであればその日の仕事スケジュールの計画表が流れるのだが、近頃は少し違った。

「......今日も、鍛錬出来なかったなぁ」

彼女にとって鍛錬は、自己清廉の為だけではない。鍛錬は、健康的な減量の一環でもある。郷里には趣味らしい趣味は存在しないが、好きな物はある。それは甘い物。よく仕事帰りには甘味処の店に向かっては、一品買って書物を嗜む時間に食べるのだが、女性であるからして、自らの体重の管理も考えており、その中和を含めての朝の鍛錬でもあった。だがその時間が失われつつあるということは、必然的に運動時間も減るわけであり、体重も増える。

それを感じたのは、着れていた服が入らなくなったときであり、既に何着かそれが出てきている。その習慣を思い出し、一度ため息を吐くも、郷里は気持ちを切り替えて城に向かうのであった。

 

「侯成殿(ろのぉ)、乾杯しまひょう。乾杯」

「おぉ、それはええのぅ。ほれ、夜桜も留梨も盃をもたんかい」

現在、一刀の収める扶風の城にて、一刀の昇進と劉備の正式な領地運営権下賜による宴が行なわれていた。劉備軍内の真面目印、関雲長は顔を赤くして上機嫌で隴と盃を交わしており、対する隴も、絡み酒により夜桜と留梨を巻き込もうとしている。

「あ、愛紗。飲み過ぎなのだ。少し水でも飲むのだ」

宴会の始め当初は大量に用意された料理を飲み食いしていた張飛が、現在は浮かれが過ぎている関羽のフォローに回っていた。

「おぉ、愛すべき妹よありがとう」

顔を赤くした関羽は、張飛に抱きついてその愛を胸いっぱいに伝えようとするが、張飛はうっとうしがり関羽の顔を抑えて引き離そうとする。自らの主であり、姉である劉備に助けを求めようとするも、未だに劉備は夢見心地なのか、明後日の方向を向いて放心状態である。

 

 「ご主人様、おめでとうございます」

現在、一刀の隣には郷里がついて酌をしている。白華と刃照碑は裏方にて使用人と共に料理を準備している為である。胡坐をかいて座る一刀は、酌された酒を飲み干す。「美味い」と一言感嘆の表現を零すと、感情表現が苦手な郷里も小さく笑う。

ちなみに一刀の膝下には、腹いっぱいになったのか、満足した表情で音々音を抱き枕にして横たわっている恋がおり、一刀の上着を布団替わりにして眠っている。

「そういえば楼杏(ろうあん)。祝い席で仕事の話を持ち出すこともどうかと思うが一つ聞かせてくれ。......お前から見て宮廷は今どの様な感じだ?」

酒を程々にしながら、ゆっくりと美食を楽しむ皇甫嵩こと楼杏に、一刀は問いかける。顔を綻ばせていた楼杏は、横目ながらも、美食を口に運びながらも質問に答えていく。

「さて、高貴にして偉大なる元学友殿は、私に一体何を答えさせたいのかしら」

「いやいや、単なる世間話ですよ。近衛将軍殿。漢に忠誠を尽くす好みと致しましては、不躾ながらも国の中枢のことをもっと知っておきたいと思いましてね」

互いに常日頃から腹の探り合いを生業にしている身。下手な探り合いは無用と判断し、楼杏は箸を置く。

「あんまりよろしいとは言えないわね。先の大戦(こうきん)の一件で、大陸で起こり得ることに気付いたものもいれば、気づいたからこそ我が身大事と保身に走る者もいれば、国の大事と諫言をもたらす者もいてまさに交錯状態ね」

「......なるほど。諫言をもたらす強硬派閥が、俺の義親父殿というわけか」

「知っていましたか?」

「聞いたわけではないがな。大凡想像が付く。強かな我が義親父殿が変革派の前に立ち、宮中内での発言権を強めて、保守派は恐らく張譲を筆頭とした十常侍辺りだろう」

「......それも?」

「あぁ、想像に難くない」

一刀は懐より煙管を一度取り出し、煙を吹かそうとするが、膝下で眠っている恋が動くと、いぶしげに点けた火を消して煙管を片付け、再び郷里が注いだ酒で気を紛らわせる。

そして一刀は郷里、時に楼杏から注がれる酒を景気よく飲んでいき、酒が入っているせいか、自らの考えをいつもより饒舌に話す一刀であったが、そんな彼を見て楼杏は細めて一刀を見る。

「......一刀。あんた......大丈夫かい?」

そう声をかけて来たのは愛華(メイファ)であった。そんな彼女が気にする一刀の顔は、大分酒が周ったのか真っ赤になり。座っていても、船を漕いでいるかの様に体をふらつかせている。

「らいじょうぶ、らいじょうぶ。まらまらいけるじょ~」

若干呂律も怪しくなってきた一刀に対し、酌をしていた郷里もことの事態にようやく気付く。

「全く大して強くも無いのに浮かれちゃって。郷里、一刀を部屋まで連れて行って頂戴。私は恋と音々音ちゃんを連れて先に退散するわ。そういうわけで、申し訳ございませんが皇甫嵩殿。大したおもてなしも出来ずに申し訳ございませんが、私はこれにて失礼させていただきます」

武人として礼に乗っ取った礼を済ますと、愛華は恋と音々音を抱えてそのまま部屋から退出する。その一連の所作、気遣い、気配の全てを楼杏は内心愛華を観察していた。

「.........あの方、高順殿は確か一刀殿の昔ながらの部下でしたか?」

そんな質問を郷里に投げかけ、座っている一刀にしゃがみ込み座高を合わせて持ち上げようとする段階であった彼女が問いを返そうとしたが......。

「ぞうだ‼愛華は~♪俺の~♪自慢の部下だ~♪」

上機嫌が過ぎて、遂に歌い出した一刀であったが、郷里に無理やり引っ張られる様にして部屋を後にした。

呆れながらも微笑をそっと浮かべると、楼杏は盃の酒を飲み干し、酔い覚ましに使用人より貰った水を注ごうとした時、目の前に劉備がやってきた。

「あ、あの、皇甫嵩様、お隣よろしいでしょうか?」

緊張しながらも、酒瓶を胸元に持った彼女に対し、楼杏は快く了承し、自身の隣の席に座らせる。

 

 改めて楼杏の盃に注がれた酒は劉備が注いだもの。いくら宴席とはいえ、自身はまた明日より天水に使者として向かわなければならない身。深酒は大敵と思い水で中和しようとしたが、好意で注いでもらった酒を無下にするわけにもいかず、楼杏は素直に酌を受け取ると、返し酒とばかりに劉備の盃にも酌をする。

劉備は慌てて受け取り、二人は一度互いの盃を鳴らしあうと、それぞれ少しだけ口をつける。

「劉備殿はお酒強くは無いのですか?」

「はい。全く飲めません。皇甫嵩様はどうなのですか?」

「私は嗜む程度でしたら。人付き合いもありますので――」

二人は自身の苦手分野に小さく共感して、少し笑いあうと話を切り出してきたのは楼杏であった。

「それで劉備殿、何か私に聞きたいことでもあったのではないでしょうか?」

「は、はい。今回領地を賜ったことは大変光栄だと思いますが、私、領地経営なんてやったことがないです。最近までお母さんと一緒に草鞋を作って住んでいました村娘ですから」

「最初は誰だってそういうものですよ。領地経営の勉強をしていたからといって、初めから上手くいくとも限りませんし、劉備殿が平民出身ということであれば、そこで経験した苦労も、わかっているのではないでしょうか?つまり民目線で物事を考えられるということです。漢に仕える者としてこういう愚痴を溢すべきではないとは思いますが、大陸では民の声に耳を貸さず、税だけを貪る圧制者が跋扈(ばっこ)していることは確かです。そういう時こそ、劉備どの様に、民の声が判る方が選ばれたのは、それは天啓ではないでしょうか?」

そう言われ、劉備は腕を組み、首を傾げて考え出す。

「恐れ入りますが、劉備殿は何故義勇軍を率いて立ち上がったのでしょうか?」

その問いに対し劉備は考えることを止め、胸に手を当てて答える。

「......皆に笑顔になって欲しいからです。人が争って、そして苦しんでいる人を救いたい。皆に笑顔になってもらいたい。だから私は剣を取りました」

その問いに対し、楼杏は満足したように頷き、笑顔で答える。

「それなら問題ありません。始めは多くの失敗があるかもしれません。しかし失敗から学んで、次は同じことを繰り返さないように取り組み、何度も何度も学んで慣れていけば良いのです。幸い平原は比較的治めやすい土地柄だと聞きます。部下の諫言を聞き入れ、決して奢らず、自ら自己修練を怠名らなければ、きっと良き統治者となるでしょう」

楼杏の答えを本当に理解しているのか、劉備は若干生半可気味なセリフを返すが、その時楼杏は何かを思いついたのか、指を1本立てて言う。

「そうだ。平原に向かうまで幾らか準備期間がいるでしょう。その間、一刀の下で領地経営を学ばせてもらえばいいのでは?」

「それは......大丈夫でしょうか?呂北さん、何時も忙しそうにされていて、私なんかに感けている暇無いのでは?」

「大丈夫ですよ。一刀は、自分が恩をかけた人間には甘い性格ですから」

そういうと楼杏は食後のお茶を手に取って一服し始める。

 

 場所は変わり城の廊下にて。

郷里は一刀に肩を貸し、宴席を後にした。その廊下までの道のりを進んでいる間も、彼女の胸は高鳴り続けている。何時も自らの主人に敬意を払って接している彼女にとって、これほど主人の体が身に当たるのは初めての経験であり、男性特有の汗臭さと肌の固さが感じられる。その様な状態である為に、緊張はピークに達するかの時、白華とすれ違うことが出来た。

彼女は使用人と共に追加の料理を運んでいる最中であり、一刀と郷里の二人を見つけた際大凡の察しをして、そのまま一刀を預かろうと腰を落とそうとした。郷里としては助かったと思う反面あり得ない感情が浮かんでいた。

自らが残念がっていると気づいた。それは普段であればあり得ないことだ。自らが失態を犯すかも知れない事態を回避でき、最善な状態で主人を預けることが出来るのだ。

そんな心中を察したのか察しなかったのか、肩を借りて項垂れている一刀はバランスを整える為に、投げ出した腕を持ち上げ左手で掴んだ、他の者が見れば一刀が郷里に抱き着いている様に見えなくもない。

そんな行動に郷里は顔を赤くして、口を開け震わせ狼狽し、白華と一刀を相互に見始める。仔犬の様な視線で白華に助けを求めるが、白華も何かを察したのか、一つ小さく合掌して、微笑み告げる。

「あらあらこんな状態なら私もどうしよないわね。郷里ちゃん、そこに空き部屋があるから、一刀の寝かしつけをお願いね」

そう言うと白華は他の使用人と共に二人を避けてそのまま宴席に向かっていった。郷里も声を出さず口だけを動かし「奥方様‼‼」と主張するも、白華はそのまま二人を置いて去って行った。

 

 ようやくのことで郷里は一刀を空き部屋の寝具に横たわらせる。イビキをかいて大の字で寝ている主の姿は、普段の厳格な主君の姿とはかけ離れた物となっており、流石の郷里も腰に手を当て、呆れてため息を吐く。

しかし浮かれてしまうことは、無理もないとも理解していた。

幾多の七難八苦があり、小さく武功を重ねていき、遂には大陸にて第二の都と名高い長安の統治を任せられるまでに出世した。

そしてここは自らの城であり、自らの気が許せる数少ない場所。一刀が浮かれているということは、この城にいる者達が、彼が”気を緩めても支障がない”人材と認められている証拠でもある。

部外者である皇甫嵩や劉備達の目もあるかもしれないが、完璧主義の一刀にも気を緩める人間味があると理解させることにも丁度良く。第一に、普段の組織の風紀上。上の者が羽目を外さなければ、下の者も外せないとも思ったのだが、目の前でイビキをかいて眠っている主人を見ると、羽目を外し過ぎではないかとも思った。

そんな主人を尻目にして、郷里は部屋に備え付けられた机に座り、置いてある小さな姿見と利用して、以前一刀から賜った仮面を外した。

そして巻いていた包帯を外すと、かつて何進によって傷つけられた顔の裂傷痕をなぞる。

今では瘡蓋(かさぶた)も無くなり、赤みも引いたが、それでもやはり跡は残ってしまった。

主人である一刀は美しいと褒めてくれた。どの様な女性であろうとも、顔と髪は命と言えるだけあって、この様な様になっても自らに賞賛の言葉を贈ってくれる一刀に対して嬉しくない筈も無かった。しかしそれは部下として心であり、女としては複雑であったのだ。

そんな後者の様な考えが思い浮かんだ途端、郷里は目を瞑り、首を横に振り、また一つため息を吐く。

「何をそんなに首の運動をしているんだ?」

突然声をかけられて、郷里は普段決して出さない様な素っ頓狂な声をあげて仰け反ってしまう。

「ご、ごごご、ごご、ご主人様。いつの間に起きていたしたのですか!?」

「のろが渇いたからな。ちょっと水をら」

そう言って一刀は水をがぶ飲みしていた。しかし郷里の知る限り現状水を持ってきた記憶は無い。彼は何処から水を持ってきたかと思考すると、寝具の足元には先程まで落ちていなかった花束落ちている。そして一刀が持っている水受けは花瓶。つまり彼は花瓶の水をがぶ飲みしていたのだ。

「ご、ご主人様‼その様な水を飲めばお腹を壊してしまいます‼水ならお持ちしますから‼」

郷里は慌てて立ち上がり一刀を制する為花瓶を取り上げようとするが、身長が最近少し伸びたとはいえ、5尺2寸程しかない郷里が6尺の一刀に敵う筈も無く、問題発祥の本人は花瓶の水を飲み切ってしまい、努力の甲斐虚しく郷里は一刀の奇行を制止出来なかったことにより、肩を落とし項垂れた。

そんな郷里に対して一刀は、ただ笑っているだけであった。

 

 「それで、一体どうしたと言うんら?」

まだ完全に酒が抜けきっていないのか、一刀の語尾は若干弱く、舌もまわっていなかった。未だに郷里は頬を膨らませてそっぽを向いている。

「どうした郷里。相手の目を見ないことには話は出来らいぞ」

そんな主人の問いかけに対し、郷里は再び仮面を付けて一刀に向き直る。

「おいおい、何故そんな不格好な仮面を付れる。いつもの可愛い顔のままでいいのに」

未だに上機嫌な一刀はケタケタと笑うが、だが郷里は目を伏せて俯いてしまう。

「.........ご主人様、私に気を使わないで下さいまs――」

徐々に消えゆく語尾に、一刀は小さな発生音で聞き返す。

「ご主人様の気遣いは、大変嬉しく思います。......しかし、女としては......逆にその様な気遣いは......胸に刺さります......」

郷里は背を丸くして、俯き、若干目に涙を浮かべ始めて答える。

そんな郷里の反応を見て、今まで酔って上機嫌であった一刀も反応を変える。

「郷里......お前......まさか......」

 


 
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