No.995422

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第17話

2019-06-05 23:13:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1741   閲覧ユーザー数:1548

同日、PM1:30―――

 

~リベール王国・王都グランセル・グランセル城・謁見の間~

 

「―――女王陛下、王太女殿下。此度(このたび)は突然の訪問に応えて頂き、心より感謝致します。」

「いえ……貴国の事情はある程度把握しておりますので、どうかお気になさらないでください。」

「その…………殿下達が私達を訊ねた理由はやはり、エレボニア帝国とメンフィル・クロスベル両帝国との戦争の件でしょうか?」

オリヴァルト皇子の挨拶に対してアリシア女王は静かな表情で答え、クローディア王太女は複雑そうな表情でオリヴァルト皇子に確認した。

「はい。実は――――――」

そしてオリヴァルト皇子はアリシア女王達に自分達がリベールに来た理由を説明した。

 

「ええっ!?アルフィン殿下がお一人でメンフィル帝国の大使館に…………!?」

「まさかアルフィン殿下が昨日にリベールに来訪された上お一人でロレントのメンフィル帝国の大使館に向かわれていたとは…………誠に申し訳ございません。もしこちらで把握していれば、アルフィン殿下がメンフィル帝国の大使館に向かう前に保護をしてメンフィル帝国の大使館に向かう事をお止めしましたのに…………」

事情を聴き終えてクローディア王太女と共に驚いたアリシア女王は申し訳なさそうな表情でオリヴァルト皇子に謝罪し

「いえ、その件に関しては帝国政府としての下らないプライドに拘って女王陛下達にアルフィンの件を連絡しなかった宰相殿を含めた帝国政府やそれを承諾した父上―――ユーゲント皇帝陛下に非がありますので、どうかお気になさらないでください。それよりも、誠に勝手なお願いで大変申し訳ないのですが、恐らくメンフィル帝国によって拘束されていると思われるアルフィンの身柄をメンフィル帝国から返還して頂く事も含めたエレボニアとメンフィル・クロスベル連合との戦争を阻止する為に、御力を貸して頂けないでしょうか?―――どうか、お願いします。」

「お願いします!!」

オリヴァルト皇子は謙遜した様子で答えた後頭を深く下げてアリシア女王達に嘆願し、壁際で状況を見守っていたアリサ達も全員頭を深く下げて嘆願した。

 

「「………………………………」」

「陛下…………殿下…………」

一方嘆願された二人はそれぞれ複雑そうな表情で黙り込み、事情を知っているユリア准佐は辛そうな表情で二人の様子を見守っていた。

「…………みなさん、どうか頭を上げてください。メンフィル帝国の大使館に連絡を取り、オリヴァルト殿下がメンフィル帝国の大使であるリウイ陛下と交渉する場を用意する事は可能です。―――ただ、申し訳ないのですが”それ以上の協力”は私達にはできません。それでもよろしければ、メンフィル帝国の大使であられるリウイ陛下との交渉の場を設けますが…………」

「交渉の場を設ける以上の協力―――”それ以上の協力”と言いますと、例えばメンフィル帝国が我が国に要求している”ユミル襲撃”に関する賠償や謝罪内容を変更して頂く為の協力等と言った事でしょうか?」

黙り込んだ後重々しい口調で答えたアリシア女王の説明が気になったオリヴァルト皇子の隣にいたアルゼイド子爵は頭を上げた後アリシア女王達に訊ねた。

 

「はい…………正確に言えば、今回の件に関して私達リベールはこれ以上エレボニアを擁護するような意見をすれば、メンフィル帝国から今回の件であるエレボニア帝国とメンフィル帝国―――いえ、メンフィル・クロスベル連合との戦争に関してリベールを”中立の立場として認めない”と警告されている為、貴国がメンフィル帝国より受け取った”3度目の要求内容”についてリベール(私達)はメンフィル帝国に意見する事は厳しい立場なのです。」

「な……………………」

「さ、”3度目の要求内容”って………」

「まさか…………内戦の間にメンフィル帝国は貴族連合軍による”ユミル襲撃”に対する賠償を要求する書面を”既に2度もエレボニア帝国の大使館に送ったのですか?”」

辛そうな表情で語ったクローディア王太女の話にアリサ達と共に血相を変えたオリヴァルト皇子は驚きのあまり絶句し、トワは不安そうな表情で呟き、ある事に気づいたアンゼリカは真剣な表情で訊ねた。

 

「……………ユリアさん。オリヴァルト殿下達にメンフィル帝国が用意したエレボニア帝国に対する1度目と2度目の賠償内容が書かれた書面を配ってあげてください。」

「御意。」

アリシア女王に指示されたユリア准佐は予め用意してあった鞄から書類を出して謁見の間に控えている王室親衛隊員達と共にオリヴァルト皇子達にその書類を配った。そしてその書類にはそれぞれメンフィル帝国の要求内容が書かれていた。

 

 

 

1度目の要求内容

 

 

メンフィル帝国によるエレボニア帝国に対する戦争勃発を中止する為の賠償内容は以下の通り。

 

 

1、貴族連合軍が拉致監禁したユミル領主の娘、エリス・シュバルツァー嬢の即刻解放

 

2、ユミル襲撃の主犯である”北の猟兵”並びにアルバレア公爵家当主ヘルムート・アルバレア、エリス・シュバルツァー嬢の拉致監禁の指示と実行を行った貴族連合軍の”裏の協力者”であるヴィータ・クロチルダ並びにアルティナ・オライオンの身柄引き渡し

 

3、貴族連合軍による”ユミル襲撃”に対する謝罪金並びに賠償金として5000億ミラの支払い

 

4、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女は女学院卒業又は退学後メンフィル帝国領内で一生を過ごす事。メンフィル帝国で行う社交界への参加は許可するが、エレボニア帝国で行う社交界は夏至祭、皇族の誕生日、年末年始の際に行う社交界以外の参加を禁じ、帰省は1年につき30日間のみ認める。また、アルフィン皇女とエレボニア帝国人(貴族も含める)との結婚も禁ずる。(愛人として迎える事も禁ずる)

 

 

以上の内第1項を即実行後、メンフィル帝国が定めた期間以内に内戦を終結させて残りの全てを実行するのならば、メンフィル帝国はエレボニア帝国に対する侵略行為を中止し、和解にも応じる。

 

 

 

2度目の要求内容

 

 

メンフィル帝国によるエレボニア帝国に対する戦争勃発を中止する為の賠償内容は以下の通り。

 

 

1、貴族連合軍が拉致監禁したユミル領主の娘並びに息子であるエリス・シュバルツァー嬢とリィン・シュバルツァーの即刻解放

 

2、ユミル襲撃の主犯である”北の猟兵”並びにアルバレア公爵家当主ヘルムート・アルバレア、カイエン公爵家当主クロワール・ド・カイエン、アルバレア公爵家長男ルーファス・アルバレア、エリス・シュバルツァー嬢の拉致監禁の指示と実行を行った貴族連合軍の”裏の協力者”であるヴィータ・クロチルダ並びにアルティナ・オライオンの身柄引き渡し

 

3、クロイツェン州全土とラマール州全土の内それぞれ首都である”バリアハート”と”オルディス”を含めた半分の領土の統治権をメンフィル帝国に贈与する事

 

4、内戦によってメンフィル帝国領に避難してきた難民達の生活費等の支払い(なお、内戦が始まってから現在に到るまでの金額は利子込みで500億ミラで、内戦終結まで1日経つ度に難民達の一日の生活費を利子込みで20億ミラが増加し続ける)

 

5、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女は女学院卒業又は退学後メンフィル帝国領内で一生を過ごす事。メンフィル帝国で行う社交界への参加は許可するが、エレボニア帝国で行う社交界は夏至祭、皇族の誕生日、年末年始の際に行う社交界以外の参加を禁じ、帰省は1年につき30日間のみ認める。また、アルフィン皇女とエレボニア帝国人(貴族も含める)との結婚も禁ずる。(愛人として迎える事も禁ずる)

 

6、2度に渡る貴族連合軍による”ユミル襲撃”に対する謝罪金並びに賠償金として1兆ミラ並びにカイエン公爵家、アルバレア公爵家の全財産の内の半分に相当するミラの支払い

 

 

以上の内第1項を即実行後、メンフィル帝国が定めた期間以内に内戦を終結させて残りの全てを実行するのならば、メンフィル帝国はエレボニア帝国に対する侵略行為を中止し、和解にも応じる。

 

 

 

 

「1度目の要求内容もそうだが、2度目の要求内容も”3度目の要求内容”と比べるとそれ程理不尽ではない…………いや、特に1度目の要求内容に関しては”当然”と言ってもいい要求ばかりだな…………まあ、最初からアルフィン殿下まで”ユミル襲撃”に対する処罰としてメンフィルによってエレボニアからの追放処分を受ける事は納得し難いが…………」

「でも、”3度目の要求内容”と比べるとどっちも”相当マシな要求内容”だね。」

「そうね…………まあ、例え貴族連合軍がこの要求内容を知っても実行は全くしなかったでしょうけど。」

「まさか最初と2度目の要求内容で姉さんの身柄をメンフィル帝国に引き渡す事まで要求されていたなんて…………」

「ま、メンフィルの要求通り、1度目のユミル襲撃の際に”黒兎(ブラックラビット)”にエリスを誘拐させたのはあの女の指示によるものなのだから、メンフィルがエリスの”誘拐犯”であるあの女の身柄を要求するのも当然よ。」

「…………予想はしていたが、やはり最初の要求内容の時点で父上はメンフィル帝国によって裁かれる身であったのか…………」

「ユーシス…………」

それぞれの要求内容を読み終えたラウラは複雑そうな表情で呟き、フィーの意見に頷いたアリサは複雑そうな表情を浮かべ、不安そうな表情で呟いたエマにセリーヌは静かな表情で指摘し、疲れた表情で肩を落としたユーシスの様子をガイウスは心配そうな表情で見守っていた。

 

「ちなみにこの要求内容はそれぞれいつ、グランセルのエレボニア帝国の大使館に届けられたのでしょうか?」

「1度目の要求内容は”1度目のユミル襲撃”が起こった二日後に…………2度目の要求内容は”2度目のユミル襲撃”が起こった翌日にそれぞれエレボニア帝国の大使館にメンフィル帝国の大使であるリウイ陛下直々が訪問して、その要求内容をダヴィル大使に渡してその要求内容にも書かれている通り、メンフィル帝国が定めた期間以内に実行しなければ開戦する警告を行ったそうです。」

「そしてその件をダヴィル大使から相談されて”中立の立場”としてメンフィル帝国との仲介を頼まれた私達はダヴィル大使と共にリウイ陛下と交渉して、何とか”期限切れ”で開戦する事は思いとどまって頂けたのですが…………2度目の要求内容に対する交渉の際、リウイ陛下から『幾ら盟友のリベールの頼みであろうと”3度目はない”事やこれ以上エレボニアを擁護する事を行えば、メンフィルはメンフィルとエレボニアの戦争の際リベールを第三者――――つまり、”中立の立場として認めない為リベールの仲介には応じない』と言われ、私達リベールは”中立の立場”としてリウイ陛下のそのお言葉に承諾せざるを得なかったのです…………」

「そ、そんな…………それじゃあ、リベール王国は”3度目の要求内容”の件については…………」

「”エレボニアとメンフィル・クロスベル連合との戦争に関してリベールが中立の立場を保つため”に女王陛下達は貴族連合軍の2度に渡る”ユミル襲撃”の賠償として求めてきたメンフィル帝国の要求に対して意見しづらい――――いえ、”意見ができない立場”なのですね…………」

オリヴァルト皇子の質問に答えたアリシア女王とクローディア王太女の答えを聞いたエリオットは悲痛そうな表情をし、サラは複雑そうな表情で呟いた。

 

「つまり、”3度目の要求内容”は”1度目の要求内容”から内戦の間に積もり積もったメンフィル帝国のエレボニア帝国に対する”怒り”という名の”利息”の結果、あのような要求内容になったという訳か。」

「で、でも…………1度目もそうだけど、2度目の時も内戦の最中でユーゲント陛下達は”カレル離宮”に監禁されたままで、オズボーン宰相は行方不明だったから、どの道エレボニアは他国と交渉するような余裕はなかったのに、それを理解していながら要求するのは幾ら何でも理不尽だよ…………」

重々しい様子を纏って呟いたアンゼリカに続くようにトワは辛そうな表情で自身の意見を口にしたが

「ダヴィル大使も内戦の件を理由にそちらの方と似たような意見を仰って、期限について交渉を行おうとしましたがリウイ陛下は『戦争を仕掛けるかもしれないエレボニアの事情にメンフィルが考慮する義理はない』という答えで断ったとの事です。」

「そ、それは…………」

「…………確かに内戦の件はリウイ陛下の仰る通り、”あくまでエレボニア帝国内の事情であって、エレボニア帝国に戦争を仕掛けるかもしれないメンフィル帝国が戦争相手であるエレボニア帝国の事情に付き合う義理はありませんね”…………」

アリシア女王の話を聞くと言葉をなくし、ラウラは複雑そうな表情で呟いた。

 

「―――女王陛下、王太女殿下。内戦の最中、我が国が犯した愚行に対して怒りの炎を燃やすメンフィル帝国の”炎”を私達アルノール皇家やエレボニア帝国政府に代わり、2度も鎮めてくださった事、心より感謝致します。メンフィル・クロスベル連合との件が”どのような結果になろうとも”、エレボニアは何らかの形でリベールから受けた恩を返せるように手配を致します。――――例え、メンフィル・クロスベル連合に敗戦して”アルノール皇家”が責任を取って皇族の身分が剥奪されようとも我が命に代えてでも、このご恩、いつか必ずや何倍にしてお返しいたします。」

「僭越ながら、我が”アルゼイド子爵家”もオリヴァルト殿下と共に我が祖国であるエレボニア帝国がリベール王国より受けた恩を返す為に、私を含めた”アルゼイド子爵家”も何らかの形でリベール王国に恩返しする事をお約束致します。感謝の言葉を遅くなりましたが、2度もメンフィル帝国の怒りを鎮めてくださったこと、本当にありがとうございました…………」

「父上…………」

オリヴァルト皇子はその場で頭を深く下げてアリシア女王達に感謝の言葉を述べ、アルゼイド子爵もオリヴァルト皇子に続くように頭を深く下げ、その様子をラウラは静かな表情で見守り

「お二方とも、頭をあげてください。私達はエレボニア、メンフィル両帝国と友好を結んでいる国として…………”不戦条約”を提唱した国として当然の事を行っただけです。それよりも、先程も申しました通り、メンフィル帝国との交渉の際私達リベールはあくまで”中立の立場として”交渉の場を設ける事と交渉の場でのオリヴァルト殿下達の身の安全を保障できるだけで、メンフィル帝国の”3度目の要求内容”に対して意見をする事はほぼ不可能である立場の為、交渉は相当厳しいものになると思われます。それでも、リウイ陛下との交渉を望みますか?」

アリシア女王は謙遜した様子で答えた後オリヴァルト皇子に訊ねた。

 

「―――はい。どうか、リウイ陛下に私――――エレボニア帝国皇子オリヴァルト・ライゼ・アルノールがエレボニア帝国を代表して、内戦の最中メンフィル帝国に対して我が国が行った数々の愚行について謝罪したい事と、その賠償、メンフィル帝国にいるリィン君達やアルフィンの状況、そしてメンフィル・クロスベル連合との戦争の和解の為の話し合いがしたいとお伝えください。」

「…………わかりました。今から手配をするので少しだけお待ちください。クローディアは手配を終えるまで、殿下達の話し相手を務めてください。」

「わかりました、お祖母様。」

オリヴァルト皇子の頼みを承諾したアリシア女王はクローディア王太女に指示をした後謁見の間に控えている王室親衛隊員達の一部と共に謁見の間を出た。

 

「改めてになりますが――――お久しぶりですね、”オリビエさん”。内戦が勃発した時は本当に心配しましたが、ご無事で何よりです。」

「ハハ、子爵閣下やⅦ組の彼らも含めて多くの人々の力を借りて何とか内戦を乗り越える事ができたよ。エステル君達は今、どうしているんだい?」

アリシア女王達が謁見の間から去るとクローディア王太女は親し気な様子でオリヴァルト皇子に話しかけ、話しかけられたオリヴァルト皇子も親し気な様子で答えた後エステル達の事について訊ねた。

「エステルさん達はエレボニアの内戦が勃発した後はリベールに帰国してしばらくはリベールで活動していましたが…………クロスベルで起こった”異変”の解決の為にクロスベルに向かって、ヴァイスさん達やロイドさん達と共にクロスベルでの”異変”を解決したとの事です。ちなみに遊撃士協会はその功績を評してミントちゃんを”S級正遊撃士”に、エステルさんに関しては遊撃士協会史上初の”SS級正遊撃士”に昇格させたとの事です。」

「ハアッ!?”SS級”ですって!?しかもミントまで”S級”に昇格だなんて…………」

「確か”S級正遊撃士”はゼムリア大陸でたった4人しかいない特別な遊撃士なのに、まさか更にその上のランクが存在するなんて…………」

「サラ教官よりも上のランクの遊撃士って、一体どんな人達なんだろう…………?」

クローディア王太女の答えを聞いたサラとトワは驚き、エリオットはまだ見ぬエステル達の事について考え込んでいた。

 

「ハハ、さすがエステル君達だね。ちなみにヨシュア君は”S級”には昇格していないのかい?」

「ええ。ですが、既に遊撃士協会本部からは次の”S級昇格候補”として挙げられているとの事です。」

「あの…………王太女殿下。横から口をはさむようで大変申し訳ないのですが、何故遊撃士協会本部はエステルの昇格は”S級”を飛ばして”SS級”なんていう今まで存在しなかったランクに昇格させたのでしょうか?2年前に貴国で起こった”リベールの異変”に加えてクロスベルでの”異変”も解決した功績を考えると”S級”に昇格させる事に関しては納得できるのですが…………」

オリヴァルト皇子の質問にクローディア王太女が答えると、サラが遠慮気味に訊ねた。

「ふふっ、それに関しては恐らくエステルさんが異世界の大国であるメンフィル帝国から爵位をいただいている事もそうですが、エステルさん自身の出自も関係していると思います。」

「ハ…………?あの娘がメンフィル帝国から”侯爵”の爵位を賜っている事は聞いたことがありますが、”出自”、ですか?まさかカシウスさんの娘だからという理由ではありませんよね?そもそもカシウスさんの最終ランクも”S級”だったのですから。」

クローディア王太女の答えを聞いたサラは困惑の表情で訊ねた。

 

「それを答える前に皆さんに”ゼムリア大陸にとってとても重大な事実”をお知らせしておきます。」

「”ゼムリア大陸にとってとても重大な事実”…………?」

「何それ。意味不明なんだけど。」

「フィ、フィーちゃん、王太女殿下に失礼ですよ。」

クローディア王太女の答えが気になった仲間達がそれぞれ不思議そうな表情を浮かべている中アリサは首を傾げ、ジト目で呟いたフィーにエマは冷や汗をかいて指摘し

「殿下。あの方々の事までオリヴァルト殿下達にも教えてよろしいのですか?」

「ええ。―――というか、既に”リベール通信”を始めとしたリベールの通信社もそうですが、クロスベルの通信社も”あの方々”の存在やエステルさん達との関係を公表しているのですから、逆に隠す理由がありませんよ。」

「?”あの方々”とは一体何者なんだい?しかもエステル君まで関係しているようだが…………」

ユリア准佐の確認にクローディア王太女が苦笑しながら答えると、オリヴァルト皇子が不思議そうな表情で訊ねた。

 

「フフ…………―――単刀直入に申し上げます。ゼムリア大陸の多くの人々の信仰の対象にして七耀教会が崇める存在――――”空の女神”エイドス様がご両親や先祖の方々と共に現代のゼムリア大陸に降臨し、今も現代のゼムリア大陸に滞在しておられるのです。」

「………………………………」

クローディア王太女の答えにアリサ達はそれぞれ石化したかのように固まり

「ええええええええええええええええええええ~~~~~~~~~~~~っ!?」

やがて我に返ると驚きの声を上げた―――!

 

 

 


 
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