強制調査が執行される日が来て、騎士団員数名と一緒にルークとステイシーは、ローラの働いているパン屋に来ていました。店長に書類を見せながら店内に大勢で押し掛けます。
「これはどう言う事ですか?強制調査はしないはずじゃ…」
「クレームの件数が増えて来たので、やむを得なかったのです」
店の裏に牛乳の入った大きな缶が置いてあります。
「炎天下で牛乳を保管していたのですか?これは杜撰すぎる…」
「それは…今だけ外に出してあるのです」
「牛乳の缶の形に日焼けしたこの壁はどう説明なさるんです?」
「ああ、こんなところに日焼けが残っていたなんて…」
「あなたは売れ残ったパンを自分では食べずに浮浪者やアルバイトに配っていたそうですね」
「ええ、浮浪者たちも感謝しておりました。ボランティアのようなものですよ?それが何か」
「衛生管理に問題があるので怖くて自分では食べられなかったのではないですか?」
「そんな事はありません!」
「ではこのパンを今この場で食べていただけますか?」
「えっ、このパンを…ですか?」
「まさか食べられないと言うのでしょうか?」
店長と奥さんは嫌がって食べようとしません。
「なぜ食べないんです?自分で食べたくないようなものを置いていたと言う事ですよね」
「いや、その…売り物ですので」
「食べた分は僕がポケットマネーで支払いますから、どうぞご遠慮なく?」
「ううっ…こんなやり方は横暴だ!」
「このパンが普通のパンならばあなたはこれを食べられるはずです。横暴なのはあなたの方でしょう」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第358話。