アルバイトの帰りに、またメンズショップに立ち寄りました。店員が話しかけて来ます。
「こちらの商品は輸入品でして、遠く日出ずる国に咲く桜と言う花をモチーフにしているデザインとなっております。刺繍はハンドメイドですので、このお値段になってしまいまして…」
「へぇ、そうなんだ。綺麗な花だなぁと思ったけど外国の花なんですね!」
「お客様はお目が高いです。こちらの商品は一点物につき、もう二度と手に入らないかもしれないプレミア物なのですよ」
「ううっ…。なんか説明聞いてたら、だんだんこれが欲しくなって来ちゃった」
「このお色ですと見た方に優しいイメージを与えますので、普段ブルー系を好まれる方にプレゼントされると、冷たい印象からガラッとイメージチェンジが出来ますよ」
「確かに…ルークは普段ブルー系が多いなぁ」
「それなら尚更オススメです。普段ブルー系が多いと言う事はこのお色はお持ちでない可能性が高いですし、同じ系統の色をプレゼントしても代わり映えしませんので、印象には残りません」
「でもルークにピンク色は似合わないかも…」
「こちらのお色は控えめですし、誰でも着こなせると思いますけどね」
「うーん、悩むなぁ。ナタお姉さんはこう言うのは選んじゃダメ!って言ってたけど…」
「普段使わないお色で冒険なさった方が楽しいと思いますよ?」
店員に言い包められて、ローラはピンク色のネクタイを買ってしまいました。ルークの帰りをドキドキしながら待っています。
「ルーク、これプレゼント」
「えっ、もしかして昨日ローラが悩んでたピンク色の物って、これの事だったの?自分の服を買えば良かったのに…」
桜柄のピンクのネクタイを袋から取り出しながら尋ねます。
「気に入らなかったら使わなくて良いよ」
「いや、すごく嬉しいよ?ありがとう!」
「全然良いのが見つからなくて、ナタお姉さんにダメって言われてたのに…。店員さんの説明聞いてると、これが欲しくなっちゃって」
「店員は口が上手いからね…。でもこの柄はローラが選んでくれたんだよね?」
「お店に入って最初に目に付いたのがそれだったの…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第307話。