No.989373

英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

soranoさん

外伝~霊園の改変~(3章終了)

2019-04-06 20:01:52 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1318   閲覧ユーザー数:1154

 

 

~ヒンメル霊園~

 

 

「あ、やっぱりリタだ。」

 

「安らかに眠る死者達の霊園を荒す事は”冥き途”の見習い門番であるこの私が許しませ―――って、エヴリーヌちゃんにカーリアンさん?」

少女―――”冥き途”の見習い門番にして”神殺し”セリカ・シルフィルの元守護霊であり、現在冥界に命じられてゼムリア大陸を調査している聖霊リタ・セミフの登場にエヴリーヌが呟くと、リタは地上にいるメンツを睨んで宣言しようとしたが、エヴリーヌとカーリアンに気づくと目を丸くした。

「……………………えっと…………事情はよくわかりませんけど、悪いのはあちらですか?あちらの二人の魂からは程度の違いはあれど、邪悪な気配が感じられる上、あの黒衣の男性は”不死者”のようですし。」

 

「理解が早くて助かるわ♪―――ちょうどいいから、手伝ってくれないかしら?ちなみにあの二人はセリカからも既に”敵”として認定されていて、セリカは私達と一緒に連中の野望を潰す為にまたこっちの世界に来たらしいわよ。」

少しの間黙ってカーリアン達とゲオルグ達を交互に見つめたリタはカーリアン達の傍に降りてカーリアン達に訊ね、訊ねられたカーリアンが答えた。

「主がまたゼムリア大陸に来たんですか!?――――――事情はよくわかりませんが、主の敵は私の敵。死者達が眠る霊園で暴れる事は本意ではありませんが、御覚悟を。」

カーリアンの説明を聞いて驚いたリタは表情を引き締めてゲオルグ達を睨んでカーリアン達と共にゲオルグ達と対峙した。

「フフッ、このタイミングでエヴリーヌ君達と知り合いの新たな仔猫ちゃんが加勢してくれるなんてね。エヴリーヌ君、後で絶対にそちらの可愛い過ぎる新顔の仔猫ちゃんに私の紹介をお願いするよ♪」

 

「えー…………何でエヴリーヌが。めんどくさいから、自分で勝手にリタと仲良くなれば?」

 

「アハハ…………もしかしてアネラスさんやエオリアさんみたいな人なのかな?」

その場の空気をぶち壊すアンゼリカの発言にその場にいる全員が冷や汗をかいて脱力している中エヴリーヌはめんどくさそうな表情をし、リタは苦笑しながら呟き

「ほう、どうやら彼女は霊体のようだが…………まさか、自我を持っていてあれ程の聖なる霊力(マナ)を纏っているという事はさしずめ彼女は”聖霊”と呼ぶべきか。―――興味深い存在だ。可能であればあの霊体は確保するぞ。」

 

「”魔弓将”と”戦妃”も相手にしなければならない状況で、さすがにそんな余裕はないと思うけど、一応了解した……………………―――ここでも想定外(イレギュラー)は起こってしまったが、これ以上の想定外(イレギュラー)を起こさない為にも君達にはここで消えてもらう。」

興味ありげな様子でリタを見つめて呟いた男の言葉に淡々とした様子で答えたゲオルグは男と共にカーリアン達に向かって行き、カーリアンとリタ、アンゼリカとエヴリーヌはそれぞれ戦術リンクを結んでカーリアンとリタはゾア=バロールを操る黒衣の男に、アンゼリカとエヴリーヌはナグルファルを操るゲオルグに向かい、それぞれ戦闘を開始した!

 

 

「グラムキャノン照射!」

 

「――――――!!」

 

「「!!」」

ゲオルグの指示によってレーザーを発射したナグルファルの先制攻撃にエヴリーヌとアンゼリカは左右に散って回避し

「ハァァァァァァ…………セイッ!」

アンゼリカはクラフト――――――レイザーバレットをゲオルグに放った。

「ナグルファル。」

 

「―――」

ゲオルグに襲い掛かった衝撃波はナグルファルがゲオルグの傍に転移して結界を展開して防いだ。

「くふっ、この一撃に耐えられる?――――――アン・セルヴォ!!」

 

「!?」

 

「ぐっ!?」

そこにエヴリーヌが矢に膨大な魔力と闘気を宿らせた凄まじい一撃を放ち、エヴリーヌが放った矢はナグルファルが展開した結界を貫くと共にゲオルグに命中し、ゲオルグの態勢を崩し

「崩してあげたよ!」

 

「そこだっ!」

ゲオルグの態勢が崩れるとエヴリーヌとリンクを結んでいるアンゼリカが追撃をゲオルグに叩き込んだ。

「く…………っ!―――お返しだ!」

 

「―――」

 

「!シュッ、シュッ、セイッ!」

ゲオルグの指示によってナグルファルはアンゼリカに反撃をしたが、アンゼリカは一旦後ろに下がって回避した後ナグルファルに向かって連続掌底からアッパーへの連携でダメージを与えた。

「そこどいて、アンゼリカ!」

 

「!!」

 

「どっかーん――――――旋風爆雷閃!!」

そこにエヴリーヌが無詠唱で 軌道上に爆発を起こす高威力の稲妻を発射し、エヴリーヌの警告を聞いたアンゼリカが側面に跳躍するとエヴリーヌが放った稲妻がナグルファルとその背後にいるゲオルグに襲い掛かった!

「――――――!?」

 

「な――――――ぐがあああああああああっ!?」

膨大な魔力をその身に秘める”魔神”であるエヴリーヌが放った上位魔術を防ぐ術を持たないナグルファルとゲオルグはそれぞれあまりの凄まじいダメージによって機械音と悲鳴を上げた。

「くふっ、見切れる?―――五連射撃!!」

 

「!?」

 

「ぐあっ!?」

魔術を放ち終えたエヴリーヌは目にも止まらぬ速さで矢を5連射し、エヴリーヌが連射した矢の内の3本はナグルファルの両腕と足を破壊し、残りの2本は破壊されたナグルファルの両腕があった部分を通り過ぎてゲオルグの両肩に刺さった。

「貫いちゃえ――――――絶対氷剣!!」

 

「――――――!?…………」

そしてエヴリーヌは止めにナグルファルの足元から巨大な氷の刃を発生させて貫き、巨大な氷の刃で貫かれたナグルファルは一瞬機械音を出した後縦に真っ二つにされて破壊された!

「ナグルファル!?」

 

「――――――私達の勝ちだ、ジョルジュ。」

 

「!しまっ――――――」

相棒の悲惨な末路を見たゲオルグが驚いたその時、アンゼリカが一瞬でゲオルグの目の前に現れ

「ゼロ・インパクト!!」

 

「ガハッ!?…………ガッ!?くっ…………やはりメンフィルは想定外過ぎる…………」

ゲオルグの腹に零頸(ゼロインパクト)を叩き込み、アンゼリカの零頸(ゼロインパクト)を腹に受けた事で吹っ飛ばされると共に吹っ飛ばされた先にある木にぶつかり、戦闘不能になった!

 

 

「昏き雷よ――――――焼き尽くせ!!」

 

「――――――」

黒衣の男の指示によってゾア=バロールは変形させた両腕と瞳から同時にレーザーを放つクラフト――――――トライ・ブリューナクをカーリアンとリタに放ったが

「させない!白露の鎌撃!!」

リタが襲い掛かる槍で広範囲の地を這う斬撃を放って自分達に向かって襲い掛かるレーザーを相殺した。

「それじゃあ、あげていきましょうか♪―――チャーミングキス!それじゃあ、行くわよ~?虎口一閃!!

 

「!?」

 

「ぐっ!?」

カーリアンは攻撃能力を上昇させると共に闘気を得て、更に加速させるスピード型のブレイブオーダーを発動した後目にも止まらぬ速度で突撃して一瞬で複数の斬撃を叩き込む剣技でゾア=バロールと男を同時に攻撃すると共に怯ませ

「チャンスよ!」

 

「続きます――――――邪悪なる魂に裁きを――――――粛清の閃光!!」

 

「!?」

 

「があああああああっ!?」

男の態勢が崩れるとカーリアンとリンクを結んでいるリタが追撃に裁きの光を放つ魔術を発動してゾア=バロールと男に追撃を叩き込み、魔術の中でも不死者や霊体に凄まじい効果を発揮する神聖魔術でその身に焼かれた男は悲鳴を上げ、リタの魔術が終わると男は神聖魔術による浄化の光で焼かれた影響によって身体のあちこちから煙を出していた。

「おのれ…………霊体でありながら、本来は自分の弱点でもある聖なる霊力(マナ)まで扱うとは小癪な………!貫け――――――ゾア=バロール!」

 

「――――――!!」

 

「っと!」

 

「フフ、幽霊の私にはその攻撃は無意味ですよ?」

自分にとって弱点となる魔術を放ったリタを睨んだ男がゾア=バロールに指示をするとゾア=バロールは全身を針状に伸ばして攻撃するクラフト――――――這い寄る銀腕で反撃したがカーリアンは側面に跳躍して回避し、霊体であるリタにはゾア=バロールによる物理攻撃は一切効かず、リタはそのまま突撃した。

「まさに必殺!剛震突き!!」

 

「―――!?」

ゾア=バロールに突撃したリタは槍による強烈な突きで反撃してゾア=バロールを怯ませ

「崩しました!」

 

「続くわ――――――行くわよっ!バラバラになっちゃえ!祓砕斬!十臥!!」

ゾア=バロールが怯むとリタとリンクを結んでいるカーリアンが身体を回転させながら敵に突進して攻撃して敵の背後を駆け抜けた後双剣から闘気による十字の衝撃波を放った!

「――――――!?」

 

「馬鹿な!?戦術殻の始まりにして最強の戦術殻であるゾア=バロールが人如きに破壊されるだと…………!?」

カーリアンのSクラフト――――――祓砕斬・十臥によるダメージに耐え切れず、十字の衝撃波を受けた事で十字型に破壊されたゾア=バロールの末路を見た男が信じられない表情で声を上げたその時!

「我と共にありし聖槍よ……天に昇りて煉獄を照らす光の柱と化せ…………」

 

「く…………っ!?」

詠唱を終えたリタが自身の背後に無数の聖槍を召喚し、それを見た男は結界を展開して防ごうとした。

「走れ!空の聖槍!!

 

「ぐうううううっ!?ぁ――――――」

次々と襲い掛かる無数の聖槍を結界で耐えていた男だったが、何度も聖槍がぶつかった事で罅が入った結界に限界が来て結界が破壊されると呆けた声を出し、そこに残りの聖槍が無常にも襲い掛かった!

「ぐ――――――ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁ――――ッ!?」

無数の聖槍は男に襲い掛かって周囲の地面に刺さった後最後に巨大な光の柱を発生させ、それを受けた男は全身が浄化の光によって焼かれる強烈な痛みに悲鳴を上げ

「バ、バカな…………この私が人如きに敗れる…………だと!?」

光の柱が消えると浄化の光に焼かれた影響で全身から煙を出して満身創痍の状態で戦闘不能になり、地面に膝をついた!

 

 

「…………まさかアルベリヒまで敗れるなんて…………どうやら僕達は君達メンフィルの事を未だ過少評価をしていたようだね…………」

それぞれの戦闘が終わり、黒衣の男の敗北を見たゲオルグは信じられない表情をした後表情を歪めてエヴリーヌを見つめ

「あんな雑魚を操る事とウィルと違って中途半端な技術しかない奴如きがエヴリーヌ達の力を計れるなんて考えをしている時点でバカじゃないの?」

 

「”雑魚”とは言ってくれるね…………技術はともかく、ナグルファルはあれでも性能はアガートラムやクラウ=ソラスよりも上なんだけどね…………」

冷酷な視線で自分を見つめて酷評したエヴリーヌの指摘にゲオルグは悔しそうな表情で答えた。

「2年前の”七日戦役”や内戦でのメンフィル帝国を敵に回した貴族連合軍のように、君達も”相手が悪すぎた”―――それだけの話さ。さてと…………私を抹殺しようとした事や君達の”名前”の件も含めて、詳しい事情を聞かせてもらおうじゃないか、”ジュルジュ”。今回ばかりは私も頭に来ているから、何も話さないつもりでいるのならば今の内に”覚悟しておくといい。”」

 

「ま、話さないのは貴方達の判断次第だけど…………何も話さないんだったら、腕や足の一本を失う事は覚悟しときなさい。―――先に言っておくけど、私達は今言った事は比喩じゃなくて本当に実行するわよ。」

 

「くふっ♪お楽しみの”拷問タイム”ってやつだね。」

 

「あ、終わったらそちらの男性の”後処理”は任せて下さい。幾ら悪しき魂であろうと、”既に死んだ存在”を導くことは”冥き途”の見習い門番たる私の役目ですから。」

アンゼリカ達がゲオルグと黒衣の男に尋問しようとしている中、リタは無邪気な様子である事を申し出ていた。

「…………まさか僕達が絶体絶命の状況に陥るなんてね…………どうする、アルベリヒ?」

 

「おのれ…………っ、想定外(イレギュラー)どもが……………っ!」

アンゼリカ達に睨まれたゲオルグは表情を歪めて男に判断をゆだね、判断をゆだねられた男は忌々しそうな表情でカーリアン達を睨んだ。するとその時銃弾が音もなくカーリアン達に襲い掛かり、銃弾にすぐに気づいたカーリアンは双剣で次々と斬って無効化した。

「狙撃…………!?まさか…………!」

 

「ん、要塞へ続く橋を陣取ってエヴリーヌ達の邪魔をしようとした仮面男だね、―――闇夜に隠れたくらいで、エヴリーヌが見つけられないと思っている時点でバカだ…………ね!」

カーリアンが無効化した狙撃を見て狙撃を行った人物に心当たりがあるアンゼリカが呟きかけたその時、アンゼリカの呟きに続くように答えたエヴリーヌは反撃に狙撃を行った人物目がけて次々と矢を放った!

「!!闇夜の狙撃者にも気づいて反撃するとはさすがは”魔弓将”か…………まあ、時間は稼いでやったのだから、十分だな。」

スナイパーライフルで狙撃を行った人物―――ジークフリードは次々と襲い掛かる矢を間一髪のタイミングで回避した後転移の魔導具で転移してその場から消え

「皆さん、制圧した二人が…………!」

 

「しまった…………!」

ジークフリード同様それぞれ転移の魔導具を発動させて転移しようとするゲオルグと男に気づいたリタの声を聞いたアンゼリカは血相を変えてゲオルグ達を見つめた。

「君達に”知られ過ぎてしまって”始末できずにその情報を持ち帰らせる事は痛いが、ここは退かせてもらうよ、アン。」

 

「今は目の前の勝利に喜んでおくがいい。そして我らが崇高なる計画を何度も乱した事、必ず後悔させてくれる―――忌々しき異世界の想定外(イレギュラー)ども。」

そして二人は去り際の台詞を口にして転移によって破壊された戦術殻達と共にその場から消えた!

 

 

「逃がしちゃいましたね…………」

 

「ま、今回の私達の役割は”本来は生死不明になるはずだったアンゼリカ・ログナーを守る事”だったから、最低限の役割は果たしているから戦果としては十分よ。」

 

「それにどうせ、後で自分達から現れるって話だから、その時に全員まとめて潰せばいいだけだしね、キャハッ♪」

二人が消えた後僅かに残念そうな表情で呟いたリタにカーリアンとエヴリーヌはそれぞれ二人を逃がしたことをあまり気にしていない様子の答えを口にし

「エヴリーヌ君とカーリアン様が”本来は生死不明になるはずだった私”を…………?エヴリーヌ君、カーリアン様。今の口ぶりだとまるで未来を見てきたかのような口ぶりでしたが、一体どういう事なんでしょうか…………?」

二人の答えが気になったアンゼリカは眉を顰めた後真剣な表情で二人に訊ねた。

「…………そうね。ここからは貴女にも協力してもらう必要があるから、説明してあげるわ―――」

そしてカーリアンはアンゼリカと、なし崩し的にその場にいたリタにも説明をし始めた―――

 

 

 

という訳でリタ登場&3章最後にある霊園でのイベントの改変にて3章終了です!なお、リタは引き続き4章でも登場し、リィン達に協力する機会がある上終章でもセリカ達と共に協力する予定となっていますので、リタが好きな人達はその時までお待ちください。


 
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