ローラは頭を抱えて突っ伏しながら言います。

「ああ、働くのがこんなに大変だと思ってなかった…。私には無理だよ？」

「慣れれば簡単だよ？私から言わせれば赤ん坊の世話の方が大変に見える」

「ゲイザーはあまり泣かないから他の子よりは手間がかからないよ？」

「泣かなくても大変なものは大変だろう？乳を吸われるのはかなりの痛みを感じるのだとフラウから聞いた。加減もせずに吸い付いてしまって申し訳なく思っている…」

「でもナタお姉さんは働きながら子育てもしてるし…」

「ナターシャは家事をしていないようだが…」

「お義父さんがしてるみたいね。この仕事やってから帰って家事までするなんて…」

「家事は大変だと思うよ。ローラもよく頑張っていたのはずっと見ていたから知ってる」

「お掃除してるとゲイザーがゴミ食べちゃうから困ったわ」

「興味本位でゴキブリの死骸を口に入れた事もあったな…」

「あれは本当にゾッとしたわ…」

「前に元国王がゴキブリはエビの味がすると言っていたが、この記憶のせいでエビが食べられなくなりそうだ」

「早くミカエル様に記憶を消してもらわないとね」

その頃、天界に着いたアークは顔パスでミカエルの執務室まで通されました。秘書のガブリエルが驚いたように言います。

「ルシフェル様、どうしてここに？」

「その名で呼ぶな！僕の名はルシファーだと何度も言ってるだろう？」

「下級天使から報告は来てます。勇者ゲイザーの記憶が戻ったのですね？」

「わかってたのなら、さっさと人間界に降りてこい！なんで僕がゲイザーのパシリをさせられなきゃならないんだ？」

「外出許可を取るのに手間取っていたのです。世界の危機に瀕しているなら、すぐに降りますけどね」

…つづく