ローラが困っていると見張りの使い魔の後ろからアークが顔を出しました。
「妻から言霊が届いた。嫁がこっちに向かってるとね。通してやってくれ」
アークに連れられて、秘密結社の一番奥にある総帥の部屋に通されました。
「随分慌てていたようだが何かあったのか?」
「大至急お願いしたい事があって…。記憶を消せる魔法とかないですか?」
「それなら僕よりナタの方が得意だよ?僕は破壊系の魔法は得意なんだが、その手の面倒な魔法はあまり得意ではない…」
「だったらミカエル様にお願いするしか…。ミカエル様がどこにいるのか知ってますよね?」
「ミカエルなら天界にいるはずだが…。ナタに頼めない理由があるのか?」
「それは…多分ナタお姉さんがショックを受けるから」
「ナタがショックを受ける事?そんな恐ろしい事態なら状況を説明してくれないか」
「アーク殿になら話しても大丈夫だろう?アーク殿は口が固いからな」
「ちょっと待て!今の声は…。まさかゲイザーの記憶が戻ったのか?」
「ルークが知らない人と体を交換して…。さっき私が襲われそうになってたら、急にお父さんみたいに喋るようになっちゃったんです」
「ルークは身体交換はしないと言っていたはずなんだが?」
「それが…家のローンが払えなくなるから、断りきれなかったって言ってて…」
「家のローンの方が安いものだよ?裏口入試の報酬は十億ほどだが、ルークはどうせ数十万ぽっちの端た金でこき使われているのだろう…。なぜ僕に相談しなかったんだ!」
「多分、ルークはお父さんに迷惑をかけたくなかったんだと思います」
「こんな事態に陥る方がよっぽど迷惑がかかってるじゃないか!金で解決出来る事の方が簡単なんだ」
「アーク殿、落ち着いてください。ローラを責めても仕方ないでしょう?」
「これが落ち着いていられるか!お前は赤ん坊のフリをしてナタに…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第282話。