不動産屋に連れられて五百万の物件を見に来ました。部屋の中に入ると昼間なのに薄暗くて驚きます。
「部屋数は多いですが日当たりが悪いですね」
「ええ、この物件は日照権を満たしていない為お安く提供しております。この値段でこの広さならお買い得だとは思いますけどね」
「なるほど、安いには理由があるのですね。今いる部屋も安いですが、日当たりがあまり良くなくて…。他の物件も見せてもらえますか?」
「はい、理解していただけて嬉しいです。安い物件を探す者は多いですが、文句だけは一丁前で、対応に頭を悩ませているのです」
「この次にオススメの格安物件は八百万のところですかね」
「そこに連れて行ってください。八百万の物件はここよりも日当たりが良いのですか?」
「日照権は満たしていますし、市場の近所なので立地条件も良いですよ。ただ少し古いのでお安く提供させてもらっておりますが」
馬車に乗って繁華街の近くにある邸に連れて来られました。
「うーん、人通りが多いから少し騒がしい場所ですね」
「昼間は騒がしいですが、夜になれば静かになりますよ?」
「この騒音も安くなってる理由ですか?」
「まあそう言う苦情がある事は確かですね…」
「港も近いからか船の汽笛のような音も聞こえますね」
「騒音が気になるなら次にオススメなのは一千万のところになります。そこも見学に行かれますか?」
「ローラ、どうする?この物件は日当たりも良いし、買い物に行くのもここの方が良さそうだけど…」
「ルークはうるさいの苦手なの?それなら私は最初の物件でも良いけど…」
「昼間はどうせ仕事だし、ローラが気にならないならここに決めるけど?」
「最初の物件にする?ここの方が高いし、部屋数とかは最初のところが丁度良いかも…」
「最初のところは日当たりが悪いし、市場からも遠いじゃないか?僕はここの方が良いと思うよ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第246話。