リリムはほっぺをプクッと膨らませて、プンプン怒っています。
「勇者様が死んだらフラウが一番悲しむってわかんないのぉ?妻が大事なら長寿の薬を飲むべきでしょ!」
「フラウが後どのくらい生きるのかわかりませんが、それまで寿命を引き延ばしたとしましょう。私は妻の寿命を引き延ばしたいと考えてしまいます。更に自分の寿命もまた引き延ばそうと考えるはずだ。そうなれば妖精の寿命を更に奪おうと考え始めます」
「フラウの寿命はあと十年くらいだったから、それくらいなら妖精にはほんのちょっとの感覚だし、平気よぉ」
「妖精の命を奪い続けて生き長らえて幸せになれるとは思えないのです。私は永遠に妖精の命を奪い続けて生きようと考える浅ましい人間に成り下がる事でしょう」
「うーん、そうなったら勇者様の精気はまず過ぎて私も興味なくなっちゃうかも…」
「だから私は長寿の薬は飲みません。フラウやナターシャにもそう言い残して、この世を去ります…」
「良い人ほど早く死んじゃうのよねぇ…。嫌な奴ほど長生きするから嫌んなっちゃう!」
ゲイザーはシャワーを浴びてから、フラウの待っている寝室に行きました。
「ゲイザー様から求めてくださるなんて、珍しいですね…。嬉しい!」
「今日はちょっとそう言う気分なんです。すみません」
その晩、フラウは久しぶりにゲイザーから体を求められたので幸せな気分に浸っていました。翌朝は妙にツヤツヤしています。
「お母さん、今日は機嫌が良いね?」
「ええっ、アウローラにはわかっちゃうの?」
「昨日、何か良い事でもあったの?」
「そ、それは聞かないで!恥ずかしい…」
「うーん。今日のお母さん、なんか変…」
「アウローラの方こそ…。ルークとは上手く行ってるの?」
「うん、でも幸せ過ぎると怖くなるの…」
「その気持ち、お母さんにも痛いほどわかるわぁ」
「私とお母さんって性格そっくりだもんね…」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第180話。