これはルークが更衣室に踏み込む少し前の事です。
「ローラ!また胸が大きくなったんじゃない?色っぽくなったけど彼氏でもできたのかな…」
「先輩ー。胸揉まないでください…」
「だってぇ、ローラの胸って大きくて揉み心地良いんだもん!」
ローラが首から提げてる結界石ネックレスに先輩は気づきました。雫型のペンダントトップは胸の谷間にジャストフィットしています。
「ん?これは…さては彼氏からもらったプレゼントだなぁ」
「えっ…!どうしてわかったんですか?」
「やっぱり彼氏できたんだね!誰なのか白状しなさぁい?」
ローラが苦笑いしながらロッカーを開けると、中に黒づくめの男が潜んでいました。
「あなたは…!誰ですか?どうしてこんなところに…」
「アウローラ・マルヴェール。大人しく付いて来てもらおうか?抵抗すると痛い目を見る事になるぞ」
「キャー!痴漢よー!変態ー!」
女子部員がロッカーの周りを取り囲んだので魔術師は呪文を詠唱すると全員倒れました。顧問は眠りませんでしたが何もせずに見ています。魔術師は重力魔法でローラの体を軽くしてから軽々と持ち上げました。
「こんな事をされたら困ります。私の立場も考えてください!」
「ここ以外は監視の目が厳しいからな。暗証番号を知らない者は誰も入れない」
「アウローラが姿を消したら、私が真っ先に疑われるじゃないですか?そうなったら私はクビになるだけでは済まされません」
「それなら一緒に来るが良い。戸籍や容姿も魔法で変えられるからな。なんとでもなるさ?」
魔術師は屈折率を変える魔法で自分の姿を見えなくして、茂みの中で覗き見している男子の横を堂々と歩いて立ち去りました。
「この子がゲオルグ・シュタインの孫娘か?」
「はい、ゲイザーは婿養子なので戸籍上の姓はマルヴェールに変わっていますが、旧姓はゲイザー・シュタインです」
「ルシファー様の身内ではないと言う事か?」
「ルシファー様は現在、マルヴェール一族とは離縁されていて、王族の家系ではなくなっております」
「離縁された理由はなんだ?あれほどのお力を持ったお方を敵に回すなんて愚かな奴だな…」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
一応、新シリーズだけど本編の第3部・第121話。