ローラはなんとなくヴィッキーの応援席に移動しました。ジュリーはルークの応援席に座っています。
「ヴィッキー!頑張ってー」
「どうしてローラがヴィッキーの応援席に?」
試合が始まっているのに、ルークは上の空でした。ヴィッキーはフラフラしています。力なく遅いパンチを繰り出すだけなので、よそ見していても心眼のあるルークには躱せました。
「どこを見ている?試合中によそ見するな…」
「ヴィッキー!負けてもローラが付き合ってくれるって言ってるわよ。負けを認めなさい?」
ジュリーが大声で叫んだのを聞いてルークの顔が青ざめました。
「ちょ、ちょっと待って!なんでそんな事になってるの?」
「だって負けた方は私と付き合えないんだから新しい彼女がいるでしょ?」
「そ、そんな事…勝手に決めないでよ?」
「そっちだって勝手に賭け事に私を使ったじゃない?」
「ゲイザーおじさんだって、フラウおばさんを賭けてフォン様に挑んで勝ったって、みんな言ってたし…」
「おじさまはわざと負けようとなんてしてなかったはずよ?八百長試合なんて騎士の恥になるもの…」
「僕は魔術師目指してるから騎士じゃないし、そんなの関係ないよ!」
「ごちゃごちゃ言ってないで試合に集中しろ!ルーク」
ヴィッキーのヘナチョコパンチがルークの頬を捉えて、プレジダンが片手を挙げました。
「ヴィクトール選手!有効ポイント獲得。ルーク選手はよそ見しないで集中してください。あまりにも不真面目だと、神聖な場を穢したとして侮辱罪で退場させて、敗北になりますよ?」
一旦、休憩を挟んでヴィッキーは水を飲んでいます。ローラがタオルを投げ入れました。
「ローラ!なんでヴィッキーの応援してるんだよ?僕の席に戻ってよ」
「うーん、なんか負けてる方、応援したくなっちゃうんだよね。変かな?」
「ヴィッキーと付き合うって本当?」
「付き合うかどうかわかんないけど、真面目に試合してるヴィッキーの方がルークよりカッコ良く見えるよ?」
「ううっ…!負けなきゃダメだけど勝たないとローラに嫌われてしまう。僕はどうしたら良いんだ?」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第73話。