難産の末に産まれたゲイザーの娘でしたが、周りの心配をよそにすくすく育って大きくなりました。アークの息子のルークも同い年なので、同じ日にアカデミーに入学します。アークはダサい天使柄のネクタイを締めていました。
「まさかアーク…、ルークの入学式にそれ付けて行くつもり?お願いだからやめてよ!」
「これが一番お気に入りなんだよ?この日の為にクリーニングに出して仕舞って置いたんだ」
「最近、付けなくなったから安心してたら、そう言う事だったの?もうそんな物さっさと捨ててよ!」
「捨てるなんて嫌だね?ナタが初めてくれたプレゼントだったのに!」
「あの時の私は頭がお花畑だったの!まだ十六の小娘だったし、初めてのバイト代で買いに行ったから舞い上がってたのね…」
「すごく嬉しかったんだ。今でもあの時の感動は覚えてる」
「店で見た時は良い感じに見えたけど、周りからダサいって言われまくって目が覚めたわ…」
「僕はカッコいいと思ってるよ?なあ、ルークもそう思うだろ」
「ううん!超ダサいと思うよ?」
「ルークにはこのネクタイの趣味の良さがわからないらしい。きっとセンスのステが低いのだろう…」
「ルークはまともよ?アークのセンスのステが低過ぎるんじゃない!」
遠巻きにゲイザーの娘もそれを見ています。ずっとゲイザー邸にアーク夫妻は居候していました。
「お父さんとお母さんは相変わらず喧嘩ばっかりしてるなぁ。お母さんは本気で嫌がってるんだから、お父さんもやめれば良いのに…」
「うちのお父さんとお母さんより仲良くて羨ましいよ」
「えっ、そうかな?僕にはローラのお父さんとお母さんは仲良く見えるんだけど…」
ローラは首を振ってソファーに膝を抱えて座りました。
「私のお母さん、お父さんが浮気してないか不安で仕方ないんだって」
「ふーん、それって愛してるからじゃないの?お母さんもたまに浮気を疑ってたよ」
「うちのお母さんの場合は…なんかルークのお母さんと違うんだよね」
「僕にはうちの親の方が仲悪く見えるよ?だからきっと気のせいだよ」
…つづく
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一応、新シリーズだけど本編の第3部・第1話。