ルークは普段と違って少しオーバーリアクションなくらいに明るく言いました。
「それくらいなら小さな子供にでも出来そうですね!」
「ルシファー様には退屈な仕事かもしれませんね」
「僕は万能ではないので、出来ない事もたくさんあります。出来ない事をやれと言われても困りますし…」
「いえいえ、ご謙遜を!十年前にあなたの仕事っぷりは騎士団内でも有名でしたからね」
「そんなに僕は騎士団内では有名だったのですか?全然、知らなかった…」
「書類を作らせたら誤字脱字なく完璧に仕上げる。しかも仕事が速い」
「誤字脱字くらい軽くチェックしてから書類を作れば良いだけだから簡単に出来ますね!思ってたよりラクな仕事なんだなぁ」
「総帥はそんな下っ端の仕事はしなくて良いですよ?」
「そうなんですか?でもラクしてるのに大金がもらえるなんて変ですね…」
「いざとなった時にほんの少しだけルシファー様のお力を貸していただければ、他は何もしなくて良いのです」
「いざとなった時…と言うと?」
「何か我々には手に負えない問題が起きた時ですね。ルシファー様ならサクッと解決できるでしょうなぁ」
ルークは少し悩み始めました。正直言って他の第一級魔術師の手に負えない問題を解決出来る能力は、今の自分にはないからです。
「どうかなさいましたか?もちろんそんな問題が起こる事は滅多にありませんよ!」
「うーん、もうちょっと家族の者と相談してから決めて良いでしょうか?」
「本来ならばルシファー様が一家の大黒柱となるべき存在なのですから、決めるのはご自分の意思だけで構わないのでは…。奥様は反対なさっておられるのでしょう?」
「ええ、なぜ反対してるのか僕にはわかりませんが…」
「我々がルシファー様のお力を利用しようとしていると感じておられるのでしょうか?」
「利用されるだけなら僕は手を貸しません。自分にも利益があるなら動きます」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第51話。