二人は郊外の森の中へやって来ました。ルークがアークよりも高い綺麗な澄んだ声で、アークの曲を歌います。眼鏡の女性は顔が青ざめました。
「これは…!あの有名な…私でも知ってるわ」
「お気に召しませんでしたか?」
「レコードは全て回収されたはずじゃなかったの?ミッシェルが持ってるなんて…」
「騎士団に通報するつもりですか?」
「いえ、通報したら…曲を聴いていたのが、バレただけでも罰金を取られますよ?」
「だから噴水広場では歌わなかったんですよ」
「あんなところで歌ったりしたら大騒ぎになります!」
「僕が騎士団に捕まるのは困ります」
「誰にも言いません…」
「ルールに厳しいあなたが、どうしてルールを破った僕を、騎士団に通報しないのですか?」
「それは…あなたを…愛してるから」
「まだ僕とは会ったばかりなのに?」
「でも…こんな気持ち…初めてなの」
「僕の顔があの事件の犯人のアークと似ているのは気付いていましたか?」
「そうなの?実はアイドルのアークにはあまり詳しくなくて…。政治家だった頃のルシファーは黒髪に染めてたようだけど、アイドル時代はあなたみたいな金髪だったの?黒髪のイメージしかなかったわ」
「そうですね。事件当時は黒髪に黒い翼だったと記述されていましたし、そのイメージの方が強かったのかな?ジロジロ見られてたのは、アークに似てるからだと思ってましたが…」
「見られていたのは…あなたの容姿が…とても神々しいからだと思います」
「アークの正体は最上級天使のセラフィムだったそうですからね。神に最も近い存在ですよ」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第38話。