それから数日後、図書館で大人の姿のルークは調べ物をしていました。ミッシェルがそわそわしています。
「またあなたは仕事をサボって!ちゃんとやらないとクビになりますよ?」
「は、はい!すみません…」
眼鏡をかけた地味な先輩の女性がルークのそばにやって来ます。
「ゲオルグ様、少しお話があるのですが、構いませんか?」
「はい、何でしょう?」
ルークは貸し出しカードに祖父のフルネームを書いていたので、ゲオルグだと思われているようです。マルヴェールの姓だと怪しまれると思ったからでした。
「以前、うちのミッシェルが規則を破って大事な資料を持ち出した件についてなのですが…」
「ああ、あの時はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
「いえ、ミッシェルの不手際ですので…」
「この前は断られてしまいましたけど、今度の休日に食事でもどうです?」
「それは本気で言っておられるんですか?ここは出会いを求める場所じゃありません!」
「あなたのように仕事熱心で真面目な女性は素敵だと思いますよ?規則を厳しく守るところも素晴らしいと思います」
「三十路前で行き遅れの御局様って呼ばれてますよ?」
「僕は年上の落ち着いた雰囲気があって好きですけどね…」
「一体、何を企んでいらっしゃるのかしら?」
「用心深いところも良いです。僕の理想のタイプだ…」
「ううっ…失礼します」
調子が狂ってしまった先輩の女性はミッシェルのいる受付に戻って来ました。こめかみを指でギュッと押さえて、頭痛を止めようとしています。
「注意しようと思ったのに…。あのゲオルグと言う利用者は苦手なタイプだわ」
「あのお方から口説かれるなんて、先輩が羨ましい…」
「何をバカな事を言ってるんですか?あんな軽い男にここへ来られると館内の風紀が乱れて困ります!あそこに溜まってる女の子たちもずっとあの人を見てるみたいだし…」
…つづく
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どうしても書きたくて書いた裏の続き、第30話。