―――Side 天―――
呂刀「―――という訳で、幽州に送っていた密偵から魏が本格的に侵攻を始めたらしい」
幽州に居る密偵から送られてきた「魏が本格的に侵攻を始めた」という情報 それは、特別驚くものでもない 呂刀に言わせれば「まあ、そろそろくると思っていたし」である
斗詩「それで、どうするんですか?」
呂刀「どうしようか?」
別に、救援に向かってもいいのだが「この世界」では、そこまで桃香たちと親しくはないうえに救援要請などがないので、そこを突っ込まれたときにきつい まあ、突っ込まれる前に潰せば問題はないのだが
猪々子「う~ん・・・助けに行く義理もないしな~」
麗羽「せめて、誰か親しい人でも居れば・・・」
狂骨「そう言ってもな~」
雛里「それなら!」
雛里が提案したのは、幽州に身を寄せている朱里をだしにすることを提案した
美影「別にそれはいいんですけど・・・」
涼「ここから、幽州まで結構ありますよ?」
雛里「朱里ちゃんのことですからある程度は持ちこたえることが出来ます それに、翠さんたちが騎馬隊を鍛えてくれたおかげで、今までよりも早くはなっているので大丈夫です!」
華雄「それならいけるのか・・・」
全員が、それならいけると思い始め呂刀はそれを踏まえて策を練り始めた
狂骨「・・・俺の新兵器に、移動用のやつができたんだけど・・・使う?」
狂骨が作ったのは、早い話が1号のバイクである 狂骨が、鉄と木から抽出したゴムやプラスチックと自分の能力、そしてネタをフルに使って作り上げたバイク本体 燃料は、刑天が作ったガソリンです
桂花「一人で使ってなさい」
でも、バイクを理解できるのが三人な上に、「狂骨の兵器=危険物」の認識があるので使おうとするのは、狂骨と刑天の二人である
呂刀「それじゃ、救援に向かうけど・・・狂骨と刑天はバイクで先に向かっておいてくれ」
狂骨・刑天「「了解」」
雛里「間に合いますように」
―――Side 幽州―――
星「急げ!天の勢力範囲に入れば、後は何とかなる!」
劉備軍の本拠地では、天に逃げ込むために民衆を扇動している星の姿があった しかし―――
愛紗「・・・やっぱり、納得できん!」
桃香「朱里ちゃんだけ置いて逃げるなんて出来ないよ!」
星「な!?」
納得できていなかったのか、桃香と愛紗が自分の兵を連れて朱里の援護に向かうと言い始めた
白蓮「止めろ!私たちが早く逃げれば、朱里だってすぐに追いついてこれるんだよ!」
白蓮の説得も聞かず、桃香と愛紗は自分の部隊を率いて、朱里の救援に向かった
星「馬鹿が!朱里が使うといっていた「空城の計」は、『砦の中に伏兵が居る』と思わせるもの 砦の外から援軍として向かっては策が台無しになるのに!」
いくら空城の策が成功して膠着していても、砦の外に援軍が来れば迎撃をしなければならない そのとき、曹操なら気づくはず 砦の動きに
―――Side 魏―――
華琳「なるほど・・・確かに、諸葛亮が琴を弾いているわね」
春蘭たちと合流した華琳たちは、砦の様子を見て―――
風「とりあえず、しばらく様子を見るのがいいと思いますね~」
稟「あまりにも不自然ですからね」
朱里の計算どおり、砦から距離をとり警戒を始めた
―――Side 朱里―――
朱里「(うまく引っかかってくれたようですね・・・後は、ある程度逃げられたら星さんの部下が迎えにきてくれる手筈になっているから・・・)」
朱里の策は、成功していた・・・ここまでは
兵「諸葛亮様!」
朱里「なんですか?」
兵「そ、それが、劉備様と関羽様が・・・」
朱里「え!?」
愛紗「朱里!救援に来たぞ!」
―――Side 魏―――
華琳「・・・なるほど」
風「そういうことですか」
稟「もう少しでだまされるところでしたね」
華琳たちは、今まで朱里の策に嵌っていた しかし、現れた愛紗たちの発言で自分たちがだまされていたことに気づいた
華琳「砦の中に備えがあるなら、外から援軍は来ないわね」
春蘭「(・ω・?)」
秋蘭「姉者、説明するからこっちに」
いまいち、理解できていなかった春蘭は秋蘭に説明され、理解できたようだ
凪「しかも、あれだけの数で我らを止められると思っているのか?」
真桜「随分と舐められたものやな~」
沙和「思い知らせてやるの~♪」
霞「ほな、いこか?」
桃香たちが、自分たちの手勢の兵だけを連れてきたので、その程度で自分たちに勝てると思っている考えを壊してやろうと、全員が息巻いていた
華琳「進め!」
―――Side 劉備軍―――
朱里「何できたんですか!?」
桃香「だって、朱里ちゃんだけ置いていくなんて」
平然と言ってのける桃香に、砦から出てきた朱里は唖然となった 桃香たちが逃げ延びて天に保護を求めれば、悪いようにはされない さらに、たとえ魏に捕らえられたとしても「曹操は、優秀な人材を求めている」と知れ渡っているので、うまくすれば命は永らえることは出来る その間に、天が魏を下せば自分は助けらるのだ
愛紗「桃香様の気持ちも分かってやれ」
朱里「なら、私の気持ちも分かってください!」
戦場に居るのに、口論を始める朱里たち 普段の朱里なら、すぐに次の策を考え始めたのだがまさか、桃香たちがくるとは思っていなかったので混乱してしまった そして、戦場でのその行為は
春蘭「余裕だな?」
いつの間に接近を許したのか、春蘭や三羽烏などがすぐ目の前に居た まだ、味方の兵は残っているが物量差で負けているので、すでに死に体だ
愛紗「くっ!」
愛紗が後ろにいる二人を庇うように、立つが徐々に集まってきた魏の将相手には勝てるはずがない このままでは
「ヤベー!」
真桜「ん?」
真桜の耳にかすかに聞こえた、変な音 それは、段々大きくなってきて春蘭や愛紗たちの耳にも聞こえてきた
「「NOOOOOOOO!」」
桃香「な、何!?」
そして、春蘭たちと桃香たちを引き裂くように二つの影が滑ってきた
―――Side 狂骨・刑天―――
狂骨「もうすぐ、星が言っていた砦に着くな」
バイクで、かっ飛ばしていた狂骨たちは先ほど星たちに会い事情を聴いた後スピードを上げ、砦に向かい始めた
刑天「・・・ところで、エンジンからいや~な音が聞こえてきているんだが・・・」
バイクについている側車に乗っている刑天が、耳の横にあるエンジンから「ガゴゴゴゴゴ」という音が聞こえ始め、不安をいだいた
狂骨「・・・やっぱり、突貫製作は不味かったかな?」
テンションが上がって突貫で作ってしまったバイクの心配をする狂骨 そして、目の前に桃香たちが見えてきたときに、悲劇が起こった
刑天「見えた![ボキ]・・・ん?」
狂骨「・・・何落ちた?」
刑天「・・・マフラー・・・」
狂骨「・・・イケルカナ?」
刑天「ムリダヨ?」
狂骨・刑天「「・・・NOOOOOOOOOOO!」」
まるで狙ったかのように、叫んだ瞬間に空中分解をしたバイク そして、そのまま桃香たちの前に吹き飛んできた
桃香「な、何!?」
春蘭「何者だ!?」
砂煙の中から現れたのは―――
刑天「馬鹿か貴様!?あんな不良品作るな!」
狂骨「やかましい!お前だって、ノリノリだったろうが!」
ズタボロの状態だというのに、ケンカを始めた狂骨と刑天 その場違いな光景に、全員の動きが止まった
華琳「えっと・・・少しいいかしら?「「邪魔すんな!」」!?・・・すいません」
ケンカを止めようと、話しかけたが二人の剣幕に圧されつい謝ってしまった華琳
バカ×2「「って、こんなことしてる場合じゃねえ!」」
五分後、自分たちのやることを思い出した二人は華琳たちに向かい、構えをとった
華琳「・・・何かしら・・・さっきの姿との落差が・・・」
その時、敵であったはずだが目があった桃香と何か分かり合えた気がした華琳
狂骨「とりあえず、今日のところは退いてくれないか?」
華琳「あら?どういう意味かしら?」
刑天「そのままの意味さ こっちとしては、魏と決着をつけたいからな ここで戦うのは本意ではない まあ・・・今ここで戦るというなら話は別だが?」
その言葉に、魏の将は素直に恐怖を抱いた 目の前に居る二人は、たとえどのような状況でもそれを覆す術を持っていると分かったから なら、素直に聞いておいたほうがいいかもしれない
華琳「(こいつらだけな訳が無い・・・本隊も来ているはず)」
風「(こちらは、天の本隊とやりあうほど、準備が整っていませんからね~)」
華琳「・・・分かったわ・・・」
風と頷きあい、混乱し始めた魏をまとめ撤退し始めた華琳たち
華琳「それで?いつ決着をつけるのかしら?」
狂骨「・・・そのときがくれば分かるさ」
華琳「・・・そう」
魏が撤退していった戦場では、桃香たちはどこか居心地が悪そうだった
狂骨「さてさて・・・理想を追うのはいいんだが、現実を見なければならないよね~?」
刑天「仲間を大切にするのは構わないが・・・そのせいで、仲間を危険にさらしてはだめだよね~?」
その理由は、狂骨と刑天がネチネチと説教をしているからだ 言い返しても、「だから何?」といわんばかりの発言で言い返される 呂刀たちがついたときは三人ともやつれていたそうな
呂刀「・・・まあとりあえず、一回洛陽まで来てもらうよ?魏との決戦のときにやってもらいたいことがあるから」
魏との決戦は激戦になる上に、五胡が来る可能性がある 呉にはそれの警戒を頼んでいる 多分劉備軍も五胡の警戒を任せると思うのでその説明のために洛陽に呼ぶことを考えていた呂刀
狂骨「決戦は、官渡か?」
呂刀「だね・・・一応、呉にも動いてもらうけど」
刑天「さて、どうなることか」
決戦まであと少し
「舞台裏」
クククク・・・皆さん元気ですか?私ですか?・・・疲れています
狂骨「・・・やはり、長い休みがあると生活のリズムが崩れるか」
呂刀「でも、頑張ってもらわないとね~」
刑天「それより、次で終わり?」
多分ね まあ、まだ分からないけど・・・ところで、狂骨
狂骨「ん?」
実は、もしもの話で「やさぐれた狂骨」を書いてみようかと思ったんだけど
刑天「・・・お前、カブトの矢〇さん好きだからな」
〇車さんの、あのやさぐれ具合がカッコイイよね ちなみに、「太公望が仙桃を渡さずに、一人で突き進んだら」という設定で
狂骨「・・・前に、響鬼とのクロスも考えていたらしいし・・・しばらく、設定に困ることはないな まあ、クロスやるにしろ俺をやさぐれさせるにしても、頑張れよ」
呂刀「とりあえず、次回もよろしくお願いします!」
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