とある休日、天空稲荷神社社務所。
「唯ちゃん、今度の連休あたしたちだけで温泉行かない?」
こんな話を持ち掛けてきたのは今河和美。
「んー、温泉ねぇ。確かに今の時期寒いしいいかもしれないわねw」
旅行雑誌をめくりながら話を聞く北城唯。
「温泉街といやあお風呂もいいけど、お土産にグルメにいろんな楽しみがあるよな!」
と、カメラを用意してすっかり行くつもりの雪歩。
「ふっふっふ」
「ふっふっふ」
「ふっふっふのふ」
と、その時である。
「随分と面白そうな話してるじゃないか」
そう言いながら部屋に入ってきたのは天洸だ。
「え!?お、お天さま!?」
「こ、これは違うの!別にやましい考えじゃなくて」
「ほら、たまの休みだしさ…」
また怒られるんじゃないかと身構える三人。しかし天洸はやれやれ、と一息つくとこう返した。
「まぁ待ちなって、何も叱りに来たんじゃないさ。この時期はわりかしヒマだからね。
たまには三人でのんびり行くのもいいさね」
「お天さま…?」
「ただし、周りの人たちには迷惑をかけないこと。それからケガや事故には気を付けるんだよ。わかったね」
こうして、三人の旅は始まった。
さてさて、それから数日後、ここは天空電鉄天野川温泉電停。
沢山の湯治客を乗せた800形電車がゆっくりと電停に入り、やがて停車する。
ドアが開き、次々と降りてくる湯治客。その中に混じって、いつもの三人が降りてきた。
「さぁって、着いたわよー!」
「ところでどこから行くつもりなの唯ちゃん?」
「まずはこの近くにある美術館でも…んー?『天野川高原美術館』?」
天野川温泉は古き良き純和風のたたずまいを持つ温泉旅館や豪華なリゾートホテルのほか、
数多くの博物館や美術館、コテージなどといった洒落た観光施設も多数ある。
「だけどこれだけの観光施設めぐるのも大変だぜ?」
「そこはそれ、お天さまに紹介してもらったこれがあるのよ!」
唯が取り出したのは『湯めぐりフリーパス』。
これがあればフリーエリア内の電車とバス、ロープウェイなどが利用でき、さらに提携する施設も割引になるのだ。
「と、いうわけでまずは高原美術館経由のBルートで…」
その時、やってきた『Bルート』のバスを見た雪歩は一言。
「げ~…ハイエースかよ…」
「雪歩、一応聞くけどなんでそんな露骨な…」
「これさぁ…Bルートって結構道狭いしうねってるだろ?おまけにハイエースは結構振動拾うから揺れるんだよ…」
「確かにそんな空間に12人詰め込まれて…うーん?」
「ま、うだうだ言っても仕方ねーし、乗るしかねーけどさ」
三人が乗ったのは最後部の座席。といっても、全部の座席を合わせてハイエースのバスは12人しか乗れない。
狭い道があるから…というのがハイエースを使っている理由なのだが、長時間乗るには少し厳しいだろう。
かくして、小さなバスはきつい山道で車体を揺らしながら、唯たちを含む乗客を満員に乗せて走る。
高原美術館前のバス停にて。
「やっと着いた…」
「15分もあんな狭い座席じゃぁね…」
「まぁ、ここに展示されてるガラスアートを見れば疲れも吹っ飛ぶでしょ」
「おい見ろ、アートカフェだってよ。ひとしきり回ったらここでケーキでも食べようぜ!」
「「異議なーし!」」
さぁ、これから三人の旅はどうなっていくのだろうか?
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ちなみに自分はキャラバンを使ったバスに乗ったことがありますが
やっぱり狭かったよ。
■出演
唯:http://www.tinami.com/view/742179
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