アプリィはなるべくダボダボの服を着て出かける事にしました。ところが家のドアが大き過ぎてドアノブに手が届かず、開ける事が出来ません。
「困ったわ…。どこから出ましょう」
「こっちに抜け穴があるよ?ついて来て」
家具の裏側にあったネズミがあけたと思われる穴を通って外に出ました。埃がたまっていたのでアプリィはケホケホと咳をします。
「ショーンは何でも知ってるのね?」
「たまたま見つけただけだよ?まさか役に立つとは思わなかったけど」
アプリィの家から小人の国のある大きな樹は目と鼻の先の場所でしたが、小人になったアプリィには長距離に感じました。
「小人の国までこんなに遠かったなんて」
「このくらいなら、すぐ近所だよ?」
「ショーンはいつもこんな大変な思いをしていたのね」
「別に大変だと思った事はないなぁ」
ようやく小人の国がある樹に辿り着くと、樹の中に螺旋階段がグルグルと壁伝いにあるので登って行きました。
「ねぇ、まだ着かないの?」
「まだ半分も来てないよ?」
「ごめんなさい。もう足が棒のようだわ」
「僕が負ぶってあげる」
ショーンがおんぶをしてくれたので螺旋階段は何とか登りきれました。木の枝と枝の間にはロープが何本も渡してあって、そこにゴンドラが何個か吊り下がっています。
「今度はこのゴンドラに乗るんだよ」
「でもこのゴンドラはどうやって動かすの?魔法の装置も見当たらないけど…」
「小人は魔法なんか使えないからね」
ショーンがゴンドラに飛び乗ったので、アプリィも一緒に飛び乗りました。
「これからどうするの?このままじゃ動かないよね…」
「僕が動かすから少し揺れるけど、落ちないように捕まってて」
「えっ!ショーンが動かすの?」
…つづく
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昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第6話。