遊園地から帰って来るとショーンはソファーのクッションの上で寛いでいます。
「やっぱりこの家が一番良いや」
「ショーンにとってはこの家が遊園地みたいなものなのね」
そうして二人が仲良く暮らしていたある日の事です。見知らぬ老婆が呼び鈴を鳴らして、アプリィが玄関を開けると怪しい小瓶を手に持って言いました。
「お嬢さん、小人になれる薬はいらんかえ?」
「小人になれる薬ですって?そんな薬があるんですか」
「ああ、わしが調合したんだよ」
「買います!おいくらですか?」
「十万ジェニー」
「お高いですね…。どうしよう」
「いらないなら無理にとは言わないよ?」
アプリィは木彫りの工芸品などを人間の街で売って細々と生活していましたが、貯蓄は十万ちょっとありました。
「わかりました。買います」
ヘソクリを隠している軒下のツボを取り出すと銀貨を百枚渡します。銀貨一枚で千ジェニーの価値があります。
「まいどありー」
老婆が帰るとアプリィは小瓶をギュッと握りしめました。意を決するとキャップを取り一気に飲み干します。体中が熱くなり、悶え苦しんでいると体が縮んで行きました。もぞもぞと自分の服から這い出てくると、ショーンが気が付いてやって来ます。
「アプリィ!小人になってしまったの?」
「お婆さんから不思議な小瓶を買ったの」
「とりあえず僕の服を着なよ?」
ショーンの為にアプリィが作った服をクローゼットからあれこれ引っ張り出して試着します。
「サイズが少し小さいかも…?」
「アプリィは僕より背が高いからね」
「本当だ?私の背の高さは…ちょうど十分の一だから十六センチ五ミリね」
ショーン専用の小さなクローゼットのそばに置いてあったメジャーで背の高さを測りました。
「そうだ!せっかくだから僕の家に遊びに来るかい?」
…つづく
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昔、初投稿して落選した黒歴史の作品、第5話。