セルフィーユ・タイムスにルリジサ・ボラージとロイボス・リキュールが特許を取得した義手の記事が載っていました。モーニングを食べている時にイノンドが持って来てジンにも見せます。
「あっ、これ俺の義手の事だな」
「モニターのジンジャー殿が使用した際の感想も載ってますね」
「この感想はルリが書いたんだが…。俺の名前が出てるな」
「まるで本物の腕かと勘違いするほどのフィット感だと書かれていますが、違うのですか?」
「確かにそんな事も言ったような気はするが、こんなしっかりした文章を俺が書くと思うか?明らかに別人の書いたものだとわかるだろ…」
「言われてみればジンジャー殿っぽくない文章ですな」
「まあ別にルリに代筆を頼んだのは俺だし、特に書いてる事には問題はないけど、ロイの奴のインタビュー記事がなんとなくムカつく」
「戦争で手足を失った者たちの苦しみを少しでも減らしてやりたくて開発したとの事ですが、どの辺りが気に障るのでしょうか?」
「こいつが開発に携わった理由はルリに惚れてたからだっつーの!そんな大義名分並べ立ててんじゃねぇよ?」
「ロイボス殿はジンジャー殿の恋敵だったのですか?」
「毎日、白衣の隙間からチラ見せされる胸の谷間を覗いてたに決まってんだ!」
「なるほど、羨ましい環境で開発なさっておられたんですなぁ」
「これからはマージンの一割をルリジサ、ロイボス両氏が半々受け取る事になる、か…。どのくらい儲かってるんだろ?」
「義手の相場が安いものでも三十万、高いものだと百万を軽く超えてますので、一割だと三万から十万と言ったところでしょうか」
「つーことはルリは一万五千から五万が単価で受け取れるわけかぁ。俺より給料が良かったりして…」
「騎士団員の給料が月三十万程度ですからな」
「勇者なんだからもうちょい値上げして欲しいぜ」
「私は懸賞金を取り下げてもらえただけでも感謝しているのに、また雇ってもらえて文句など出て来ませんよ」
…つづく
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処女作の復刻版、第88話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。