義手が付いたので武術大会に参加申し込みを済ませました。
「ジンジャー殿が参加されるとなると私には勝ち目がないかもしれませんね…」
「いや、俺はもうメリッサの魔力を持ってないから、普通の剣士になってるし、五分五分ってところじゃないかな?」
「この武術大会で私は負けるわけには行かないのです」
「おっ、イノンドはヤル気満々だねぇ。俺も手は抜かねぇから、お互いに頑張ろうぜ?」
その晩、ジョイント部分がズキズキ痛むのでルリの部屋のベルを鳴らしました。
「こんな時間にすまない…。傷口がめちゃくちゃ痛くてさ」
「ちょっと診せてもらえる?中に入って」
ルリはジンの右腕に手を当てたり、聴診器を当てたりして原因を調べています。
「うーん、多分神経過敏になってるんだと思うわ。脈拍は正常だし、血圧と体温も異常なし」
「そうか、面倒かけちまってすまないな」
「ううん、また何かあったら来てちょうだい」
「休みの日でもないのにルリの部屋に来る口実が出来たなんて有難い」
「何にも異常がないのに来たりしないでね?私もレポートを書くのが忙しいのよ!」
「今夜はやっぱりダメか?」
「右腕が痛いんじゃなかったの?そんな事を出来る元気があるのかしら…」
「なぜかルリに会ったら痛みが治まってしまった」
「やっぱり…気のせいだったのよ?病は気からって言うでしょ。気のせいで本当に痛くなることもあるの」
「なあ、今夜は良いだろ?ちょっとだけで良いから…」
「はぁ…ロイの言ってた事が正しいって証明されてしまったわ」
「ロイの奴が何て言ってた?俺が狼だから気を付けろとか何とか言ったのか…」
…つづく
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処女作の復刻版、第79話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。