ルリは小さく溜息を漏らします。
「クレス先生は私の事なんか好きじゃないの」
「イノンドの元カノのユーカリ姫は予知能力があるんだが、未来を変えてパラレルワールドがいくつもあるって言ってたんだ。その中の一つにルリがクレスと結婚する世界もあるらしい」
「そんな世界があったら幸せでしょうね」
「だと思うだろ?俺もそう言ったんだ。そしたらユーカリ姫はその世界より、今の世界の方が良い方向へ向かってるって言うんだよなぁ…」
「今は私、幸せよ?ジンの事、愛してるし…」
「ユーカリ姫は俺がルリと付き合う事も予知してたんだ。ハッキリとは言わなかったけど、まさか当たると思わなくてビックリしてる」
「私もあんたと付き合うなんて思っても見なかったわ」
「俺がメリッサを倒しに来る事もユーカリ姫は予知してたらしい。メリッサも俺が倒しに来るの知ってたみたいなんだけど、あんな簡単に殺されると思ってなかったみたいだな」
「自分が死ぬ時の事は見えなかったみたい。ユーカリ姫が予知したから心の中を覗き見しようとしたんだけど、ブロックされちゃったらしいわ」
「ブロックなんて出来るのか?」
「魔力の高い者同士ならね?あんたの頭ん中なんて壁もなくて丸見えで筒抜け状態よ。ロクな事考えてないのわかってるんだからね!」
「ううっ…俺の頭ん中全部見られてたんだ?」
「全部見えてるからあんたが良い奴だってわかってたの!」
「エロい事は考えるけど、悪い事は考えた事ないよ?」
「あんたはエッチなところ以外は全部良いんだけどね」
「なあ、俺の好きなところってどこなんだ?」
「バカが付くくらいに純粋で真っ直ぐなところかなぁ。正義感が強くて曲がった事が嫌いなところも好きよ?」
「俺はルリの事が全部好きだから、嫌いなところなんてないよ」
…つづく
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処女作の復刻版、第71話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。