ルリはジンの両頬を手で包み込むようにしながら、二人は見つめ合っています。
「私の体を乗っ取ってあんたの愛を手に入れようとしたのに、あんたは私の体ではなくて、私の心を愛してくれてたんでしょ?だからメリッサはショックを受けてたわ」
「ルリの魂は妖精になってたけど、俺には妖精のルリは愛せてなかった気がするよ」
「妖精のルリの記憶もあるけど、あれは私であって私ではないわね。でも私の中に今でも妖精のルリはいるの」
「どれが本当のルリなのかわかんなくなってきた」
「妖精のルリは悩んでたの。自分が本当に愛する者は誰なのかって。クレス先生は私の初恋の人だったし、イノンドさんは妖精のルリの初恋の相手だったんだと思う。そしてあんたはメリッサの初恋の相手だったのかもしれない」
「結局、妖精のルリは誰を選んだんだ…。キスしたから人間になれたんだろ?」
「妖精のルリがキスしたのは…あんただったのよ」
「妖精のルリが俺にキスをしたって?絶対にあり得ない!」
「妖精のルリは初めてあんたに会った時に好きになってたのよ?でもあんたとはなぜか喧嘩ばかりしちゃってて仲良く出来なかっただけ…」
「そんな風には見えなかったけど…」
「妖精のルリには勇者のオーラが見えてたからよ?それはメリッサにも見えてた。勇者のオーラが見える者は、すぐに勇者を好きになってしまうから、二人とも一目惚れだったみたいね」
「人間のルリは勇者のオーラが見えなかったんだろ?」
「ううん、私にも勇者のオーラは見えてる。でも私が死ぬ前のあんたは勇者のオーラが出てなかった」
「ああ、そう言えば妖精の王様がそんな事を言ってたなぁ」
「今のあんた、すごく素敵よ?メリッサが惚れちゃうのもわかるわ…」
「そんな事をルリに言われたら、俺も本気にしちまうだろ?俺はルリの事が、ずっと好きだったんだぜ…」
「誰の為に私が必死で第一級魔術師になる勉強をしてるのかわかってないの?」
「クレスの為じゃなかったのか?クレスはずっとお前に第一級魔術師になれって言ってたし」
…つづく
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処女作の復刻版、第67話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。