ユーカリ姫は優しい眼差しで、ジンの方を見つめています。
「あなたの望んでる未来の方が幸せだと思ってるの?」
「俺なんかが死んでルリが生きてた方が良かったに決まってんだろ?」
「あなたが死んでもルリジサは勇者にならないわ」
「どう言う事だ?俺は頭が悪いんだ。わかりやすく説明してくれよ…」
「ルリジサはクレスと結婚した場合、女医にならないからよ?だから誰も救えない」
「そんな未来が見えてたのか?」
「クレスのそばを離れず、女医になる道より妻として生きる方を選んでしまったの」
「俺が生きてたら女医になるってどう言う事なんだ?」
「あなたの右腕よ?それを治す為に彼女は本気で女医を目指したのだけど、メリッサが介入して未来を変えてしまった…」
「俺の為に?確かにメリッサがいなかったら、ルリは他の方法で治そうとしただろうな」
「ええ、画期的な方法を使って、あなたの右腕を治し、後世に名を残す名医と呼ばれるのよ」
「この世界はもうどうしようもないのか?ルリは死んでしまって…あんたは囚われの身で…」
「メリッサはあなたが倒したから、良い方向へ進むと思うわ。ありがとう、勇者ジンジャー」
ユーカリ姫の小部屋から出ると、騎士団宿舎に戻りました。イノンドとはルームメイトなので、二段ベッドの上に昇ります。二段ベッドの下からイノンドが話しかけました。
「説得は無駄だったでしょう?」
「いや、それなりに収穫はあったよ」
「収穫ですか…。一体、どんな…?」
「俺にはすげぇ美人な嫁さんが出来ると予知してもらった」
「姫さまはそんな具体的な予知はなさいませんよ?いつも抽象的で核心はわざと話さないのです」
「俺の恋は叶うって言われただけさ?つまり俺の惚れた女が嫁になるって事だろー。だから美人な嫁が出来る。俺は絶対に不細工は好きにならないからな!」
…つづく
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処女作の復刻版、第52話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。