ジンは王子の話を聞いて焦っていました。
「まさか…!王子はユーカリ姫の事を、好きになってしまったんですか?」
「愛情と呼べるかどうかはわからないが、生涯を共に生きたいとは思っている。余が子作りをせぬので父上が心配しているが、あの女が浮気をしていないか調べる為に抱かないと言ってある」
「王子の言っている意味が難しくて頭の悪い俺にはよくわかりませんが…」
「つまりあの女が結婚前夜に他の男とまぐわっておれば、余の子供ではない子供が腹の中にいる。その子供が出来たら処刑すると父上に言ったが、どうやら結婚前夜にシバルリーを施した騎士は、最後までは手を出していなかったようだ」
「すみません…。王子のような天才の思考は理解不能なので凡人の自分にもわかりやすく説明してもらえませんか?」
「不義密通の罪で処刑しようと思っていたが、その未来もあの女は予知していたらしい。しかもまぐわいによって先見の明の能力を失うと抜かしおってからに…。それでは手が出せんだろう?先見の明の能力があれば戦争に有利だからな」
「ううっ…、話が難し過ぎて頭が痛くなってきました」
「あの女の心はルバーブの元騎士団長ディル・イノンドが奪っておる。ユーカリ姫の心を奪う方法を知りたい。イノンドから聞き出してはくれまいか?」
「そんな事、俺も知りたいですよ…。ルリの心も奪ってしまってる…」
「お前の惚れた女の心もあの者に奪われてしまったのか?余も何度かあの者に教えを請うたが教える事などないの一点張りで困っておるよ」
ジンは今度はユーカリ姫に会いに城の最上階に行きました。
「あら?あなた、また来たのね。左利きの魔剣士さん」
「その通り名はもう無意味だよ?魔剣は使えなくなってしまったし、俺は右利きだ」
「ディルには最後に言ってあったの。左利きの若い男が困っていたら助けてあげなさいって」
「それでイノンドは俺の仲間になったのか…。謎が解けたよ?」
「私に何の用があって来たの?」
「先見の明があるならわかるだろ?」
「そう…女心が知りたいのね?」
「予知能力があるなら話が早いな?」
…つづく
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処女作の復刻版、第50話です。オオカミ姫とは無関係のオリジナル小説ですが、これを掲載する前に書いていた、オオカミ姫の二次創作とかなり設定が酷似しています。