セルフィーユ王国にやっと辿り着きました。大通りはチャービルの街とは比べものにならないほど、人でごった返しています。
「チャービルが都会だと思い込んでいたが、ここと比べたらチャービルが田舎に思える」
「セルフィーユは大陸一の王国ですからなぁ」
イノンドは兜を取っていますが、立派なヒゲの老紳士になっており、前よりも更に老けて見えました。
「お前、五十代くらいに見えるぞ?」
「なんだか複雑な心境ですね…」
「その姿なら絶対バレない」
騎士団の詰所に向かいました。入り口には立て札があって『急募!騎士団員不足により、十八歳以上、五十歳未満の即戦力になれる方歓迎』と書かれています。受付でジンは本名と年齢を記入します。イノンドは偽名と実年齢を記入しましたが、受付嬢に確認されました。
「失礼ですが年齢を確認できる証明書などはございますでしょうか?」
「やはり三十六には見えませんか…」
「ええ、どう見ても五十以上に見えますね…」
乗馬免許を見せると本名がバレてしまうので、イノンドは入団を諦めました。ジンは乗馬免許を出して登録完了です。指輪のおかげで右手が使えるので左手よりは綺麗な字で書けました。
「ではジンジャー・エール様。簡単な面接がありますので、こちらでお掛けになってお待ちください。すぐに担当の者が参ります」
豪華な革張りソファーの置いてある応接室に通されました。面接官が現れるのを待っているとドアをノックする音がして、絶世の美女が現れます。煌びやかなドレスを着ていましたが、今は亡きルリの姿をした魔女のメリッサでした。
「お、お前は…メリッサ!」
「うふふ、お久しぶりね。会いに来てくれて嬉しいわ」
「お前が俺の事を探してると言う話を聞いたんだが…」
「私の予言では勇者ジンジャーが、私を倒しに来るってわかっていたのよ」
「それで俺を殺そうとしてたのか!まさか…今も誰かが俺の命を狙ってるんじゃ?」
「そんな事しないわ。もし本気で殺すつもりならあなたの素性をバラしていたもの」
「確かに…騎士団の連中は俺の本名も知らなかったからな」
「あなた、あの娘に惚れてたんでしょ?」
「だから何だよ?ルリはお前がいなくなった後に死んだよ」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第40話です。