ジンは風呂屋に行って汗を流した後にふと見ると、ルリの指輪が脱衣所に置いてありました。どうやら妖精のルリも入浴中のようです。指輪を手に取ってジンは呟きました。
「この指輪、売ったら少しは金になるかな?」
安物のガラス玉の指輪だとわかってはいましたが、風呂屋の帰り道に質屋に寄って指輪を鑑定してもらいます。
「これは…!エルフの涙と呼ばれている宝石だね。不思議な魔力が宿っている」
「えっ?そうなんだ…。いくらで買ってくれんの」
「これなら十万は出す」
「十万?マジか…。やっぱり売るのやめる!」
ジンが帰ろうとすると、慌てて鑑定士が呼び止めます。
「すまなかった…。五十万でどうかな?」
「なんで急に値上がりしてんだよ?なんだか怪しいな」
「いくらなら売ると言うんだ」
「帰って仲間と相談してから決めるんだよ?」
「そうか、売る時は他の店には行かないでここに来てくれ」
「なんでだよ?そこまで価値が高い物なのか」
野宿しているテントのそばに帰るとルリが泣いていて、イノンドが慰めていました。
「また買って差し上げますから泣き止んでください…」
「あの指輪が一番お気に入りだったの。あれじゃなきゃやだ!」
「ルリ、俺が買ってやるから今から露店に見に行こうぜ?」
「ジンが買ってくれるなんて…。どう言う風の吹き回しだよ?明日は空からヒョウでも降りそうだね」
露店の前に来るとジンはニコニコしながら言いました。
「好きな物を選んで良いぞ。全部買ってやるよ?」
「えっ…気前が良すぎて怖いんだけど?それじゃ、これとこれとこれにする!」
「それだけで良いのか?もっと好きなだけ選んで良いんだぜ」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第37話です。