狭い場所では剣を振り回す事も出来ず、イノンドはジンとルリをかばうように敵の攻撃を全て受けました。氷の矢が背中に無数突き刺さっています。
「おっさん!大丈夫か?背中から、かなり出血してるみたいだけど…」
「耐久力には自信があるのです。気にしないでください…」
「ボクの回復魔法で治してあげるー」
「お前、回復魔法なんか使えたのか…?」
「クレス先生に習ったから使えるよー?」
「クレスの奴は魔法使えない癖に…」
「先生は魔法使えないかもしれないけど、人に魔法を教えるのは上手いと思うよー」
ルリが回復しても回復しても敵から攻撃を受けるので身動きが取れません。
「ヤバいな…。このままじゃ俺たち絶対に勝てないし、おっさんの体力が尽きたら終わりだ」
「おじさんも辛そうだよ…。痛いよね?」
「ううっ…大丈夫…です…」
「全然、大丈夫じゃなさそうだぞ…」
ジンは石ころを拾うとイノンドの股の間から右手で投げ飛ばしました。
「なんだこの火の玉は…!敵に第一級魔術師がいるなんて聞いてないぞ?」
「この奥にいるのは確か剣士二人と妖精一匹だけのはずなんだが…?」
「妖精は攻撃魔法が使えたのか…?」
「いや、妖精は回復魔法しか使えないはずだ」
追っ手が怯んで背を向けて逃げ出したので、ジンはイノンドの股の下を潜り抜けると、剣を真っ直ぐに上から振り下ろしました。炎の柱が現れて追っ手の二人を吹き飛ばします。
「素晴らしかったです!流石、ジンジャー殿」
「見ろよ?馬が二頭手に入ったぜ!ラッキー」
「ジンジャー殿はもう乗馬免許はお持ちなのですか?」
「ああ、十八歳の誕生日に、すぐ乗馬試験を受けて取得済みだけど、馬が高くて買えなかったんだ…」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第25話です。