ジンとルリとイノンドがチャービルの街を跡にすると、セルフィーユ王国へ向かう街道の途中で、追っ手が馬に乗ってやって来ました。
「なんで俺まで追いかけられなきゃならないんだ…。宿屋でふかふかのベッドで寝る予定だったのに」
「私のせいで申し訳ない…」
「おじさんは全然悪くないよー」
「そうだ!全部ルリが悪い」
「ボクも悪くないもん!あの商人のおじさんが悪いんじゃん?」
「そうだ、そうだ!勝手に俺の所有物を売り飛ばそうとしやがって…」
「だから!誰がお前の所有物だって言うの?」
ジンとルリのどつき漫才がまた始まりました。
「ハハハ!ジンジャー殿と妖精殿は仲がよろしいですなぁ」
「仲良くなんかない!」
同じセリフを二人同時に声を揃えて叫びます。
「とか言ってる場合じゃなかった…。敵さんが追いついて来たぞ!どうする?」
「私の蒔いた種ですから、私が刈り取ります」
イノンドは剣を構えて街道の真ん中に仁王立ちしました。ところが馬からローブを着た追っ手は魔法を放ってきたのです。
「くっ!魔法を使われては、剣では勝てない」
「卑怯者!馬から降りろよ?攻撃が馬に当たっちまうだろが…」
ジンも剣を左手で持ったままで攻撃出来ずにいましたが、馬はつぶらな瞳でこちらを見ています。
「馬さんに攻撃が当たると可哀想だよー」
「とりあえずあっちの小道に逃げ込もうぜ?」
ジンの提案で街道脇の小道に入ると、追っ手は馬から降りて追いかけて来ました。人一人通るのがやっとの狭い岩壁が両面に迫る小道です。
「ヤバい…。袋小路になってた」
「ふむ、行き止まりのようですな…」
「敵さんがすぐ後ろまで来てるぞ?」
…つづく
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昔、知り合いが某少年漫画に持ち込みして、編集の人にこき下ろされまくった作者の原作の小説。復刻版の第24話です。