アークは突然、目の色が変わりました。怒りで我を忘れているようです。横で見ていた騎士団員もアークの様子がおかしいと気づきました。
「私は大怪我をした…と言っただけです。死んだとは言っていません」
「えっ?だってサニーがナタは死んでたって言ってたもん!おかしいなー」
「サニーがナタは死んでいる…とあなたに言った時に、あなたはなぜ騎士団に来なかったのですか?事件の可能性があると言うのに…」
「えーっ!だって騎士団に来ると、なんか面倒臭そうだったしー?でもアーク様がいるなら…あの時、騎士団に来れば良かったー」
「人が死んでいるかもしれないと言うのに、あなたはなぜそんな無責任な態度なんですか!」
アークは机をバンッと叩いて、勢い良く立ち上がりました。見張りの騎士団員がアークの肩に手を置いて座らせます。アークは怒りの感情を抑えるのに必死でした。今すぐにこの女子生徒を殺してしまいたいと思っていたのです。
「ルシファー様にご報告します。先程、アカデミー五年生のサニーと言う名の生徒の遺体が、自宅の寝室で発見されました!」
「えっ、サニーが殺されたの?どう言う事!」
「声が大きいぞ?無関係の部外者に聞かれたら困るだろう!この女を連れて行け?まだ返すなよ!聞きたい事がある」
アークに怒鳴りつけられて、騎士団員は震え上がりました。サニーと仲の良かった生徒は取調室から連れ出されます。
「も、申し訳ございません!しかし犯人は窓から侵入しているのに家の庭には足跡も残っておらず、窓ガラスも破られずに開いていました。この寒い季節に窓を開けたまま眠るわけがありません」
「窓の鍵をかけ忘れていたのだろう?足跡がないのは別のルートから侵入したと言う事だ。もっと頭を使え!」
騎士団員が事件の捜査でてんやわんやになっていましたが、アークは捕らえていた女子生徒の牢獄の前に行きました。
「アーク様!ここから出してください…。なんで私だけがこんな目に遭うんですか?私は何も悪くないのに…」
「いじめ対策法に背いたからだ。お前はナタをいじめていたのだろう?正直に吐け」
「私だけじゃないしー!みんなやってたのに、私だけが酷い目に遭うなんて、意味わかんないんですけどー?」
「この前捕らえた女子生徒もお前と同じ言い分だったな。ナタが釈放しろと言うから釈放したが、ナタに死ねと脅迫文を大量に送り付けた事を全く反省すらしていなかった」
「だってナタは性格悪いし、ブスなのにモテるし、ムカつくんだもん!あんな女、嫌われて当然じゃん?」
「お前らの方が性格が悪くてブスだよ?生きる価値もない人間のクズが!」
アークは牢獄の鍵を開けると女子生徒の首を締め上げて殺してしまいました。死体を牢獄のベッドの上に投げ捨てると牢獄から出ました。騎士団の詰所は人が出払っていて、ほとんど残っていません。
「ルシファー様、どこへ行かれるんですか?」
「アカデミーに行って来るよ?」
受付の女性にそう言い残すと翼をはためかせて大空高く舞い上がりました。
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第128話。