その頃、ゲイザーは天界で背中に翼の生えた絶世の美女たちに囲まれて楽しく過ごしていました。
「勇者様、お酒をお注ぎしましょうか?」
「いえ、もう結構です。それにしても天界とは良いところですね。こんなに綺麗な女性に囲まれて…」
そこへミカエルがやって来ました。ゲイザーはすぐ様、立ち上がって胸に手を当てながらお辞儀をします。
「勇者ゲイザー、大事な話があるのです」
「はっ!ミカエル様。一体、私に何のご用でしょう?」
「他の者は席を外してください」
美女たちはゲイザー専用の部屋を出て行きました。
「あなたが死んでからもう十年が経ちました」
「そんなに?まだ一ヶ月と少しくらいかと思っていました」
「天界では一日でも人間界では百日ほど経っているのですよ…」
「なるほど、とても居心地の良い場所なので、つい長居をしてしまいました…。そろそろ成仏した方がよろしいでしょうか?」
「実は今、ナターシャは生死の境を彷徨っています。このまま死なせると地獄に堕とされてしまうでしょう…」
「そんな!ナターシャが何か悪さをしでかしたのですか?」
「いいえ、ナターシャは何も罪を犯していません」
「ではなぜ地獄に堕とされると言うのです?」
「ナターシャは自ら命を絶ったからです。どのような理由があっても、自分で自分の命を終わりにする事は、天界では最も重い大罪とされています」
「ナターシャが自殺をしたと言うのですか?一体、なぜ…」
「あなたがいなくなってしまったからです。ナターシャはあなたの跡を追って高い場所から身を投げました…」
「そんな事をするなんて絶対に許せません!」
「冥界の門の前にいるナターシャを説得しに行きましょう?一緒について来てください」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第124話。