翌日、アカデミーに登校するとサニーが他の女子生徒とヒソヒソ話をしていました。ナタの方を見ると、一緒にゲラゲラ笑い声を上げています。
「ナタちゃん、私お友達とお昼食べるから今日から一人で食べてね?」
「前からそうしてたし、別に良いよ」
ナタは学食で焼きたてパンを買うと屋上に行きました。なぜか涙が溢れて来ます。サニーと一緒に食べていた頃を思い出しました。
「全然美味しくない…」
フラフラと屋上の淵まで歩いて行きます。そのまま飛び降りると花壇の上に落ちて、手足があり得ない方向に折れ曲りました。血が流れ出ています。
「サニーちゃん、バイバーイ!」
「バイバーイ!また明日ねー?」
放課後にサニーがなんとなく裏庭の方へ行くとナタが血を流して倒れています。サニーはそれを見ると口元をニヤリと歪ませて、何事もなかったかのように家に帰りました。
「おかしい、ナタが帰って来ない…」
暗くなってもナタが家に帰らないので、アークはナタを探しに行きました。心眼であちこち目を光らせます。校庭の花壇のそばにナタが倒れているのが見えました。
「ナタ!しっかりしろ?飛び降りたのか…。どうして自殺なんか…。リリスと同じ事をするなんて…」
アークがナタを抱き上げると、骨折している左手と左足がダランと垂れ下がります。アークは夜空高く舞い上がりました。
「まだ微かだが息がある…。病院に連れて行けば、間に合うかもしれない」
医者の住む家のドアを激しく叩きます。医者は迷惑そうな顔でドアを開けました。ぐったりしたナタをアークは抱えています。
「先生、開けてください!急患なんです」
「なんだね?もう診療時間は終わっているよ」
「早くしないと死んでしまう…。なんとかしてください!」
「うむ、中に入りなさい?」
ボロボロのソファーとベッドが置かれていて、机の上には乱雑に書物が積み上がっています。あまり流行っているようには見えません。
「良かった…。他の病院は全部、無視されて。助かりました!」
「そこに寝かせなさい。応急処置をする」
ナタの左手と左足に添え木をすると包帯でグルグル巻きにしました。傷口には塗り薬を塗って終わりです。
「先生は魔法は使わないのですか?」
「魔法では治せない病気もあるよ?私は薬草学なら精通しているがね」
「このままでは…助からないかもしれない!」
「危篤状態だな。今夜が山だね。我々には様子を見る事しか出来ない」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第121話。