ナタはアークにわざと冷たく接していました。
「サニーちゃんにハグしてあげたら?私が邪魔なら外に出かけるけど」
「ナタちゃん、なんでそんな事言うの?」
「出かけるなら寒いからコートを着た方が良いよ」
アークはモフモフのファーが付いたコートをクローゼットから出してナタに羽織らせました。
「自分でやるってば!甘やかさないで?」
アークの手を振り払ってコートを着ると出掛けてしまいました。
「ナタちゃん、ワガママ過ぎるよ!」
「気にしなくて良いよ?ワガママだなんて僕は思ってない」
「アーク様はこんなにお優しいのに、ナタちゃんはちっとも感謝してないし、アーク様が可哀想で…」
「僕は優しくなんかないよ?優しいのはナタの方さ。君の為に気を遣って出掛けたんだ」
「なんでアーク様はあんな酷い事言われても、ナタちゃんをかばうんですか?」
「僕はナタの心が綺麗だと知ってるからだよ?本気で僕を嫌ってるわけじゃないのもわかってる」
「アーク様の方が心が綺麗だと思います。ナタちゃんがアーク様に嫌われない方が不思議…」
「僕の方がナタから愛想を尽かされないか不安なんだ。僕はナタが一番大事なんだけど、ナタにとって僕は二番目だから」
「そんな!酷過ぎます」
「誤解しないでくれ。ナタから僕はとても大事にされてるよ?ナタにとって一番は死んでしまったゲイザーだから…」
「ゲイザー様ってナタちゃんと養子縁組してた養父だったはずです。お父さんが好きだったって事?」
「ゲイザーがもし生きていたら、ナタがあと十年早く生まれていたら、僕はゲイザーにかなわずに、ナタを取られてしまっていたかもしれない」
「もしかして髪を黒く染めた理由って…ナタちゃんの為?」
「僕の為だよ?ナタに愛されたくてね。でもナタは喜んでくれなかった…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第116話。