次の日のアラヴェスタ・タイムスを読んで、ナタは絶句していました。新法案のいじめ対策法により、いじめを行なった者が大勢、処罰されていました。ナタの同級生の女子生徒の名前も載っています。アークは何食わぬ顔で朝のコーヒーを飲んでいました。
「これは何?あっと驚く事って…これの事!」
「この女子生徒たちがナタをいじめていた事は調べがついているんだ」
「こんな事、頼んでない!」
「僕の独断でやった。フォン様も賛同してくださった」
「なんでこんな事したの?」
「この手紙をゴミ箱で見つけた」
「それは…勝手に私宛の手紙を読まないでよ?プライバシーの侵害だわ!」
「筆跡鑑定で犯人を割り出した」
「ここまでする必要ある?ほっとけば良いでしょ」
ナタは持病の偏頭痛がキリキリと痛み出しました。
「ナタが喜ぶと思ってやったのに…」
「こんな事して本当に私が喜ぶと思ってたの?おじさんならこんな事、絶対にしない!」
「どうしてだい?僕はこんなにナタの事を想っているのに…。ゲイザーは死んでしまって、もう何もできないんだよ」
「私の心の中に生きてるから!おじさんがいたらこんな法案、絶対に議会を通さなかった…」
「ナタの心がどんどん僕から離れて行く…。どうしたらナタの心を僕のものに出来るんだ?」
「あの子たちはね。アークの事が好きだったのよ?私が羨ましくてイヤミを言ってただけ…」
「僕はあんな醜い心の女たちは好みのタイプじゃないんだ」
「私は別にいじめとか平気だったし、学校をサボる口実に出来て好都合だったわ。いじめられてるのは教授たちみんな知ってたし、おかげで授業サボってるのに、全然お咎めなしよ?逆にあの子たちのおかげで助かってるくらい。だからさっさと釈放にしてちょうだい!」
「なぜそんな強がりを言うんだい?この手紙には涙の滲んだような跡も付いていたよ。しかもこんなにくしゃくしゃにしてあるのに…」
「良いから!この子たちを早く釈放しなさい?命令よ」
「命令には逆らえませんね。僕はナタの使い魔だから」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第86話。