ゲイザー邸の庭は犬と猫だらけになりました。家の中は猫が暴れまくって、更に大変な事になっています。
「あらあら、大変…。前より散らかっちゃったわねー」
「アークの代わりにゲオルグ様を招き入れたと言うのに…」
「ゲオルグが百人いてもアークさん一人分も役に立たないと思うわー」
「ロレイン!飯はまだか?風呂の準備もしてくれ」
「典型的な亭主関白タイプだったのですね…」
フラウとロレインは二人で大きなため息をつきました。家事を全くしようとしない上に、威張りちらすゲオルグに嫌気がさしてしまいます。
「アークさんに戻って来てもらう事は出来ないかしら?ゲオルグの世話をするのは大変よ…」
「戻って来てくれると言うなら、私だってそうしてもらいたいですよ」
アークは夜も眠らないので、仕事が終わって帰って来てから家事をしています。ナタはほとんど家事はやらずにアークと暮らしていました。
「今日もご近所さんにお裾分けに行くの?アーク」
「ええ、私の手料理を楽しみにしてくださってるようなので、行ってきますね」
「アークの料理、美味しいもんねー」
アークがリズの家に行くと、いつもと違う気配を感じて裏に回り込みました。翼でベランダにこっそり忍び込み、身を潜めて覗き見します。
「最近、街頭演説をしなくなったのはなぜだ?リズ!」
「それはその…他にやりたい事があって」
「お前が若い男にうつつを抜かしている、と言う密告があった」
「誤解です!ご近所さんと仲良くしていただけですよ」
「獣人たちを倒してアラヴェスタを人間の手に取り戻す、と言う志を忘れたのか?」
「獣人たちは憎いのですが、今のアラヴェスタは平和そのものですし、昔のアラヴェスタよりも住みやすくなってます…」
「裏切るつもりか?リズ!」
「いいえ、フラウだけは許せないです。あの女はこの手で必ず殺します!」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第59話。