アークとリズは美味しい料理を食べながら、夜景を見ています。
「こんな素敵な体験をしたのは生まれて初めてです…」
「気に入っていただけたようで良かったです」
「ドレスもメニューも高いのに大丈夫?」
「経費で落としますので、心配しないでください」
「こんな個人的な事に使っても、経費で落とせるの?」
「ふふ、僕はフォン様に気に入られてますからね」
「フラウからも気に入られてたようだけど…」
「フラウ様からも信頼を寄せていただいて、主人が亡くなって行く宛のなかった僕を雇ってくださった事は感謝しております」
「フラウの夜の相手もしてたんでしょう?あなたと出来てるって噂があったのよ。女の勘だけどフラウはあなたに惚れてたわ」
「それはノーコメントです」
「こんな色男と一つ屋根の下に暮らしてて、何もないわけないじゃない?」
「僕の事はどうでも良いです。それよりあなたの話をしませんか?あなたには今、恋人はおられないのでしょうか…」
「いるように見える?」
「わかりません…。テオドール様の墓に花を供えに来てるのは何度か見かけましたが…」
「テオは私の全てだったの」
「お気持ちはよくわかります。さぞお辛かったでしょうね」
「あなたに何がわかるの!私はテオとはたった一度だけ…。それでテオの子を授かったのだけが救いだったわ」
「お子さんがおられたんですか」
「ええ、あの子だけが心の支えだったの。サルバドールと名付けたわ」
「サルバドール。良い名ですね」
「まだ九歳だけどテオに似て良い男なの」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第51話。