ギルバートはテオドールを呼び出しました。詰所の拷問室に、猿轡を噛まされて縛り上げられた花屋の娘がいるのを見て、テオドールの顔色が変わります。平静を装ってギルバートに尋ねました。
「あの娘は…なぜ囚われているのでしょうか」
「あの女が敵国のスパイだと言う密告があったのですよ?」
「敵国のスパイ?そうは見えませんが…」
「お前は女スパイのハニートラップに引っかかったんだよ、テオドール。アラヴェスタの極秘事項をあの女にベッドの上で話したのだろう?もしそれが本当ならば、お前もただでは済まされない」
「そんなバカな…。ハニートラップならば向こうから声をかけて来るでしょう?声をかけたのは私の方からでしたし、まだ体の関係は持っておりません」
「フン!嘘をつくな。毎日のように通い詰めていると密告を受けている。確かな筋の情報だ」
「身に覚えがないのに、確かな筋の情報と言われましても…。ギルバート様がガセネタを掴まされたのでは?」
「貴様!私を愚弄する気か?良かろう…」
ギルバートは騎士団員に命じて花屋の娘の服を剥ぎ取りました。猿轡を噛まされたまま娘は声にならない声を出して叫んでいます。
「や、やめてくれ!私が何をしたと言うんだ?どうしてこんな事を…」
「お前はゲイザーとも仲が良かったそうだな?ゲイザーにも情報を漏らしているのだろう!」
「濡れ衣です!そんな事はしていません」
ギルバートは騎士団員に命じて娘の体を弄ばせました。
「ううっ…何でも言う事を聞くから、あの娘を解放してくれ、頼む!」
「何でも言う事を聞くと言ったな?ゲイザーの首を持ち帰れば、あの娘を助けてやる。お前には反逆罪の容疑がかけられている事を忘れるなよ」
アークはその様子を横で見ていて、吐き気を催していました。あまりにもギルバートのやり方が汚いからです。アークはギルバートの命令でテオドールとゲイザーを引き合わせる算段を立てました。まずアークがマルヴェールに向かいます。テオドールの書いた手紙を渡しました。
「この字は間違いなくテオドールの筆跡だな」
「ゲイザー様の母上を助けるのを手伝いたいそうです」
「ふむ、この場所に行けば良いのだな?」
「はい、案内しますので付いてきてください」
「目立つから仲間を連れずに私だけで来いと書いてある…」
「ゲイザー様の身に何かあったらと思うと…心配です」
「大丈夫だよ、フラウ。テオドールが手を貸してくれるようだから、母上を救い出したらすぐここへ帰って来るよ?」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第8話。